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本編
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大牙くんが新任教師として現れてから数日が経った。
私とデートするために真面目に仕事をするって豪語してきた彼だったけれど……
『ネクタイがうまく結べないや。まゆりちゃんが俺のネクタイを結んでくれたら、もうすごい勢いで仕事するんだけどなあ』
……と、なぜだか私に条件を突き付けてきた。
『もう大人なんだからそれぐらい結べなきゃ』
文句を言いつつも結んであげると、大牙くんからものすごく嬉しそうに笑いかけられる。
こういう甘え上手なところ、昔から変わってなくてズルいなって思う。
そうして、私がネクタイを結んであげると、大牙くんは宣言通りに真面目に仕事をこなしてくれた。
学生時代から頭が良かったけれど、外国に留学してた経験もあってか英語が専門じゃないのに得意で皆から一目置かれたのが最初。次に専門の政治経済はさすがMBA取得なだけあって誰よりも自信があるし、何よりも高校生にとって身近な話題に変換して教えてくれるから、授業は分かりやすいって評判みたい。他の教科のことだって何でも教えてくれる。
そうそう、そういえばこんなエピソードがあるんだ。
学校で一番数学が得意な男の子がいるんだけど、『龍ヶ崎先生は頭が良いみたいですけど……文系出身だからこの問題解けないでしょう?』とかなんとか言って、問題を出してきたんだ。「複素数」って私たちの世代でも習ったんだけど、なんとその男子生徒が大牙くんに向かって出題してきたのは「複素数平面」って高校時代に習ってないやつ。何年か上の高校生たちが習ってて、お前たち知らないだろうってドヤってこられたことがある単元の問題。
皆も解けないよねって思ってたけど――『高校の数学はさ、大学や大学院の数学に比べたら、わりと公式を使ったクイズに近いんだよ。苦手意識がある子も、ほら見てて、面白いからさ。この問題なら、こうやって解くんだよ~』ってニコニコ黒板にチョークで完璧な模範解答を示してくれたんだよね。
『昔は文系とか理系とか言ってたけど、今はそういう区別をつけずに、どっちもできる人材育成をしようっていう流れなんだよ』
そんな風に大牙くんが教えてくれた。
問題を出した男の子も反省してたし、周囲の学生たちは頭が良いイケメン教師が来たってはしゃいでた。
そう言われれば、学生時代から老若男女問わずにモテていたけれど……今だって生徒たちにも大人気。特に女子生徒。いわゆるモデル系統のイケメンがきたら多感な女子たちからすれば大興奮に決まってるよね。
それに男子生徒からも人気なんだよね。最初はイケメンなだけで軟弱に違いないって煙たがってた男子だったけれど、たまたまバスケの練習に顔を出したら、めちゃめちゃ上手なことに皆が気づいて……教え方もうまいし、現役選手ですかっていうぐらい、今もバリバリ動けてる大牙くんを見て部活の副顧問になってほしいって人気殺到したんだよね。
――相変わらず派手だなあ。
そうして、元々愛想が良いし誰にでも優しいものだから、年上の女性教師たちからはもちろんのこと、年配の先生たちや若手の教師たちからも瞬く間に大人気になってしまった。
ただ……ちょっとだけ牛口先生からだけは苦手がられてるみたい。そりゃあ、大牙くんの態度ときたら『まゆりちゃんに近づく男はみんな嫌い』っていう態度なんだもの、仕方ないかなと思ってる。
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