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第2話① 惹かれ合う

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 女性使用人と言っても幅が広い。
 広い城ならなおさらだ。
 女主人を筆頭に、料理人、家政婦、小間使いの大きな三つの管轄に分かれている。現在、城に子どもがいないので、女家庭教師や乳母はいない。
 わたしは家政婦の下、家女中として働くことになった。いわゆる城の清掃やベッドメイキング、食事の給仕などを担当している。

(両親から雑事を任されていたから、得意だわ、こういうの)

 いつも村でしていたように働くだけで、高齢の多い女使用人たちには「気立てが良い」と喜ばれた。

 ある時、主人であるアイゼンから呼ばれ、こう告げられたのだ。

「ルビーは要領も良く、仕事もできる。女主人もたいそう喜んでいたよ。花を飾るセンスなんかも良いって褒めてたよ。客間女中になっても良いかもしれないね」

 客間女中はいわゆる接客を主に対応する女使用人だ。

「ありがとうございます」

 客に対応するために、華やかな必要性もある重要な役割だ。フリルのついたとても可愛らしい白いエプロンを受け取って、わたしは大層喜んだのだった。
 そんな現金なわたしを見て、アイゼン様は微笑んでいた。

(はしゃいじゃって、恥ずかしいわ――)

「君が来てくれて本当に嬉しいよ」

 爽やかな水色の瞳でそんな風に言われ、わたしの心臓はドキドキとうるさくなっていく。

(アイゼン様が、喜んでいらっしゃる……)

 なんだか胸のあたりが、こそばゆい感じがしたのだった。

 だけど――。

「自慢の妹が出来たみたいで、すごく嬉しい」

 そんな風に言われ、わたしの胸が今度はちくりと痛んだ。

(どうしたのかしら……? こんなに素敵なお兄様がいたのなら、喜ばしいことなのに……)

 その日は、胸の疼きには気づかないようにしたのだった――。



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