完結【R18】おいもではじまるシークレットベイビー

加賀美 ミロ

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縁とゆかりのあるオトコ、運命に出会う その3

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<<引き続き、リオネル青年の心の声が流れます、温かい目で見守ってやってください>>


雨音響く、荷受け場。荷受け場の屋根をうつ雨音がやけに大きく聞こえる。

(しまった、つい彼女に触れてしまった、、ハァん、しっとりとした肌触りダァ)

「あ、そっか、ごめんなさいこれ私が使ったハンカチだから汚いわよね」

(何を言っている、汚いわけがないじゃないか!なんなら私がそのハンカチを金貨10枚で買おう)

自分の行為を恥かしくおもったマリアンヌがもじもじと下をむいてしまったのをみてリオネルは脳内で叫んでいた。

(ぬぉぉぉぉぉ、なんか天使がモジモジしている、可愛い、どうした、いったいどうしたんだ?もしや私に触られて運命を彼女も感じてしまったのだろうか???そうか、そうなのか?)

婚約者がいたとて負けはせぬ、なんなら爵位でも商会でも使えるものはつかって彼女を奪ってやると武者震いに震える童貞伯爵20歳。娼館の経験もなし。

後ろからぽそりと、暫定婚約者とリオネルに敵認定(誤認)された男が「うぅ寒っ」と呟いたのが耳に入ったところで彼はトランクの中に浴用に用意していたタオルという厚手の布があるのを思い出し荷の中から2つ取り出す。

1つは敵の男の視界を遮るべく頭上に被せ、もう一つは天使の濡れてしまった美しい茜色の髪を拭こうとそっとマリアンヌの頭に被せる男。

しかし、そういうことは本来相手の許可をとっておこなうべきです。

だって彼らは本日初対面ですから。

しかし、そんなことに思い至るはずもない妄想機関車リオネル。

(はぁ、濡れた彼女から香り立つ匂いは脳髄を刺激する、、、ハァハァ)

タオルの厚みと遮られた視界でマリアンヌが何されているかわからないであろうことを利用?し、タオル越しに頭部の匂いをすんすんし出す巨人。

その様子を高級タオルで髪や体を拭きながらハリーは眺めていた。

→ここはハリーの内心です: うわぁ、マリーやべえやつにロックオンされてるぅ



マリアンヌの視界に入るべく、ふかふかタオルをどかしたリオネルさん。
 
「あの、ありがとうございます。気を使わせてしまって申し訳ございません」

(ふぉぉぉっ、タオルの中から天使爆誕♡)

興奮のあまり頭に血が登り始めた変態伯爵を心配した天使ことマリアンヌ。

「大丈夫ですか?熱っぽかったりしますか?ご気分は悪くありませんか?」

(大丈夫ではない、君にお熱、そして気分は最高だよベイビー♡)

頭脳派ヒョロ巨人は実はたいそう大衆小説に造詣ぞうけいが深く、貴族らしからぬ語彙力も豊富である。

「あの、この布お貸しくださいますか?」

(その願いは聞いてあげれないよ、マイスイートハート、このタオルはこのまま真空処理をして家宝にするからね)

「あと、えっと、すこし頭を下げてください」

(頭をさげろ、私に隷属の礼を取れというのか?はい、よろこんで~♡)

脳内だけで会話を続ける若き伯爵様は愛する天使にこうべを垂れた。

(ポフポフ、ぽふぽふ???うわぁぁぁぁ、天使の香りのタオルに俺の匂いがミックスしてしまうっ、あ、それもいいかもタオルの中で混じり合う2人の男女はそして・・・)

もう嫌だ、変態の脳内を変換して文字起こしするの作者辛くなってキタァ

・・・気を取り直し。



心優しきマリアンヌは領にいる頃にお世話していた騎獣のサイモン(北方大蜥蜴ほっぽうおおとかげ、メス、当時3歳)を思い出しながらポフポフ、こしこし、ぱんぱんとリオネルの体を四方から温めるように拭きあげていく。

(あぁ、天使に、私の運命の女神に俺はいま昇天させられようとしている・・・)

垂れている頭と普段使い慣れていない語彙を動員しているせいでリオネルの頭にはどんどん血が昇っていく。

(やばい、鼻血がでるっ)

不穏な血管の動向に思わず頭をあげたリオネルの顔を何故か心配そうに見上げてくる女神。

「ハリーこちらの方が風邪を召されると大変だわ、あなたも急いで湯浴みして。もうこの時間だからお湯をつかえるはずよ。案内あとはよろしくね」

(わたしが風邪をひくことを心配しているのか、女神はどこまで慈悲深いのか、泣ける。ん?何、湯浴み?入浴?つまり裸、なんて破廉恥なんだ俺の天使は小悪魔なのか?)

いや、もう叔父さんのこと酷く言えないよねリオネルさん。あなたの脳内暴走は遺伝ではないでしょうか。

そんな変態的な妄想を膨らますリオネルを青ざめさせるシチュエーションが目の前に生じた。

小悪魔が他のオスにもその可愛い顔で誘惑している。

実のところ、それはただ寮管友のハリーを普段のおふざけの延長で威嚇しているだけのマリエンヌの姿なのだが”誘惑している”などと捉えた阿呆が一人。

(ゆ、ゆるさん、私の可愛い天使にサーベル一本分以内に近寄るとは!!)

とりあえず本日帯剣していないので、殺気を飛ばす。

オリウス家は先祖に竜の血を引くと言う英雄をもち、その血の内に猛々たけだけしい雄を飼い慣らしている。

富豪の伯爵家に生まれたリオネルは幼少の頃から己の身を守るため最低限の鍛錬はおこなっていた。そのため、敵に殺気を飛ばし威圧することなどお手のものだった。

人生で初めて殺気を飛ばされたハリー・ウィトワ。

「了解、了解、、、ってナニ、怖いぃぃぃぃ」

(当たり前だ、お前など俺の殺気だけで打ち伏せてやる)

運命の相手を見つけた伯爵様は人生の新たな目標を定めることとなったのであった。
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