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第2話
異世界に不釣り合いな文明の利器が誕生しました
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爺様も少し気まずそうに咳払いしてから、手招いてきたので俺は膝を折って屈む。
「れいぞうこを使っていた時のことを考えよ、具体的であればあるほど見えやすくなるからの」
「分かりました」
言われた通りに集中して考えるため、俺は指示されたわけではなく、自分から目を閉じて冷蔵庫のことを思い出そうとした。
するとコツンとおでこに何かが当たったので、爺様がおでこを突き合わせているのかもしれないが、今はそれどころではない。
さて冷蔵庫か、異世界来てから日本のことなんて考える余裕なんてなかったが、改めて考えるとノスタルジックになりそうだ。
具体的に考えた方がいいとのことで、俺は住んでいたマンションの部屋を思い出す。
どこにでもあるワンルームの部屋で、入ってすぐにある小さなキッチンとその隣にある中型冷蔵庫が今となっては懐かしかった。
「……ふむ、その細長い箱みたいなものがれいぞうこ、というものか?」
どうやら本当に見えているようで、内心驚きを隠せないが、協力は惜しまないので必死になって考え続ける。
中は、確か転生する前日に買い出しへ出かけていたので、それなりに食料を買い込んでいたはずだ。
そうだ、確かスーパーで安売りしていたステーキ肉があって、それを楽しみに週末まで頑張ろうと思ってたな、そういえばチョコアイスも買ってあったな、あぁっ忘れてたから今となっては食べておけば良かったなって思ってしまう。
「ーーっ、ダイチ、少し待て」
キャベツや人参、きゅうりとかも買ってあったし、ステーキ肉だけじゃなく色々と買い込んでたのになぁ、料理得意じゃないけど作っているときは夢中になれたんだよな。
味とか関係なく、ただ没頭できるものがあるのは良いことだったし、ネットサーフィンよりも俺は……。
「ダイチ! えぇい、目を覚さんか莫迦者!」
「へっ、あだぁっ!?」
あれこれ考えてると何もかもが思い出の彼方とか考えたとき、頭に響く衝撃と爺様の声が俺を正気に戻してくれた。
どうやら呆然としていたのか、頭部の痛みを軽減するよう撫でて涙目を浮かべていると、目の前の爺様が妙に疲れて肩で息をして、いつの間にか取り出した杖を支えにしている。
その後ろにいるヒュペルお義父さんはなぜか唖然とした顔をしているので、何に驚いているのだろうか。
どうやら俺の後ろを見ているようなので振り返ってみると、そこには異世界に似つかわしくない代物がいつの間にかあった。
「……冷蔵庫がある!?!?」
俺の驚愕した声が轟く。
何しろ今さっき考えていたはずの冷蔵庫、見慣れた俺の部屋にあった中古の安物が当然のようにこの場に鎮座していた。
一体何がどうなっているんだ、どうしてこれがこんなところにある?
混乱していると、この場において神のお告げくらいに偉大な爺様が声を出した。
「ーーまいったのぉ、まさかここまでとは」
「爺様、これは……?」
「ふむっ、ダイチよ。 先ほど自分が何をしたのか理解しておるか?」
「えっ? 俺? これは爺様がやったんじゃ……?」
「違う、ワシはこのような代物は知らん。 これはお前が作り出したのだ、ワシの魔力を強引に引っ張っての」
「まさか、空想具現……!? そんな、神話の世界で語られるだけの原理では!?」
いつの間にか尻餅をついていた俺に爺様が説明してくれるが、話についていけなかった。
俺が作り出したなんてそんな話があってたまるのか、確かに異世界だからそういう特殊能力があってもおかしくないが、俺自身に全く自覚はない。
爺様の魔力を無理やり使ったとのことだが、そんな器用なことを素人以下の俺にできるのか疑問だ。
ヒュペルお義父さんはお義父さんで驚愕しているが、そんなに凄いことなのだろうか。
「お義父さん、空想具現ってなんですか?」
「いやっ”私”もそんなに詳しいわけではない、話に聞いただけでな……」
「空想具現、文字通り本人が思い描いたものを自由自在に現実へ投影できる能力じゃ」
「じ、自由自在……? そんなスゴい力が俺にあると?」
なんだか異世界転生っぽくなってきたな、ついに俺も無双できる日が来たのかと子供みたいにはしゃぎたくなる。
ただこの時、ヒュペルお義父さんがいつも使っている一人称とは違って、どこか理知的だと思わせるものを使ったが、気のせいだろうか。
だがそれも、三毛猫様と柴犬さんの表情が悠長なことではないと表情で語っていた。
「確かにスゴい、それは間違いないだろう。 じゃがお前は、今それを半ば暴走する形で発現したのじゃ」
「暴、走? そもそも俺、どうやってーー、あれ? 立てない……?」
「それはそうじゃ、お前の魔力はすでに空っぽじゃ、そこへ補強するようにワシの魔力を無理やり触媒にしてこれをこの次元に固定したのじゃ」
「ダイチの能力、爺様の魔力あってのことですか。 それにしてもこれがれいぞうこ、か……。 爺様、触っても?」
「問題ない、と言いたいところじゃが。 ダイチ、これはお前以外が触った場合に発動する罠などは仕掛けておるのか?」
「そんな物騒な仕組みは、ありません……」
意図して発現したものではなく、何も分からないまま俺が暴走させてしまったというのだ、しかも俺個人の魔力では全く足らず、爺様にも迷惑を及ぼしていたらしい。
この能力のせいか、立ち上がろうとしても力が入らず体が倒れないよう腕で支えるのでやっとだった。
それを察した爺様が杖を振るうと、地面が盛り上がって簡易的な壁を作ってくれたので、ありがたく寄りかかる。
「れいぞうこを使っていた時のことを考えよ、具体的であればあるほど見えやすくなるからの」
「分かりました」
言われた通りに集中して考えるため、俺は指示されたわけではなく、自分から目を閉じて冷蔵庫のことを思い出そうとした。
するとコツンとおでこに何かが当たったので、爺様がおでこを突き合わせているのかもしれないが、今はそれどころではない。
さて冷蔵庫か、異世界来てから日本のことなんて考える余裕なんてなかったが、改めて考えるとノスタルジックになりそうだ。
具体的に考えた方がいいとのことで、俺は住んでいたマンションの部屋を思い出す。
どこにでもあるワンルームの部屋で、入ってすぐにある小さなキッチンとその隣にある中型冷蔵庫が今となっては懐かしかった。
「……ふむ、その細長い箱みたいなものがれいぞうこ、というものか?」
どうやら本当に見えているようで、内心驚きを隠せないが、協力は惜しまないので必死になって考え続ける。
中は、確か転生する前日に買い出しへ出かけていたので、それなりに食料を買い込んでいたはずだ。
そうだ、確かスーパーで安売りしていたステーキ肉があって、それを楽しみに週末まで頑張ろうと思ってたな、そういえばチョコアイスも買ってあったな、あぁっ忘れてたから今となっては食べておけば良かったなって思ってしまう。
「ーーっ、ダイチ、少し待て」
キャベツや人参、きゅうりとかも買ってあったし、ステーキ肉だけじゃなく色々と買い込んでたのになぁ、料理得意じゃないけど作っているときは夢中になれたんだよな。
味とか関係なく、ただ没頭できるものがあるのは良いことだったし、ネットサーフィンよりも俺は……。
「ダイチ! えぇい、目を覚さんか莫迦者!」
「へっ、あだぁっ!?」
あれこれ考えてると何もかもが思い出の彼方とか考えたとき、頭に響く衝撃と爺様の声が俺を正気に戻してくれた。
どうやら呆然としていたのか、頭部の痛みを軽減するよう撫でて涙目を浮かべていると、目の前の爺様が妙に疲れて肩で息をして、いつの間にか取り出した杖を支えにしている。
その後ろにいるヒュペルお義父さんはなぜか唖然とした顔をしているので、何に驚いているのだろうか。
どうやら俺の後ろを見ているようなので振り返ってみると、そこには異世界に似つかわしくない代物がいつの間にかあった。
「……冷蔵庫がある!?!?」
俺の驚愕した声が轟く。
何しろ今さっき考えていたはずの冷蔵庫、見慣れた俺の部屋にあった中古の安物が当然のようにこの場に鎮座していた。
一体何がどうなっているんだ、どうしてこれがこんなところにある?
混乱していると、この場において神のお告げくらいに偉大な爺様が声を出した。
「ーーまいったのぉ、まさかここまでとは」
「爺様、これは……?」
「ふむっ、ダイチよ。 先ほど自分が何をしたのか理解しておるか?」
「えっ? 俺? これは爺様がやったんじゃ……?」
「違う、ワシはこのような代物は知らん。 これはお前が作り出したのだ、ワシの魔力を強引に引っ張っての」
「まさか、空想具現……!? そんな、神話の世界で語られるだけの原理では!?」
いつの間にか尻餅をついていた俺に爺様が説明してくれるが、話についていけなかった。
俺が作り出したなんてそんな話があってたまるのか、確かに異世界だからそういう特殊能力があってもおかしくないが、俺自身に全く自覚はない。
爺様の魔力を無理やり使ったとのことだが、そんな器用なことを素人以下の俺にできるのか疑問だ。
ヒュペルお義父さんはお義父さんで驚愕しているが、そんなに凄いことなのだろうか。
「お義父さん、空想具現ってなんですか?」
「いやっ”私”もそんなに詳しいわけではない、話に聞いただけでな……」
「空想具現、文字通り本人が思い描いたものを自由自在に現実へ投影できる能力じゃ」
「じ、自由自在……? そんなスゴい力が俺にあると?」
なんだか異世界転生っぽくなってきたな、ついに俺も無双できる日が来たのかと子供みたいにはしゃぎたくなる。
ただこの時、ヒュペルお義父さんがいつも使っている一人称とは違って、どこか理知的だと思わせるものを使ったが、気のせいだろうか。
だがそれも、三毛猫様と柴犬さんの表情が悠長なことではないと表情で語っていた。
「確かにスゴい、それは間違いないだろう。 じゃがお前は、今それを半ば暴走する形で発現したのじゃ」
「暴、走? そもそも俺、どうやってーー、あれ? 立てない……?」
「それはそうじゃ、お前の魔力はすでに空っぽじゃ、そこへ補強するようにワシの魔力を無理やり触媒にしてこれをこの次元に固定したのじゃ」
「ダイチの能力、爺様の魔力あってのことですか。 それにしてもこれがれいぞうこ、か……。 爺様、触っても?」
「問題ない、と言いたいところじゃが。 ダイチ、これはお前以外が触った場合に発動する罠などは仕掛けておるのか?」
「そんな物騒な仕組みは、ありません……」
意図して発現したものではなく、何も分からないまま俺が暴走させてしまったというのだ、しかも俺個人の魔力では全く足らず、爺様にも迷惑を及ぼしていたらしい。
この能力のせいか、立ち上がろうとしても力が入らず体が倒れないよう腕で支えるのでやっとだった。
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