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第5章 罠にかかる二人
第16話 よそよそしくなったレードヴァルド①
しおりを挟む翌朝。
イリスはゆっくりと瞼を持ち上げた。
(あ、私は確かレードヴァルド様に……)
彼に抱きしめられながら眠っていたはずだったのだが、目覚めた時には傍にはいなかった。
(私よりも早く目覚めていらっしゃる時だって、いつも近くにいたのに……)
昨晩キスをしたばかりだったので、良かったら彼の顔を見たかった。
イリスはベッドを降りると窓の向こうへと視線を向ける。
(外……)
ちょうどレードヴァルドが剣の鍛錬をしているところだったのだ。
彼の凛々しい横顔を眺めていると、相手が剣の素振りを止めて部屋の中へと視線を向けてきた。
視線が交わって、イリスはドキドキしてくる。
『イリス殿』
レードヴァルドがいつものように微笑んでくれることを期待したのだが……
(あ……)
どうしてだか、彼が視線を逸らしてくるではないか。
(たまたま部屋の中を見ただけ? 私はもしかして見えてなかったの?)
そんな風に自身の気持ちを落ち着けることにした。
「ひとまず朝の準備をしましょう」
彼女は深呼吸をすると、身支度を整えた後、彼と自分の朝食を作るために厨房へと向かったのだった。
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