卸商が異世界で密貿易をしています。

ITSUKI

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日本と異世界とその周辺

真幸系列店舗拡大 その7

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「オーナー、これでいいか?」

「はい、ありがとうございます」

ばんじゅうの中身を確認して祐成さんにお礼を言う。
営業形態の変更で常連さんから多少の不満があったものの、原価と利率の見直しにより新・山野飯店は大分業務改善されたらしい。

二人の働く時間と原価が下がって売り上げは値上げにより横ばい状態。
単純に削減した部分が利益に変わった形となる。その額月換算で約25万。

金銭を任せている奥さんによると、月の利益も経費と二人の給料を支払ったうえで少ない月でも5万程は確保できる。
土日、シルイットへ持って行く大量の揚げ物の為に増設した3台のフライヤー(中古良品)の代金も、6年の減価償却(経費扱い)で年24万。
月換算すると2万円差し引かれているのでその『最低』ラインを維持出来るだけで年100万近い利益が出る計算となる。

実際に繁忙期の事を考えると収支はそれ以上になるだろう。

個人的には毎月大量に余ってしまう食材を少しでも処分出来れば構わない――実際、シルイットへ送る揚げ物の材料はシルイットへ送る食料扱いで仕入れている――そんな考えもあっての提案だったので、それでトントンどころか利益が上がって皆ハッピーならこの上ない。

経費と利益に関してはそのまま真幸商会扱いに。
複数店舗となると流石に管理しきれないので、税金などお金の処理は税理士さんに一任する事に切り替えた。
自分の仕事も半分以上税理士さんに渡した形なので、することが無くなって最近は半日で帰って家の掃除ばかりしている。

………あまり認めたくはないが、働くのが当たり前でいつのまにか趣味や自分の時間というものが消え去ってしまっていたようだ。
そこはおいおい新しい事を考えよう。

東條から

「同士もたまには一緒に冒険でもどうだ?」

と誘われたが、流石に丁重にお断りしておいた。
流石にこの年になって冒険は無い。

オーダーショップMAZAKIの食品買い付け金額はやはり異常だった様で税理士さんに質問をされたが、現物と引き換えで商品を得ている事にしたら「そうですか……」で済んでほっとした。

実際に金銭が右から左に、商品が左から右に流れて(シルイットの倉庫に)消え去っているので問題なしと見られたようだ。
ただ、輸送費が0になっているのが唯一のネックになっている。

会社のトラックを使って自腹で東京まで用事ついでに往復したと(いう事にして嘘を)伝えたら怒られてしまった。
来月からはこの手が使えなくなったのでこの1点を何とかしなければならない。

逆にいえばこれさえ何とかしてしまえば、書類上の不備は無くなる。

趣味を旅行に。
毎月東京を往復するだけの旅行………ないない。



シルイット側も堅調で、総菜は紙袋に小分けして1袋銅貨40枚、3袋を銀貨1枚で販売してほぼ毎回完売している。
デライトによると相乗効果でジュースの売り上げも伸びているとか。

大体の1日の流れをまとめてみると……


開店(10時前後)  

小分けを終え開店。
と、同時に唐揚げやコロッケと言った総菜を求めて主婦の苛烈な争いが始まる。


昼前(11時前後)

総菜が売り切れ、争いが終わってから商人たちが利用し始める。
揚げ物の中でも甘味のドーナツだけはまだ余っているのでそちらも一緒に購入する人も。
ラッセルの軽食は人気がないので完全に撤退した。

彼女の中では少しトラウマになっているようだ。

最近では商人たちに加えて富裕層の利用も増えたらしい。
召使いが飲み物とドーナツを持ち帰りで買うパターンも。
富裕層はあまり足を運ばない地域なので単純に認知度が無かったらしい。
ペットボトルごとでの販売は高額のままにも関わらず、買う人は気にせずに買っていく。


終業後(15時ごろ)

学校を終わった学生たちが残りの惣菜を求めて集まってくる。
ドーナツだけはかわいそうなので他の惣菜も少しだけ隠しておいて、この時間にそっと混ぜておく。
この『アタリ』入りが人気を集めている。
余談だが、ドーナツ目的でこの当たりを引いた時、離れた所でドーナツ2袋分と交換しているのを目撃している。


夕方の鐘(17時ごろ)

総菜が売り切れたら店じまい、売り切れなくても夕方の鐘が鳴ったら閉店だ。
滅多に余らないが、悪天候などで余った時にはミスティ・デライト・ラッセルにあげている。

エルモ達?
そりゃあ店頭に並べるに確保してますわ。
一度、時間に遅れて確保し忘れた次の日

「隼人さん、お待ちしておりました。えぇ、私たちの事を忘れるくらい忙しいみたいですので自分たちの分は自分たちで確保しておこうかと。いえ、怒ってなどいませんわ。隼人さんの手を煩わせるのも悪いですから。えぇ、全く。全く怒ってなどいませんわ」

こんな感じでクローゼット前に待機されていた事がありまして………。



真幸商会では経費を差っ引いても月80万程が懐に入ってきて。

シルイットでは金・銀・銅貨が貯まっていって。

シルイットの倉庫には余った保存のきく食材や調味料の類が貯まっていって。

加えて自分の仕事も東條の手をほとんど借りずとも半日かからなくなってきた。

お金も時間も出来て、残ったのは心に空いた大きな穴。

親父の背中を追って、たまたま出会った不思議な出会い。
俺のやりたい事って、何だったっけ…………。






追記
元飯店の売り上げ試算(生活費トントンの時)

大まかな収支計算
昼 単価600×15席(店内7割埋まり)×2回転→18k

夜 単価1500(2~3品+2杯)×15×1.5→35k

53k×25日営業→目安月売り上げ130万円


大まかな出費内訳
税金20万+材料費65万+水道光熱費等5万+経費や雑費(割り箸等の消耗品・欠けた食器交換・ゴミ処理・減価償却費・買い出しの交通費他)10万

目安収入30万(2人営業、週1休み)


改善後

材料費で20万以上の削減(*使用する材料費減・スーパー購入分の切り替えも考え。)、減価償却費+2万増。2人の人件費合わせて40万で計算

結果  +5万以上
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