天才クラシックプレイヤーが転生して国歌を作るまでのこと

クレームクリーム

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除幕の一歩

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玄関先の橙色が一層目立つ冬の六時ごろ。

一人の素朴な男が玄関で軋んだドアの開閉音を響かせ、

いつもの景色へいつものケースを持って向かう最中だった。

そんな彼を見送ったマーシャーは動いた。





マーシャーは投げ出したい気分を押し殺して、

ピアノの蓋を開け、最初の音を構えた。


…。大丈夫…。

ビアノーラ、君のことはまだ…、全部、嫌いじゃないから。


葛藤をしながらも、

一小節、二小節、とゆっくり進めていった。


記号は一旦無視しよう…。

…。

にしても綺麗なメロディラインだなぁ…。

あ、ここフラット付いてた…。

通りで変な


ガチャ。


秀の帰ってくる音だ。

でもご飯の準備は終えている。

あとは皿によそうだけだ。


ただいま。マーシャー君。


奥の方からドタドタと忙しそうな足音が微かに聞こえてくる。


お帰りなさい!


いつもご飯ありがとね。


いえ!

秀さんの音が僕の生きがいなので!


…っ、ありがとう、


やはり真っ直ぐに感謝の言葉を述べられるのは

いつになっても慣れないものである。


すぐに手洗ってくるよ。


了解です!その間に準備してまーす!


元気な声が今日もリビングへフェードアウトしていく。

今日の夕飯の楽しみを増長させてくれる。




そして手洗いを終えて、秀はリビングへ向かった。


今日は…天ぷら……っ、!?


なんですかその、天ぷらって…!


…。

どうやら違うようだ…。

あー…、私の故郷の料理でね。

魚介や、野菜を小麦粉と卵の衣を着て油だ揚げる料理でね、…


すごい…!フリットとすごく似てますね!

こっちは、小麦粉と卵黄とメレンゲで作るんですよ!


…えすご。


秀もこれに関しては衝撃だったようだ。

何故なら、

彼は和テイストの料理を好んでおり、

プロデューサーや先輩など偉い人が連れてってくれたフレンチはまるで良さが分からず、

しかもお腹が膨れなかったので、

帰りに寿司のチェーン店へ赴いたそうだ。

でもワインは大好きで、日本のブドウ農家の株を買うほどであり、

それを最後の晩餐にするほどだった。


そんなのあるんだ。


でも僕もびっくりです!

今度その天ぷら作り方教えて下さいね!


うん。一緒に作ろ。


やんわりと約束をしたところで、

お夕飯開始。


頂きます。


頂きます!


遂にマーシャーも染まり、手を合わせる程になった。

反対に秀はフォークとナイフの使い方をマスターし始めた。


ハーブか…如何にもイタリアンな感じだな…。

しかも…外はカリカリで中はフワフワ…。


オサレだね。


すごく美味しいよ。

それに、タルタルソースを付けるのはフライっぽいね。


ふらい…。

飛ぶんですか?


…っ、w

fly…。w


新しすぎる発想で秀は衝撃と込み上げる愉快さを堪えていた。


え、僕今変なこと言っちゃいましたか…!?


いや、…w

だじゃれ……は通じるわけないよな…。

なんていうか…。

言葉遊びだよ。…w


そんな冗談みたいな会話を交わしては

彼らはまた一日を終えるのであった。



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