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後日談
3※
しおりを挟むだんだん鼓動が速くなる。
二人の息遣いも荒くて、熱くなってきた時――唐突に質問を思いついた。
「陛下! ずっと言いたかったんですけれど! キスとか色々うまくて……私もそういうの上手くなりたいです!」
「は? 何、急に? 萎えるんだけど……まあ萎えてないけど……」
「だって、陛下は私以外の女性達にもこういうこと、いっぱいやってきたんでしょう? だったら私も頑張ろうかなって!」
すると呆れたように、陛下がため息をついた。
「俺が勝手に君を気持ちよくさせるから、別に無理しなくて良いよ」
「でも、ですね! 暗殺者は閨事がうまくないといけないというのが定石なんですよ――ふぎゅっ……」
すると、ぎゅむっと鼻を摘ままれた。
「ふあっ、にゃ、にゃにをするんですか!」
「正妃になった後も、まだ俺の暗殺計画が続いていたのかと思って……」
ぱっと離された。
「修道院に行ってしまいましたが、また陛下がお姉様の平穏を乱さないようにと、私が見張っているのです!」
「ああ、こりゃあ、ジュリーは俺の永遠のライバルだな……」
かと思うと、またそっと口づけられる。
彼の唇が柔らかく離れた。
そうして熱っぽい眼差しで語りかけてくる。
「マリー、君はこの城唯一の花なんだ。俺のために毎日元気に笑って過ごしてくれたら、それだけで俺は十分だ。別に閨事がうまくなくたって良い」
「本当に元気なだけで良いんですか?」
「俺が良いんだから良いんだよ。そもそも元気なだけ、もうけもんだよ」
ウルフ陛下が蕩けるような笑みを浮かべてくるので、胸がきゅうんっと疼いた。
「なんだかんだで陛下に愛されているなって思います……」
「そりゃあ、そうだよ――俺はお前のことを昔から――」
「ああ、でもジュリーお姉様の話題を出したら、会いたくなってきました」
――陛下の機嫌がちょっとだけ悪くなった。
「さて――俺様の我慢の上限突破だ――この浮気性の子ウサギちゃんから、ジュリーを忘れさせるぐらいに今夜も激しく乱してやるぜ」
彼が腰をゆさぶりはじめ、ベッドが激しくギシギシ揺れ動きはじめる。
「きゃううっ……! わ、私が、ジュリーお姉様を忘れるはずが……あっ、あんっ、そんな、激しくしないでっ……!」
その日も夜通し、私の悩まし気な声が響き渡ったのだった。
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