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マーキング。
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時刻は午前9時半を回り――
「…命様、着替えをお持ちしました。」
「ご苦労だったな。」
佐伯が命達が宿泊しているホテルの部屋を尋ね
命が佐伯を部屋に招き入れながら、佐伯から着替えの入ったバッグを受け取る
命はともかく
洋一が昨日着ていたフォーマルスーツは主にスラックスが酷い事になっていて
とてもじゃないが穿ける状態ではなく…
命が佐伯に頼んで洋一の着替えのついでに
自分の分の着替えも持ってこさせたのだった…
「…それにしても――
昨夜の私の心配は杞憂(きゆう)に過ぎなかったようで安心いたしました。
…で、いかがでしたか?初夜の方は。」
「ブフッ!」
昨夜散々自分を心配させた意趣返しと言わんばかりに
佐伯が皮肉を込めて放った一言に
ブランチを食べ終わり
ソファーでくつろぎながらコーヒーを啜っていた洋一が
思わず飲んでたコーヒーを吹き零す
「良かったぞ。珍しいな。お前がそんな下世話な事を聞いてくるなんて…」
しかし命はそんな佐伯の一言には動じず
何かあったのか?くらいの表情を浮かべながら佐伯の事を見返す命に
―――ああ、そうだった…
この方にはこういった類(たぐい)の皮肉は通じないんだった…
と…佐伯は精いっぱいの皮肉を命に受け流され、ひっそりと溜息を漏らす
「ところで――」
「うぇ?」
洋一が零したコーヒーをタオルで拭きながら佐伯の方を見る
「皆瀬さんから漂うこのマーキング臭…キツすぎます。
命様…独占欲も大概になさってください。」
佐伯が洋一に近づき、クンクンと匂いを嗅ぎながらその綺麗な顔を顰める
―――まーきんぐ…?
洋一が首を傾げる
―――あー…そーいえば…中学か高校の保体でそんな事習ったなぁ~…
αは性交渉の際、他のαに意中の相手を取られないよう
相手を自分のものだと主張する為に
同じαにしか分から無い自分の匂いを精液と一緒に相手に擦り付け――
!?
洋一の顔がみるみる青くなっていく…
「そっ…それって…つまり――」
「…マーキングの匂いを漂わせてる以上…
皆瀬さんは他のαの方に対して“自分はαに抱かれました。”――と
宣言しているようなもんです。」
「~~~ッ、あっ…命さんっ!」
「?洋一は俺のものだろう?何か問題が??」
「~~~~~~ッ、う”ぅうぅ~…」
洋一はバスローブのまま頭を抱え、ソファーの上で小さく丸まる
「…しかし――αは数が少ないとはいえ
ただでさえαを惹きつける匂いを漂わせているのに
更にこんなキツいマーキング臭まで漂わせた状態の皆瀬さんを連れて歩くのは
大変危険かと…
αの中には性別や第二の性がΩに関わらず
マーキングされた人を好んで襲う野蛮人もいると聞きますし…
とりあえず皆瀬さんは今日はマンションの方に早々に戻られ
今日と明日はマンションに居られた方が安全かと…」
「…そうか。なら俺も一緒に――」
「命様はこの後会議が御座いますので絶対に出て頂かないと。
とりあえずお二方。早く御召し物をお着替えになってください。」
「むぅ…」
佐伯の一言に命は渋々着替えの入ったバッグを開けながら
その場でバスローブを脱いで素っ裸になり
洋一もバスローブを脱ごうとするが――
「…お二方…私が“女”だという事をお忘れで?」
「はっ!」
「…?それがどうかしたのか?」
洋一は固まり、佐伯は呆れながら二人に背を向ける中
命は何食わぬ顔でさっさと服を着替え始めた…
「…命様、着替えをお持ちしました。」
「ご苦労だったな。」
佐伯が命達が宿泊しているホテルの部屋を尋ね
命が佐伯を部屋に招き入れながら、佐伯から着替えの入ったバッグを受け取る
命はともかく
洋一が昨日着ていたフォーマルスーツは主にスラックスが酷い事になっていて
とてもじゃないが穿ける状態ではなく…
命が佐伯に頼んで洋一の着替えのついでに
自分の分の着替えも持ってこさせたのだった…
「…それにしても――
昨夜の私の心配は杞憂(きゆう)に過ぎなかったようで安心いたしました。
…で、いかがでしたか?初夜の方は。」
「ブフッ!」
昨夜散々自分を心配させた意趣返しと言わんばかりに
佐伯が皮肉を込めて放った一言に
ブランチを食べ終わり
ソファーでくつろぎながらコーヒーを啜っていた洋一が
思わず飲んでたコーヒーを吹き零す
「良かったぞ。珍しいな。お前がそんな下世話な事を聞いてくるなんて…」
しかし命はそんな佐伯の一言には動じず
何かあったのか?くらいの表情を浮かべながら佐伯の事を見返す命に
―――ああ、そうだった…
この方にはこういった類(たぐい)の皮肉は通じないんだった…
と…佐伯は精いっぱいの皮肉を命に受け流され、ひっそりと溜息を漏らす
「ところで――」
「うぇ?」
洋一が零したコーヒーをタオルで拭きながら佐伯の方を見る
「皆瀬さんから漂うこのマーキング臭…キツすぎます。
命様…独占欲も大概になさってください。」
佐伯が洋一に近づき、クンクンと匂いを嗅ぎながらその綺麗な顔を顰める
―――まーきんぐ…?
洋一が首を傾げる
―――あー…そーいえば…中学か高校の保体でそんな事習ったなぁ~…
αは性交渉の際、他のαに意中の相手を取られないよう
相手を自分のものだと主張する為に
同じαにしか分から無い自分の匂いを精液と一緒に相手に擦り付け――
!?
洋一の顔がみるみる青くなっていく…
「そっ…それって…つまり――」
「…マーキングの匂いを漂わせてる以上…
皆瀬さんは他のαの方に対して“自分はαに抱かれました。”――と
宣言しているようなもんです。」
「~~~ッ、あっ…命さんっ!」
「?洋一は俺のものだろう?何か問題が??」
「~~~~~~ッ、う”ぅうぅ~…」
洋一はバスローブのまま頭を抱え、ソファーの上で小さく丸まる
「…しかし――αは数が少ないとはいえ
ただでさえαを惹きつける匂いを漂わせているのに
更にこんなキツいマーキング臭まで漂わせた状態の皆瀬さんを連れて歩くのは
大変危険かと…
αの中には性別や第二の性がΩに関わらず
マーキングされた人を好んで襲う野蛮人もいると聞きますし…
とりあえず皆瀬さんは今日はマンションの方に早々に戻られ
今日と明日はマンションに居られた方が安全かと…」
「…そうか。なら俺も一緒に――」
「命様はこの後会議が御座いますので絶対に出て頂かないと。
とりあえずお二方。早く御召し物をお着替えになってください。」
「むぅ…」
佐伯の一言に命は渋々着替えの入ったバッグを開けながら
その場でバスローブを脱いで素っ裸になり
洋一もバスローブを脱ごうとするが――
「…お二方…私が“女”だという事をお忘れで?」
「はっ!」
「…?それがどうかしたのか?」
洋一は固まり、佐伯は呆れながら二人に背を向ける中
命は何食わぬ顔でさっさと服を着替え始めた…
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