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35.シグヘイム領
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辿り着いたシグヘイム領は一見穏やかであった。
仕事をする人、買い物をする人…通りはそれなりに人が行き交っている。
しかし魔獣の襲来はまだ受けていないものの、子爵の私兵や領地の警備兵が巡回しているのをあちこちで見かけた。
街の人たちはそれを不安に思いながらも、これだけ兵士がいれば守ってもらえるだろう と普段通りの生活を送っていた。
フレデリックたちは領主の館の場所を聞き、シグヘイム子爵を訪ねた。数年ぶりの顔合わせとなるので様々な情報交換をしたいが、まずはスタンピートが起こるオーボンヌ領について話を振った。
「オーボンヌ領はどんな感じです?」
「国の騎士や伯爵が雇い入れた傭兵が集まって、魔獣のホットスポットを囲い込んでいるようだ。スポーン地点がまだ見つからないようだがまぁ時間の問題だろう。…問題は一度にオーボンヌ領に人が押し寄せたため、色々な物資が不足し、故に物価が上がり治安が悪くなっていることだ…。領土の紹介している警備兵は魔獣よりも人間による略奪を警戒しているよ」
「実際にもう被害が?」
ローズウッドを基調とした応接室で、フレデリックはオーボンヌ伯爵と向かい合い、状況確認をしていた。
「家畜が盗まれたり、強盗に押し入られた家もある。騎士は兎も角、一部のガラの悪い傭兵がな…」
「貯えがなく、報酬に飛びつくような輩ですね…。その状態ではとても私兵を参戦する余裕はなさそうですね」
「スタンピートは早く片付いてほしいが、難しいな」
盗難もあるし物流の滞りもあり、支援物資もあまり用意できないという。
「オーボンヌ伯爵からは出兵依頼は着ているのだが…」
下位貴族が断りを入れるのは困難だが、人は割けないというのが本心だろう。
「少々相談させていただいても?」
フレデリックはそれまで大人しくしていた隣のミカエラの方を向いた。
オーボンヌ伯爵も、フレデリックに婚約者と紹介されたミカエラの方を見た。
「オーボンヌ領に向かうことにしますので、我々をシグヘイム子爵が送った兵と言うことにして下さい。」
「は?」
武装も持たないたった4人だ。しかも半数は女性。
「いくらなんでも無茶だ…。お嬢さん、遊びじゃないんだぞ?」
「シグヘイム子爵。今扉の向こうで待機している使用人は、両親がつけた護衛だ。かなりの使い手のはずだ」
「しかしこちらのお嬢さんは違うでしょう?」
「私は兵隊を用意します」
「当てがあるのかね?」
「はい」
シグヘイム子爵は頭を抱えた。この少女は正気だろうか? ランシア卿は彼女に全幅の信頼を置いているようだが…。
「魔力を多く消耗するので補えるものがあれば…」
「ああ…ポーションで良ければ用意しよう…。もしや魔法で作るのか?」
「はい。魔法で兵を用意します」
シグヘイム子爵は目の前の少女を希少で優秀な魔法士と捉えた。
「魔法士でしたか…見た目で判断して申し訳ない。どうかよろしくお願いします」
そしてシグヘイム子爵は深々と頭を下げたのだった。
仕事をする人、買い物をする人…通りはそれなりに人が行き交っている。
しかし魔獣の襲来はまだ受けていないものの、子爵の私兵や領地の警備兵が巡回しているのをあちこちで見かけた。
街の人たちはそれを不安に思いながらも、これだけ兵士がいれば守ってもらえるだろう と普段通りの生活を送っていた。
フレデリックたちは領主の館の場所を聞き、シグヘイム子爵を訪ねた。数年ぶりの顔合わせとなるので様々な情報交換をしたいが、まずはスタンピートが起こるオーボンヌ領について話を振った。
「オーボンヌ領はどんな感じです?」
「国の騎士や伯爵が雇い入れた傭兵が集まって、魔獣のホットスポットを囲い込んでいるようだ。スポーン地点がまだ見つからないようだがまぁ時間の問題だろう。…問題は一度にオーボンヌ領に人が押し寄せたため、色々な物資が不足し、故に物価が上がり治安が悪くなっていることだ…。領土の紹介している警備兵は魔獣よりも人間による略奪を警戒しているよ」
「実際にもう被害が?」
ローズウッドを基調とした応接室で、フレデリックはオーボンヌ伯爵と向かい合い、状況確認をしていた。
「家畜が盗まれたり、強盗に押し入られた家もある。騎士は兎も角、一部のガラの悪い傭兵がな…」
「貯えがなく、報酬に飛びつくような輩ですね…。その状態ではとても私兵を参戦する余裕はなさそうですね」
「スタンピートは早く片付いてほしいが、難しいな」
盗難もあるし物流の滞りもあり、支援物資もあまり用意できないという。
「オーボンヌ伯爵からは出兵依頼は着ているのだが…」
下位貴族が断りを入れるのは困難だが、人は割けないというのが本心だろう。
「少々相談させていただいても?」
フレデリックはそれまで大人しくしていた隣のミカエラの方を向いた。
オーボンヌ伯爵も、フレデリックに婚約者と紹介されたミカエラの方を見た。
「オーボンヌ領に向かうことにしますので、我々をシグヘイム子爵が送った兵と言うことにして下さい。」
「は?」
武装も持たないたった4人だ。しかも半数は女性。
「いくらなんでも無茶だ…。お嬢さん、遊びじゃないんだぞ?」
「シグヘイム子爵。今扉の向こうで待機している使用人は、両親がつけた護衛だ。かなりの使い手のはずだ」
「しかしこちらのお嬢さんは違うでしょう?」
「私は兵隊を用意します」
「当てがあるのかね?」
「はい」
シグヘイム子爵は頭を抱えた。この少女は正気だろうか? ランシア卿は彼女に全幅の信頼を置いているようだが…。
「魔力を多く消耗するので補えるものがあれば…」
「ああ…ポーションで良ければ用意しよう…。もしや魔法で作るのか?」
「はい。魔法で兵を用意します」
シグヘイム子爵は目の前の少女を希少で優秀な魔法士と捉えた。
「魔法士でしたか…見た目で判断して申し訳ない。どうかよろしくお願いします」
そしてシグヘイム子爵は深々と頭を下げたのだった。
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