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しおりを挟む数日後、夜にあまり眠ることが出来なかった私はぼんやりと茶会の準備をしていた。
滞りなく正妃の役割をこなせたため、侍女達と一緒に自室に戻ろうとしていると――。
上半身は豹の姿をした豪奢なドレスに身を包んだご令嬢が、こちらを見てクスクスと笑いながら近付いてくるではないか。
(陛下と噂になっている獣人国の公爵令嬢……)
令嬢は少しだけ甲高い声で私に向かって告げてくる。
「人間くさいから、陛下に嫌われるのよ」
「そうですわ」
「そうよそうよ」
その発言に対して取り巻き達も賛同をはじめる。
あまり同じ土俵に立ちたくないので、何も聞かなかったフリをして、私はその場を立ち去ろうとしたのだけれど――ちょうど、他の獣令嬢達が口を開きはじめる。
「正妃様、ほとんど陛下とは夜を過ごしていないのでしょう?」
「そうらしいわね……」
すると、公爵令嬢が悠然と口を開いた。
「おかげさまで、私が夜に呼び出されることが多くて大変ですわ……もちろん満月である今夜も、ね」
(――え?)
それだけ言うと、令嬢達は私の前から姿を消したのだった。
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