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突然の来客。
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ホテルから洋一をマンションまで送り届け
「…それじゃあ命さん…気をつけていってらっしゃい…」
「ああ…」
二人は短めに言葉を交わすと
洋一は車から降り、マンションの中へと入ろうとしたその時
「ッ、洋一!」
自分から背を向け離れていく洋一の姿に耐えきれなくなったのか
命も車から降り、思わず洋一に声をかける
「…本当に一人で平気か?
昨日の事もあるし…やはり今日は俺も一緒にいた方が…」
洋一の肩に両手を添え
真剣な眼差しで命が洋一の事を見つめる…
「命さん…大丈夫です。俺の事は気にせず仕事、頑張ってきて下さい。
俺…家で待ってますから…」
洋一も肩に添えられた命の手の甲に自分の掌を重ね
頬を染め、はにかんだ笑顔を浮かべながら命の事を見つめかえす…
その様子はもはやどこからどう見ても別れを惜しむ恋人同士か
はたまた新婚夫婦のソレで…
何とも言えない空気を醸し出しながらエントランス前で見つめ合う二人に
その空気に耐えかねた佐伯が車のパワーウィンドウを下げ
呆れた口調で命に声をかける
「――命様…皆瀬さんと本懐を遂げられて
離れがたい気持ちはよく分かりますが――
そろそろ参りませんと…会議に遅れてしまいます。」
「…ッ、分かった…
それでは洋一…何かあったら直ぐにでも俺に知らせるんだぞ?いいな?」
「…はい。」
命は洋一を見つめながら離れ難そうにゆっくりと後ずさると
意を決したかのようにクッとその表情に一瞬苦渋を浮かべながら車に乗り込み
洋一も車に乗り込んだ命に向け、寂しげに微笑みながら小さく手を振る
「ッ!」
その洋一の仕草が余りにも可愛らしかったのか
命が無言で再び車から降りようとしたので
佐伯がすかさず運転席の山下を押し退け
全部のドアにロックをかけるボタンを押す
「オイ。」
「…山下さん、出して下さい。」
「…分かりました。」
山下はギアを入れ、車は静かに動きだし
その間も命はドアハンドルをガチャガチャしながら
徐々に遠ざかっていく洋一を名残惜しそうに見つめ続けた…
洋一がペントハウスへと戻り、今まで見ていなかったスマホの着信履歴を確認する
するとその着信のほとんどが浩介の名前で埋まっていて――
―――浩介?こんなに沢山…一体何の用だったんだろう…
洋一が訝しがりながらメールの方も確認すると
そこにも何件か浩介からのメールが届いており
洋一が浩介からメールの一つを開き、内容を見てみると…
『洋一無事か!?心配だからメールかL〇NEくれ!』とだけ書かれたメールが…
他のメールも大体似たような内容で――
―――…?
洋一は浩介からのメール内容の意図が分からず、暫く画面と睨めっこしていると
洋一のスマホにコンシェルジュからの着信が入り、洋一がそれに出る
「はい。」
『皆瀬様にお客様が来られております。』
「え…俺に…ですか…?」
『篠原浩介様と名乗っておられますが…いかが致しましょう?』
「浩介が…?」
―――何だろう…昨日の着信やメールと何か関係が…?
それにしてもこのマンションの住所…
まだ浩介には教えていないのに一体どうやって…
洋一が黙り込み、しばらく考え込んでいると
コンシェルジュが洋一に伺うように話しかける
『あの…お通ししてもよろしいでしょうか?』
「あ、はい。お願いします…」
『かしこまりました。』
ピッとコンシェルジュからの通話は切れ
―――何にせよ…浩介がわざわざ訪ねて来るなんて…何かあったのかな…
着信履歴といいメールの内容といい…
洋一は若干の不安を抱えながら浩介が部屋を訪れるのを神妙な面持ちでまった…
「…それじゃあ命さん…気をつけていってらっしゃい…」
「ああ…」
二人は短めに言葉を交わすと
洋一は車から降り、マンションの中へと入ろうとしたその時
「ッ、洋一!」
自分から背を向け離れていく洋一の姿に耐えきれなくなったのか
命も車から降り、思わず洋一に声をかける
「…本当に一人で平気か?
昨日の事もあるし…やはり今日は俺も一緒にいた方が…」
洋一の肩に両手を添え
真剣な眼差しで命が洋一の事を見つめる…
「命さん…大丈夫です。俺の事は気にせず仕事、頑張ってきて下さい。
俺…家で待ってますから…」
洋一も肩に添えられた命の手の甲に自分の掌を重ね
頬を染め、はにかんだ笑顔を浮かべながら命の事を見つめかえす…
その様子はもはやどこからどう見ても別れを惜しむ恋人同士か
はたまた新婚夫婦のソレで…
何とも言えない空気を醸し出しながらエントランス前で見つめ合う二人に
その空気に耐えかねた佐伯が車のパワーウィンドウを下げ
呆れた口調で命に声をかける
「――命様…皆瀬さんと本懐を遂げられて
離れがたい気持ちはよく分かりますが――
そろそろ参りませんと…会議に遅れてしまいます。」
「…ッ、分かった…
それでは洋一…何かあったら直ぐにでも俺に知らせるんだぞ?いいな?」
「…はい。」
命は洋一を見つめながら離れ難そうにゆっくりと後ずさると
意を決したかのようにクッとその表情に一瞬苦渋を浮かべながら車に乗り込み
洋一も車に乗り込んだ命に向け、寂しげに微笑みながら小さく手を振る
「ッ!」
その洋一の仕草が余りにも可愛らしかったのか
命が無言で再び車から降りようとしたので
佐伯がすかさず運転席の山下を押し退け
全部のドアにロックをかけるボタンを押す
「オイ。」
「…山下さん、出して下さい。」
「…分かりました。」
山下はギアを入れ、車は静かに動きだし
その間も命はドアハンドルをガチャガチャしながら
徐々に遠ざかっていく洋一を名残惜しそうに見つめ続けた…
洋一がペントハウスへと戻り、今まで見ていなかったスマホの着信履歴を確認する
するとその着信のほとんどが浩介の名前で埋まっていて――
―――浩介?こんなに沢山…一体何の用だったんだろう…
洋一が訝しがりながらメールの方も確認すると
そこにも何件か浩介からのメールが届いており
洋一が浩介からメールの一つを開き、内容を見てみると…
『洋一無事か!?心配だからメールかL〇NEくれ!』とだけ書かれたメールが…
他のメールも大体似たような内容で――
―――…?
洋一は浩介からのメール内容の意図が分からず、暫く画面と睨めっこしていると
洋一のスマホにコンシェルジュからの着信が入り、洋一がそれに出る
「はい。」
『皆瀬様にお客様が来られております。』
「え…俺に…ですか…?」
『篠原浩介様と名乗っておられますが…いかが致しましょう?』
「浩介が…?」
―――何だろう…昨日の着信やメールと何か関係が…?
それにしてもこのマンションの住所…
まだ浩介には教えていないのに一体どうやって…
洋一が黙り込み、しばらく考え込んでいると
コンシェルジュが洋一に伺うように話しかける
『あの…お通ししてもよろしいでしょうか?』
「あ、はい。お願いします…」
『かしこまりました。』
ピッとコンシェルジュからの通話は切れ
―――何にせよ…浩介がわざわざ訪ねて来るなんて…何かあったのかな…
着信履歴といいメールの内容といい…
洋一は若干の不安を抱えながら浩介が部屋を訪れるのを神妙な面持ちでまった…
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