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第十三章

エルフのお姉さんとのんびり冬籠もり!1

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 シャーロットちゃんの事はちょっと気になったけど、とりあえず、言うべき事を言う。
「じゃあ、次、テュテュお姉さんがお風呂入って!」
 一応、お客様だしという提案だ。
 だけど、エルフのテュテュお姉さんは笑顔で首を横に振る。
「子供たちと一緒に、先に入って。
 わたしは最後、ゆっくり浸からせて貰うわ」
「いいの?」
「子供は早く寝ないといけないでしょう?」
 テュテュお姉さんだって、ここまで来るのに疲れているだろうと思ったけど、むしろ、ゆっくりお風呂に入った方が体もほぐれるかな? と思い直す。
「じゃあ、先に入るね」
と答えると、テュテュお姉さんが笑顔で手を振ってくれた。


「あぁ~良い湯だぁ~」
「そうねぇ~」
 わたしのちょっとおじさん臭い台詞に右手の、シャーロットちゃんを挟んだ向こう側にいるイメルダちゃんが気持ちよさげに答える。
 湯浴み着越しでも、しっかり温めた湯が体をほぐしてくれる。
 真冬のお風呂は体の芯に残る、寒さのために強ばった部分を溶かしてくれる気分になって、わたしは好きだ。
 先ほど、エリザベスちゃんを白いモクモクで作ったお風呂に入れて、体を洗って上げたりしていたので、一仕事終えた満足感も加わり、凄くリラックス出来る。

 因みに、最近のエリザベスちゃんは結構よく動くようになったので、お風呂はごろごろルームではなく、浴室で行うようになっている。

 凄く楽しそうに手を動かし、お湯をパチャパチャするのは可愛らしいが、自分が体を洗う立場からすると、結構大変だ。
 エリザベスちゃんは普通の赤ん坊より活発のようで、協力して洗っていたシルク婦人さんがびしょびしょに濡れた前髪を額にくっつけたまま、「凄くお転婆」と言っていた。

 いつもの無表情ながらも、どことなく、苦笑しているように見えた。

 そんな、活溌系妹ちゃんも、シルク婦人さんが連れて戻り、今は、上の妹ちゃん達と入浴をしている。
「ねえ、サリーさん。
 エリザベスの入浴、わたくしも手伝うわ」
「ん?」
「大変そうだもの」
「ん~大丈夫だけど……」
と言いつつ、少し考える。
 今後、何かあって帰れないなんて事があるかもしれない。
 もちろん、何日も家を開けるつもりは無い。
 そもそも、その場合は妖精メイドのスイレンちゃん達が協力してくるから問題ないと言えばそうだろう。
 だけど、その時にイメルダちゃんがやるかどうかは別にして、こういう常時に経験させておいた方が、精神的に楽なのではないだろうか?
「じゃあ、明日は手伝ってくれる?」
 そう、お願いすると、姉的妹ちゃんのイメルダちゃんは力強い笑みを浮かべながら「ええ、分かったわ!」と答えてくれた。

 凛々し可愛い!

 ん?
 視線の端に映るシャーロットちゃんが、なんだか元気がなさそうに見えた。
「シャーロットちゃん、どうしたの?」
と訊ねても、「ううん、別に……」とうつむきながらしか答えてくれない。

 気になるんだけどぉ~

「どうしたの?」
と肩に腕を回し引き寄せてみる。
 されるままになったシャーロットちゃんが、上目遣い気味に言う。
「あのね、サリーお姉さま」
「ん?」
「もう少し、シャーロットの相手をして欲しいの」
「んん?」
 あ~
 食糧問題もあったし、エリザベスちゃんの世話やテュテュお姉さんが来たりと、余り、シャーロットちゃんを構えていなかったかな?
「ごめん、ごめん!
 今、物作り妖精のおじいちゃんに面白い盤上遊戯の道具を作って貰っているから、出来たら一緒に遊ぼ」
「面白い盤上遊戯?」
 シャーロットちゃんが小首を捻るので、「そうだよ」と頷いて上げる。
「伝説の盤上遊戯なの!
 とある国を熱狂させた、最強の遊びだよ!」
「凄ぉ~い!」
とシャーロットちゃんが目をキラキラさせ、イメルダちゃんが「また、伝説?」と胡散臭そうな目でこちらを見る。
「本当に凄いんだよ!
 簡単でいて奥深い、伝説にふさわしいんだから!」
と熱弁するも、イメルダちゃんは「はいはい、分かったから」と軽くいなされる。
 酷い!
 だけど、シャーロットちゃんは嬉しそうに微笑みながら、「サリーお姉さま、楽しみ!」と言ってくれた!
 天使か!
「シャーロットちゃん、可愛い!」
と抱きしめると、妹ちゃんは嬉しそうに「きゃ!」と悲鳴を上げた。
 ただ、湯がイメルダちゃんの顔にかかったらしく「ちょ! 湯船で暴れるのは止めなさい!」と怒られてしまった。
 反省。

――

 朝、起きた!
 横を見るも誰もいない。
 あれ?
 あ、テュテュお姉さんが寝間着から着替えるところだった。

 実は昨夜、エルフのテュテュお姉さんがどこで寝るかって事になり、妹ちゃん二人がゴロゴロルームで眠り、わたしとテュテュお姉さんが寝室のベッドで寝ることになった。
 シャーロットちゃんがちょっと嫌そうにしていたけど、ヴェロニカお母さんが「久しぶりにシャーロットと眠りたいわ」と説得し、何とか納得して貰った。
 因みに、テュテュお姉さんが着ていた寝間着は、手芸妖精のおばあちゃんが急ぎで作ってくれていたものだ。

 手芸妖精のおばあちゃんにもお世話になりっぱなしだ!

 久しぶりに、テュテュお姉さんと一緒に眠ることが出来て、わたしは凄く嬉しかった。
 ベッドの中で、ここに来てからの話を聞いて貰って、頭を撫でて貰って「サリーはよく頑張っているわ」と言って貰えて、泣きたくなるほど嬉しかった。
 嬉しいまま、いつの間にか寝てしまい、久しぶりにママの洞窟での夢を見た。
 ママやお兄ちゃん達、お姉ちゃんに会いたい。
 凄く、会いたくなっちゃった。

 しかし……。

 服を着替えているエルフのテュテュお姉さん、意外に胸が大きいんだけど……。
 いや、無いとは思っていない。
 抱きついたりとかしょっちゅうしてたし、その辺りは分かっていたのだ。
 けど、改めてこうやってみると……。

 ヴェロニカお母さんや赤鷲の団のアナさんほどでは無いにしても、凄い!

 なんというか、エルフのイメージ的にもうちょっと慎ましいと思ったんだけど……。
 わたしも、あれくらいになるかな?
 難しいかな?
 う~ん、うっすらとしか分からない、今世のお母さんはどうだったかな?
 う~ん……。
 わたしが悩んでいると、「どうしたの?」と声をかけられた。
 視線を向けると、着替え終えたテュテュお姉さんが不思議そうに見下ろしてくる。
 さすがに、胸の話をするのは恥ずかしかったので「ううん、何でもない。おはよう」と言っておいた。
 テュテュお姉さんも笑顔で、「おはよう」と返してくれる。

 なんだか嬉しかった!

 エルフのテュテュお姉さんが来ようが、やることはやらないといけない!
 寝間着から着替えて、エルフのテュテュお姉さんと部屋を出る。
 テュテュお姉さんに顔を洗うためのお湯を出して上げたりしつつ、自分も身支度をする。
 シルク婦人さんから籠と壷を受け取り、妖精メイドのサクラちゃんと天井から降りてきたスライムのルルリンを両肩に乗せて、飼育所に向かう。
「わたしもついて行って良い?」とテュテュお姉さんが言うので「別に面白いことはないよ?」と答えつつ了承した。
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