【R18】突然すみません。片思い中の騎士様から惚れ薬を頼まれた魔術師令嬢です。良ければ皆さん、誰に使用するか教えていただけないでしょうか？

本編

5

　正々堂々とした勝負を好むアーサー兄さまらしくないとは思ったけれども、惚れ薬を使わないといられないほどに恋情に身を焦がしているのかもしれない。
　だとすれば悲しいけれど、大好きな兄様の幸せのためにも……

（私自身、兄様への思いを断ち切るためにも……）

　決意を決める。

「分かりました、リーリア、兄様のためにひと肌脱がせていただきます！」

　すると、アーサー兄様が少しだけ寂しそうで苦しそうな笑顔を浮かべた。

「そうか、良かったよ、リーリア、報酬ははずむから」

「お兄様のためなので報酬は必要ありません」

「だがな……」

「ですが、惚れ薬を完成させるため、アーサー兄さまには協力してもらわないといけないことがあるのです……」

「なんだ？」

「実は……その……」

　恥ずかしくてもごもごしてしまう。

「どうしたんだ？」

　片思い相手の前で口にするのは憚られるが、惚れ薬を作ると言った手前、説明しなければならないだろう。
　顔が真っ赤になっているのが自分でも分かってしまった。
　思い切りよく告げる。


「……し、使用者の……特別な体液が必要なのです……！」


「特別な体液……？」

　さすがのアーサー兄さまも面食らっているようだった。

「特別な体液というのは……その……異性が気持ちよくなった際に出る体液のことでして……おそらく、こ、こここ……」

「ああ……そうか……」

　心なしかアーサー兄さまも恥ずかしそうにしている。

「だったら、試験管か何か借りて……だな……」

「その……私からあまり遠くに行ってもらうわけにはいかないのです」

「リーリア、それはどういう意味だ？」

「今、惚れ薬を途中まで作ってあって、あとは特別な体液を混ぜるだけなのですが……特別な体液の中に含まれる成分があります。けれども、この成分は入手した瞬間に液体と混ぜなければ揮発してしまうのです」

「つまり……」

　私の喉がごくりと鳴った。


「アーサー兄さまには、私の前で特別な体液を出してもらわなければならないのです……」