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Episode6
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ガタンガタン。
馬車で揺られながらほっと息をつく。
「大丈夫ですか?」
目の前に座っているユーリ様が心配そうに声をかけてくれる。
「はい。それより、そちらの方は…」
ユーリ様の隣に座り、馬車に乗り込む前からじっとこちらを見ている茶髪の美男子。
金色の目はとても綺麗だが、何だか少し怖い。
「挨拶が遅れ申し訳ありません。私は第一騎士団副団長、レイ・アーカーシュと申します。以後お見知り置きを」
丁寧な言葉遣いだが冷たさを感じる。
「私はルナと申します。こちらこそこれから宜しくお願い致します」
笑顔で挨拶するが、レイ様は1度頭を下げるとすぐに目を逸らす。
「申し訳ありません。レイは少し人見知りでして…」
「大丈夫ですよ。私も人見知りですから、気持ちは分かります」
ユーリ様が少し困ったようにフォローする。
アーカーシュって事はユーリ様とレイ様は兄弟かな。でも、全然似てないし、髪の色も目の色も違う。訳ありかな?どちらにせよ、あまり深く踏み込むのは良くなさそうだ。
それに、今聞いても多分教えて貰えないだろう。まずは心を開いてもらうのが先だな。
「ユーリ様、王都には何か特産物はあるのですか?」
「そうですね。ドゥーレという果物が有名です。他国との交易にもよく利用されています」
「それは甘いのですか?」
「はい。とても甘くて美味しいですよ。パイやジャム、デザート等にもよく使われています」
「それは是非食べてみたいです!考えただけでもお腹が空いてきます!」
思わず舌なめずりしてしまう。
「「!?」」
すると、ユーリ様とレイ様が驚いた顔で私を見る。
「あ、えっと…」
いけない。ちゃんと静かでおしとやかな"ルナお嬢様"を演じないと。
「ルナお嬢様のそんな顔が見られる日がくるとは思いませんでした」
「…本当にあの"ルナお嬢様"ですか?」
ユーリ様は嬉しそうに笑い、レイ様は知らない人でも見ている顔だ。
私にとっては初めて会う人だけど、レイ様にとっては違うのだろう。
だから冷たい感じがしたのかな。
「申し訳ありません。つい取り乱してしまいました」
「何仰ってるんですか。私はルナお嬢様のそういう表情好きですよ」
ドキッ。
このイケメンめ。言う事もイケメンだよ。
「ふふっ、ありがとうございます。ですが、そういう風に言われるのは慣れません」
嬉しくてつい笑ってしまった。
「………」
「…どうかしましたか?」
何だか2人とも少し顔が赤い気がしたが、すぐに元に戻った。
気のせいかな。
「わぁ…」
外を見ると、色んな店が並び、見た事もない野菜や果物、魚や装飾品などが売られていた。
おおっ。これは凄いなぁ。後で色々見て回りたい。
わいわいと賑わう道を通り、馬車が止まると、
"黄金の輝き亭"と書かれた看板が目に入る。
あれ?見た事もない字なのに読める。そういえば言葉も通じてるし、これは異世界ものでよくある神様がこの世界に馴染めるようにしてくれたとかそういう感じかな。
にしても名前のセンスが凄い。
馬車で揺られながらほっと息をつく。
「大丈夫ですか?」
目の前に座っているユーリ様が心配そうに声をかけてくれる。
「はい。それより、そちらの方は…」
ユーリ様の隣に座り、馬車に乗り込む前からじっとこちらを見ている茶髪の美男子。
金色の目はとても綺麗だが、何だか少し怖い。
「挨拶が遅れ申し訳ありません。私は第一騎士団副団長、レイ・アーカーシュと申します。以後お見知り置きを」
丁寧な言葉遣いだが冷たさを感じる。
「私はルナと申します。こちらこそこれから宜しくお願い致します」
笑顔で挨拶するが、レイ様は1度頭を下げるとすぐに目を逸らす。
「申し訳ありません。レイは少し人見知りでして…」
「大丈夫ですよ。私も人見知りですから、気持ちは分かります」
ユーリ様が少し困ったようにフォローする。
アーカーシュって事はユーリ様とレイ様は兄弟かな。でも、全然似てないし、髪の色も目の色も違う。訳ありかな?どちらにせよ、あまり深く踏み込むのは良くなさそうだ。
それに、今聞いても多分教えて貰えないだろう。まずは心を開いてもらうのが先だな。
「ユーリ様、王都には何か特産物はあるのですか?」
「そうですね。ドゥーレという果物が有名です。他国との交易にもよく利用されています」
「それは甘いのですか?」
「はい。とても甘くて美味しいですよ。パイやジャム、デザート等にもよく使われています」
「それは是非食べてみたいです!考えただけでもお腹が空いてきます!」
思わず舌なめずりしてしまう。
「「!?」」
すると、ユーリ様とレイ様が驚いた顔で私を見る。
「あ、えっと…」
いけない。ちゃんと静かでおしとやかな"ルナお嬢様"を演じないと。
「ルナお嬢様のそんな顔が見られる日がくるとは思いませんでした」
「…本当にあの"ルナお嬢様"ですか?」
ユーリ様は嬉しそうに笑い、レイ様は知らない人でも見ている顔だ。
私にとっては初めて会う人だけど、レイ様にとっては違うのだろう。
だから冷たい感じがしたのかな。
「申し訳ありません。つい取り乱してしまいました」
「何仰ってるんですか。私はルナお嬢様のそういう表情好きですよ」
ドキッ。
このイケメンめ。言う事もイケメンだよ。
「ふふっ、ありがとうございます。ですが、そういう風に言われるのは慣れません」
嬉しくてつい笑ってしまった。
「………」
「…どうかしましたか?」
何だか2人とも少し顔が赤い気がしたが、すぐに元に戻った。
気のせいかな。
「わぁ…」
外を見ると、色んな店が並び、見た事もない野菜や果物、魚や装飾品などが売られていた。
おおっ。これは凄いなぁ。後で色々見て回りたい。
わいわいと賑わう道を通り、馬車が止まると、
"黄金の輝き亭"と書かれた看板が目に入る。
あれ?見た事もない字なのに読める。そういえば言葉も通じてるし、これは異世界ものでよくある神様がこの世界に馴染めるようにしてくれたとかそういう感じかな。
にしても名前のセンスが凄い。
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