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この世の春は誰のもの その2 〜夫への手紙 元侯爵令嬢 サシャ・デルソル より〜
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私の可愛い ハニーベアちゃん へ
愛するくまちゃんは今何をしているのかしら?
結婚したらあなたを独り占めできると思ってたけどなかなかうまくいかないものね。
常に2人きりでいられないのが寂しいわ。ダーリンもそうでしょう?
くまちゃんってば表の仕事に加えて裏の仕事でもどんどん評価されて忙しくなっちゃうし。
そんなシゴデキなところも好きだけど、愛してるけど!!
独りでいると寂しくて死んじゃいそうなので仕方なく私は仕事しています。
そしたら私まで忙しくなっちゃってこれって本末転倒っていうんじゃないかしら。
デキる女は辛いわね。
あぁ、本当は2人きりで家にこもっていたいのよ。そこの初心忘れちゃダメだからね?
結婚するためにお金を稼ぎまくっていたけれど、もうそろそろ十分な蓄えはあるじゃない?
お金のために仕方なく手伝っていた家業の密偵ごっこもそろそろ引退したいわ。
私は家でちまちま細工師の仕事をしているほうが性に合っていると思うのよ。
お財布くんのアイデアを商品化しているうちに相当な特許料が入ってくるようになったしね。
そうそう、知ってる?
お財布くんとあなたの後輩のおいもちゃんが住んでいる男爵領には”冬籠”っていう素敵な習慣があるの。
冬の間何ヶ月も堂々と家に引きこもっていられるそうよ。
最高じゃない!? 私たちも男爵領に引っ越してしまいましょうか。
私のすばらしい作戦のおかげであの2人は無事婚姻と特許許可が叶ったわけだし。
私が頼めば男爵領に住まわせてくれると思うのよね。脅してみようかな。
あの2人はこの国で1、2を争う資産家なんだから私たち2人を雇うくらい余裕だもの。
仕事をしないで生きていくのは難しいから働くのはいいとして。
王都で生活する必要はないんじゃないかしら。
王都に居れば私やあなたの家族から次から次へと何かさせられて忙しくなるし。
いっそのこと辺境の男爵領で生活していればさすがに今ほど仕事振られないと思うのよ。
なんだか書いていけば行くほどいいアイデアに思えてきたわ。
そうよ、本当に移住しましょう!!
帝都への出張なんかも王都にいなくちゃいけない理由ないわ。
あの子たちのいる男爵領にはすっごいいい感じの伝書ドリとか騎獣もいっぱいいるのよ。
隣領のスピナ公爵領には大きな港もあるから、辺境からでも帝都や他の国に王都より早く行けるわ。
マロー様も右腕の私が公爵領の近くにいる方が嬉しいでしょうし。
やっぱり、いいわ、そうよ移住しましょう。
ところで、
可愛い2人をいじめていたあの帝国野郎だけどあっちでもけっこうやらかしているようなの。
宰相補佐なんて名乗っているし、皇太子殿下の側近と触れ回っているけどどうもそれも詐称みたい。
見た目キラキラの侯爵令息っていうのは事実だからそう言われればみんな信じちゃうんでしょうよ。
実際は親の七光りで、本人もうっすらそれをわかっているから結果を出そうと必死みたいね。
おいもちゃんに目をつけたのはいいセンスしていると思うけど、やり方が間違っているわ。
彼女と対等に取引するだけでも相当な利があったのにね。
そうしないで自分の駒になんかしようとしたのがヤツの敗因よ!
彼女はそんなタマじゃないし、彼女を大切に思っている周りがそんなことはさせないもの。
彼女を十分に調べないで下手に飛びついたのが運の尽きね。
いろいろまだ悪あがきをしているみたいだからしばらくは私も監視をつづけるわ、ふふふ。
帝国野郎は真の目的であるもう一人の公妾候補ちゃんを手に入れるまでは、何するかわかんないから。
こちらの国にはもうさすがに手をだしてこないとおもうけど他の被害者がでないようにしないとね。
それにしても本当に好きな相手なら堂々と正面からぶつかっていけばいいのにまどろっこしいやつよね。
絶対あいつの目的は達成できないと断言できるわ!!
それにしてもあの美丈夫捕まえて、ゴリラってよぶおいもちゃんのセンス。爆笑ものよね。
彼女が人の名前をまともに覚えられないのを今回は”使える”と判断しての作戦だったけど、ゴリラはないわ。
まぁ本当のゴリラは真にイケメンだから、あのハリボテ美丈夫にはすぎた名前だと私はおもったけど。
移住の件、真剣にかんがえましょう!
やっぱりあなたがそばにいないとさみしくてしんじゃいそうです。
愛をこめて
あなたの愛の片われ サシャ より
愛するくまちゃんは今何をしているのかしら?
結婚したらあなたを独り占めできると思ってたけどなかなかうまくいかないものね。
常に2人きりでいられないのが寂しいわ。ダーリンもそうでしょう?
くまちゃんってば表の仕事に加えて裏の仕事でもどんどん評価されて忙しくなっちゃうし。
そんなシゴデキなところも好きだけど、愛してるけど!!
独りでいると寂しくて死んじゃいそうなので仕方なく私は仕事しています。
そしたら私まで忙しくなっちゃってこれって本末転倒っていうんじゃないかしら。
デキる女は辛いわね。
あぁ、本当は2人きりで家にこもっていたいのよ。そこの初心忘れちゃダメだからね?
結婚するためにお金を稼ぎまくっていたけれど、もうそろそろ十分な蓄えはあるじゃない?
お金のために仕方なく手伝っていた家業の密偵ごっこもそろそろ引退したいわ。
私は家でちまちま細工師の仕事をしているほうが性に合っていると思うのよ。
お財布くんのアイデアを商品化しているうちに相当な特許料が入ってくるようになったしね。
そうそう、知ってる?
お財布くんとあなたの後輩のおいもちゃんが住んでいる男爵領には”冬籠”っていう素敵な習慣があるの。
冬の間何ヶ月も堂々と家に引きこもっていられるそうよ。
最高じゃない!? 私たちも男爵領に引っ越してしまいましょうか。
私のすばらしい作戦のおかげであの2人は無事婚姻と特許許可が叶ったわけだし。
私が頼めば男爵領に住まわせてくれると思うのよね。脅してみようかな。
あの2人はこの国で1、2を争う資産家なんだから私たち2人を雇うくらい余裕だもの。
仕事をしないで生きていくのは難しいから働くのはいいとして。
王都で生活する必要はないんじゃないかしら。
王都に居れば私やあなたの家族から次から次へと何かさせられて忙しくなるし。
いっそのこと辺境の男爵領で生活していればさすがに今ほど仕事振られないと思うのよ。
なんだか書いていけば行くほどいいアイデアに思えてきたわ。
そうよ、本当に移住しましょう!!
帝都への出張なんかも王都にいなくちゃいけない理由ないわ。
あの子たちのいる男爵領にはすっごいいい感じの伝書ドリとか騎獣もいっぱいいるのよ。
隣領のスピナ公爵領には大きな港もあるから、辺境からでも帝都や他の国に王都より早く行けるわ。
マロー様も右腕の私が公爵領の近くにいる方が嬉しいでしょうし。
やっぱり、いいわ、そうよ移住しましょう。
ところで、
可愛い2人をいじめていたあの帝国野郎だけどあっちでもけっこうやらかしているようなの。
宰相補佐なんて名乗っているし、皇太子殿下の側近と触れ回っているけどどうもそれも詐称みたい。
見た目キラキラの侯爵令息っていうのは事実だからそう言われればみんな信じちゃうんでしょうよ。
実際は親の七光りで、本人もうっすらそれをわかっているから結果を出そうと必死みたいね。
おいもちゃんに目をつけたのはいいセンスしていると思うけど、やり方が間違っているわ。
彼女と対等に取引するだけでも相当な利があったのにね。
そうしないで自分の駒になんかしようとしたのがヤツの敗因よ!
彼女はそんなタマじゃないし、彼女を大切に思っている周りがそんなことはさせないもの。
彼女を十分に調べないで下手に飛びついたのが運の尽きね。
いろいろまだ悪あがきをしているみたいだからしばらくは私も監視をつづけるわ、ふふふ。
帝国野郎は真の目的であるもう一人の公妾候補ちゃんを手に入れるまでは、何するかわかんないから。
こちらの国にはもうさすがに手をだしてこないとおもうけど他の被害者がでないようにしないとね。
それにしても本当に好きな相手なら堂々と正面からぶつかっていけばいいのにまどろっこしいやつよね。
絶対あいつの目的は達成できないと断言できるわ!!
それにしてもあの美丈夫捕まえて、ゴリラってよぶおいもちゃんのセンス。爆笑ものよね。
彼女が人の名前をまともに覚えられないのを今回は”使える”と判断しての作戦だったけど、ゴリラはないわ。
まぁ本当のゴリラは真にイケメンだから、あのハリボテ美丈夫にはすぎた名前だと私はおもったけど。
移住の件、真剣にかんがえましょう!
やっぱりあなたがそばにいないとさみしくてしんじゃいそうです。
愛をこめて
あなたの愛の片われ サシャ より
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