【R18】突然すみません。片思い中の騎士様から惚れ薬を頼まれた魔術師令嬢です。良ければ皆さん、誰に使用するか教えていただけないでしょうか？

本編

6

　森の奥深くにある塔の客室にて。

「お前の前で特別な体液を……？」

　冷静沈着な判断を得意とするアーサー兄さまだけれど、さすがに動揺しているようだった。
　そんな彼の様子を見ていると、こちらも恥ずかしくなってしまう。

「そ、そうなのです……！」

　心のどこかで「さすがにそれは出来ない」と兄さまが言いはじめて、惚れ薬を作る件が流れないかなと期待してしまう。
　顔を真っ赤にしたまま、チラチラとアーサー兄さまを見つめる。

「それは……未婚のお前の前では、さすがに……」

　兄さまはサラサラの金髪をかきあげながら、苦渋に満ちた表情を浮かべている。
　真面目で清廉潔白な彼が、私の想像通りの反応を始めた。
　
（諦めるかしら……？）

　しばらく考え込みはじめた彼だったが、膝の上に置いていた片方の拳をぎゅっと握った。
　そうして、私のことをまっすぐに見つめてくる。

「リーリア、特別な体液を差し出す前に聞いておきたいことがある」

「アーサー兄さま、どうしましたか？」

　至極真面目な顔で問いかけられる。

「惚れ薬に俺の体液を混ぜた後は、いったいどう使うんだ？」

「？　そうですね、こちらは飲むタイプではなく嗅ぐタイプのものになりますので、栓を開けて恋してほしい方に嗅いでもらうのです」

「……そうか、分かった。リーリア、お前の作るものだ、ちゃんと効果があると信じている」

「理論上ではありますが、効果はあるはずです。これまで試したことがないから、絶対とは言えないのは申し訳ないのですが……」

「まあ、確かにそうだな、これが初めての完成品になるわけだからな、お前にも未知だということか」

「はい、そうなのです……」

「だったら――」

　改まった口調で問いかけられる。

「特別な体液を採取するのも俺が初めてになるのか？」

「え？」