【R18】突然すみません。片思い中の騎士様から惚れ薬を頼まれた魔術師令嬢です。良ければ皆さん、誰に使用するか教えていただけないでしょうか？

本編

2

　時々心配して見に来てくれていたアーサー兄様だったけれど、最近は忙しくてめっきり機会が減ってしまっていた。
　なぜならば、昔から体力があって知略に長けた人だったけれども、最近起こった戦争での功績から騎士団長の地位を国王陛下から賜ったのだ。
　そのため、最近はすごく忙しそうにしている。

（それに……）

　第二王女様との縁談話が浮上しているそうなのだ。

（きっとアーサー兄さまは王女様と結婚してしまう……）

　胸がズキンと痛んだ。

（作った惚れ薬……アーサー兄さまに使ってしまう……？）

　そんな邪な考えが頭に浮かんできたが、ぶんぶんと頭を振って否定した。

（ダメよ、そんな卑怯なことを考えちゃ……！　正々堂々としていないとって真面目な兄さまに嫌われちゃうんだから……！）

　ふと、積み上げた書物の中にまぎれた書類に目を向ける。

（アーサー兄さまのお友達のケンダル様とのお見合い話……近衛騎士でいらっしゃるケンダル様とのお見合いを公爵様から勧められていたのだったわ……）

　初恋は実らないというし、アーサー兄さまとの思い出を胸に生きていけということなのかもしれない。
　そんな風に考えていると、真夜中だというのに、窓の向こうから馬の嘶きが聴こえた。

（ほとんど誰も来ない場所なのにどうして……？）

　暗闇の中でも分かる。
　月光を反射する麗しい金色の短い髪からはキラキラと光が零れる。騎士団所属の純白の制服を身に纏っているが、遠目でも筋骨隆々としているのが分かった。
　白馬から颯爽と降りた美青年、それは――

「アーサー兄さま……！」