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番外編
ルカの話2
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そのくらいの時期に、僕は人間界で一人の人間に目を留める。
顔は凡庸。柔和な顔で笑うくらいが特徴の男。
それなのに、猛烈にその男の纏う精気の香りに惹かれた。
しばらく遠目に観察していたけど、ものすごく食欲をそそられる匂いに我慢出来なくなって、その人間の家に降り立って、姿を見せた。
その男は僕の存在を少し驚いただけで受け入れる変な人間だった。
会ってそうそう「すごく…綺麗な眼だね。一目惚れしたみたいだ。」なんて、陳腐な言葉を僕に浴びせた。
精気が欲しいというと、「噛んでいいよ。血液でいいんだろ?」と、あっさり指を突きだしてきた。
遠慮なく噛む。
その血は、今まで食べたどんな精気よりも美味しかった。
別れ際、記憶を消すと告げるととても残念がられた。
「まぁ…いいか。記憶を消されても、また出会ったら俺は君を好きになるよ。」なんて甘言を俺に宣って笑った。
馬鹿じゃないの、そう言って記憶を消してやった。
数日経った。正直、あの人間の精気の味が忘れられなかった。
他の人間の精気では物足りない。
ギルバートもサリーも、パートナーの精気が旨すぎてヤバイとか、よく言っていた。その意味がわかった気がした。精気に魅了されるとはこのことか。
足が、再びその人間の元へ向かってた。
記憶を消したから、当然相手は僕を知らない。
出会うなりその人間は僕に言った。
「すごく綺麗な眼だね」と。
こうも言った。
「一目惚れした。初めて会った気がしないんだ」と。
おんなじことを言うのが可笑しくてつい笑ってしまった。
もろもろ説明しつつ、教えてやった。
一度会っていると。記憶を消したからあんたは覚えていないのだと。
その人間は驚いたように言った。
「記憶を消せるのかい?すごい能力だね。ちなみにさっき君が教えてくれた契約関係には、俺たちはなれないのかな?」
「悪いけど、僕はあんたに興味がないから契約はしないよ。これが終わったら記憶を消すから」
「残念。けど何度記憶を消されても、俺は君を好きになると思うよ。」そう言って男は笑った。
顔は凡庸。柔和な顔で笑うくらいが特徴の男。
それなのに、猛烈にその男の纏う精気の香りに惹かれた。
しばらく遠目に観察していたけど、ものすごく食欲をそそられる匂いに我慢出来なくなって、その人間の家に降り立って、姿を見せた。
その男は僕の存在を少し驚いただけで受け入れる変な人間だった。
会ってそうそう「すごく…綺麗な眼だね。一目惚れしたみたいだ。」なんて、陳腐な言葉を僕に浴びせた。
精気が欲しいというと、「噛んでいいよ。血液でいいんだろ?」と、あっさり指を突きだしてきた。
遠慮なく噛む。
その血は、今まで食べたどんな精気よりも美味しかった。
別れ際、記憶を消すと告げるととても残念がられた。
「まぁ…いいか。記憶を消されても、また出会ったら俺は君を好きになるよ。」なんて甘言を俺に宣って笑った。
馬鹿じゃないの、そう言って記憶を消してやった。
数日経った。正直、あの人間の精気の味が忘れられなかった。
他の人間の精気では物足りない。
ギルバートもサリーも、パートナーの精気が旨すぎてヤバイとか、よく言っていた。その意味がわかった気がした。精気に魅了されるとはこのことか。
足が、再びその人間の元へ向かってた。
記憶を消したから、当然相手は僕を知らない。
出会うなりその人間は僕に言った。
「すごく綺麗な眼だね」と。
こうも言った。
「一目惚れした。初めて会った気がしないんだ」と。
おんなじことを言うのが可笑しくてつい笑ってしまった。
もろもろ説明しつつ、教えてやった。
一度会っていると。記憶を消したからあんたは覚えていないのだと。
その人間は驚いたように言った。
「記憶を消せるのかい?すごい能力だね。ちなみにさっき君が教えてくれた契約関係には、俺たちはなれないのかな?」
「悪いけど、僕はあんたに興味がないから契約はしないよ。これが終わったら記憶を消すから」
「残念。けど何度記憶を消されても、俺は君を好きになると思うよ。」そう言って男は笑った。
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