変態店長とバイトその１

CASE 10

ヤーマン大佐襲撃事件から3日経過した。

ヤーマン大佐がこのヨカゼ街まで取りに来ると言う話だったが、住民に甚大なる被害を与えるという理由で国境の先にあるエンブ村まで店長が持って行くことになった。
住民が泣いて喜んだのは言うまでもない。

というわけで、湧いて降ってきた大型連休―――の前に、悪友のリンの他ヨーチンとディーを誘って狩りに出向く。
ヨカゼ街の外には大きな森があり、娯楽兼食料採取(若しくは売却して酒代稼ぎ)になるので狩りや釣りをするのが男たちの一般的な娯楽となっている。

家計に与える影響も大きくこれらが下手な男は結婚が遠ざかるので、苦手な者は休みの度に将来のためにと森に入る男も少なくない。

ちなみに今回の場合は……


――――遠ぉくに出掛けるんだからぁ～、精の付く物が食べたいのよねぇ～。フラットちゃぁ～ん、お肉かお魚、タ・ベ・タ・イなぁ～――――


ということで強制的に森に入る事になったのだが。
因みに悪友3人組はこの機にかこつけて小銭を稼ぐ気満々だ。
ちょっとした魔法を使えるものがいるだけで狩りの成功率は格段に上がるし安全性も上昇する。
ウサギやキツネと言った小動物の他、イノシシや熊のような大型の獣にコボルト等弱めの魔物に遭遇することもあるからだ。

「しっかし、お前がいるとホンット狩りが楽だぜ」

雑談をしながら仕留めたウサギの首を落とし木に吊るす。
こいつらに1羽ずつで俺が3羽(内、店長が2羽)。
血抜きも済み、均等に獲物を分けられるのでさぁ帰ろうかと話したところ

「いや、まだ足りないな。1人頭この倍は欲しい」

とリンの一言に二人とも同意する。
どういうことだ？店長へ言付けで手前ぇら3人ヤーマン大佐に紹介してやろうか？あぁん？と脅したところ

「出来心です、夜のお店に遊びに行きたかったのです」

とあっさり白状した。




「お・か・え・りぃ～～～！」

お土産を手にして店長の元へ。
感極まって襲ってくるハグを冷静にかわす。
予想通りだ。

「アタシの為に嬉しいわぁ。お礼、なにがいいかしらっ？」

「夜のお店に行くのにお小遣いを………」

「店長、こいつら人恋しいからハグして欲しいんだって」

「お安いご用よぉ～、あ・り・が・とぉ～～（ギューーー）」

「「「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」」」

親友を差し置いて心躍る話を進めていた三人組に天罰をお見舞いしてやった。
――合掌。