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大牙side
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龍ヶ崎大牙は龍ヶ崎組の第七代組長の長男だ。わりと実力主義なところはあるが、順当にいけば第八代組長になる予定である。
そんな大牙だが、物心つくかつかないか位の時に抗争に巻き込まれて母親を失くしてしまっており、祖父母や組員たちから可愛がられていたものの、忙しい父親からはあまり構ってもらえなかった。
顔立ちは母親譲りの可愛らしい顔立ちをしていて、幼少期から自分の愛らしさに気付いた大牙は周囲にワガママを言って困らせながらも可愛がられて過ごしていた。
勉強や運動面でも秀でていて、小学校でも瞬く間に人気になった。大牙がニコニコ無邪気に笑うと周囲も喜ぶし、何でも言うことを聞いてくれるものだから、わりと人生イージーモードだった。
中学校に入っても、もちろん大牙は人気者だった。特に女性たちが群れてきて、『大牙くんカッコイイ』とか『可愛い』とか言ってくる。それを羨んだ男子達に絡まれたところで、得意の運動なり喧嘩なりをすれば、勝手に相手が服従していく。
裏では稼業にまつわることも学んでいたが、喧嘩作法も拳銃の扱いもなんだって完璧にこなした。
正直――龍ヶ崎組の威光とか関係なしに、大牙からすれば『この世は全て、自分の思うがまま』だったのである。
とはいえ、根本的に欲しかった両親からの愛情がもらえなかったからか、愛情には飢えていた。多くの人からの称賛の声をもらっても、なんとなく渇きが満たされることはなかった。
ちょうど中学になると色恋事の話題に活発になる。大牙は女生徒たちから告白されたので、とりあえず付き合ってみることにした。上級生・同級生・下級生だけじゃなく、時々外で出会う女性も相手にしてみたけれど、誰も大牙の心の奥深くを理解してくれることはなかった。
大牙を独占したくて媚びを売ってきたり、身体を簡単に差し出してこようとする女性達のことが、最初は嫌いじゃないけれど、だんだんイヤになってしまうのだ。
彼女たちのいう『好き』と大牙が思う『好き』にどうやらズレがあるようだった。
『みんな、すぐに俺のことが好きになるんだけど、なんだろう、なんだか違うし、つまらないな……』
そんなことを思いながら過ごしていた。
裏稼業だし所詮は表面上の付き合いだからと思って突き放していたところもあるのかもしれない。
そんな大牙だったが、高校時代に運命の出会いを果たす。
それが兎羽まゆりだった。
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