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本編
6※
しおりを挟む「あ……」
彼の端正な顔が間近になる。
しばらく二人で見つめ合う格好になった。
彼の青い瞳に吸い込まれてしまいそうだ。
ギルフォードの節だった指が、私のブラウンの髪を梳いてくる。
そうして、いつになく真面目な顔で告げてきた。
「――本当に、ちゃんと分かって俺に頼んでいるのか? お前の両親は、さほど気にしないだろうが、お前は俺に婚約破棄か婚約解消された不名誉を負うぞ……」
心臓がおかしな音を立てはじめる。
「そんなの分かってるに決まって――んっ……」
ぐいっと腰を引き寄せられ、抱きしめられてしまった。
首筋に彼の顔が埋まってくる。
柔らかい唇が、ちゅっちゅっと肌を這ってきた。
ちょっとだけ覚悟はしていた。
だけど、馬車の中。
あまりに性急な行為に動揺が激しい。
「きゃっ……ギル、何する……んんっ……」
突然、彼に唇を塞がれてしまう。
ぬるりと舌が絡んできた。
くちゅくちゅと水音が耳に聴こえてくる。
「ちょっと、やめっ……待って……ここは……」
なんとか離れた際に、抗議するが――。
「黙ってないと、舌ぁ、噛むぞ」
「んんっ……」
再び口づけられてしまった。
子どもの時と違って、力強くなってしまった彼を引き離すことが出来ない。
どんどんと硬い胸板を叩いて抗議する。
だが、引きはがせない。
「は……」
彼に口づけられながら、ドレスのリボンをしゅるしゅる解かれていく。
「やっ……――」
「ほら、ちゃんと恋人同士に見えるように演技しないと――」
――演技を頼んだのは自分の方だというのに――。
彼の指が鎖骨をなぞってくる。
「……あっ……」
何度も口づけの角度を変えられた。
甘美な疼きと未知の恐怖が同時に襲ってくる。
彼の手がドレスに侵入してきた。
(私、このまま――)
――混乱で頭がおかしくなりそうだ。
その時――。
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