96 / 193
番外編
14
しおりを挟むゲームセンターが初めてなのに玩具だとしても銃を使い慣れてるような俺を何一つ気にしないで笑う様子は、銃と関わりのない生活を送ってきたのだと分かる
颯がどれだけ大切にしてたか、血の匂いを気付かせないように、そして敵からも守っていた颯に少しだけ羨ましくなる
『 んー!中々取れない! 』
「 この犬がいいの? 」
『 うん!お兄ちゃんみたいで 』
二階のクレーンゲームへとやって来れば一目見て立ち止まり、何度かやってる陽妃が狙うのは颯のようにふてぶてしい顔をしてるがクリーム色をした柴犬みたいなぬいぐるみ
クレーンで掴むというより、ボールの先に板がありその左右をずらして落とすと言うゲーム
掴むだけならまだ簡単だと思うんだけど、余りにも頑張るからやってみた
「 陽ちゃんはお兄さんが好きなの? 」
『 ....はい、過保護で口煩い兄ですが、とても優しくて.... 』
アームを動かしながらいい位置を考えつつ問い掛けた俺に陽妃はほんのりと頬を赤くし照れたように答えた
『 でも、完璧すぎるから....劣る私が嫌なんです 』
「 優れた人を見るとね 」
『 拓斗さんもあるんですか? 』
「 あるよ、でも....この世に完璧な人なんていないから 」
ボタンを押しワームが下がれば板をズラす
陽妃がやるより大きくはずれたけどそれでも落ちることない其を見て笑みを浮かべる
「 俺も完璧じゃない。きっと君のお兄さんも君の前では強がってるだけだよ 」
『 ....もし、そうなら。弱音とかも吐いて欲しいです 』
海斗もきっと同じ事を考えてるのだろうか、そう思うと颯の気持ちも分かるし陽妃の言ってることは痛いほどに胸へと刺さった
コインを入れアームを動かしながらもう一度狙って、ボタンを押す
「 俺が兄なら弱さは見せないかな 」
『 何故ですか? 』
ぐらりと揺れ、そのままぬいぐるみが出口へと落ちればしゃがみこ中から取り出し差し出しながら笑った
「 だって、可愛い妹がいたらお兄ちゃん頑張りたくなるよ。其が兄ってものだからね 」
『 そう言うものなんですね....フフッ、ありがとうございますっ 』
抱き締めれるほどの縫いぐるみを嬉しそうに受け取る陽妃を見れば、颯が弱音を見せないのは分かる
泣かせたくないとな色んな思いがあるから弱音を言わないのだろ
10年以上共にいる俺にも言わないのだから、自分より弱くて守る対象には尚更不安にさせないと思う、俺ならそうするから
『 次、プリクラ撮りませんか? 』
「 プリクラね~詐欺って遊ぼうか! 」
『 はいっ 』
陽妃と居ると海斗と遊んだような気持ちになる
遊べなかった俺がこうして時間を返してるよう
けれど、海斗じゃなければ意味ないんだと思う
それに俺は....彼女に恋心を持たせる必要がある
そのやり方は何一つ分からなくなったほどに、陽妃の素直な笑顔や言葉が聞きたくなっていた
「( 駄目だな....下手な感情は任務を失敗させるのに )」
プリクラの機械がある三階へと嬉しそうにエスカレーターを上がる陽妃の後ろ姿を見てから目線を外した
俺は、陽妃を誘惑するのに戸惑っていた
颯の子供とかじゃない、只....陽妃の初恋が俺ではなく他の人がいいんじゃないかと思うから
結局最後はふってしまうことになるのだから、好きな相手を見付けて欲しい
颯のような兄心がある
『 この機械にしましょ! 』
「 200円いれるよ。楽しみだね~! 」
『 はいっ! 』
写真やら極力避けてる俺が撮られてもいいなんて可笑しな話
まぁ、今どきのプリクラは詐欺並みに顔が変わるからいいか
『 ははっ!拓斗さんメルヘンチックになったね!綺麗で可愛い! 』
「 宇宙人の間違いだよ。フフッ、陽妃ちゃんは実物の方が数倍も可愛いけどね 」
『 なっ、御冗談を! 』
32歳の俺が高校生とこんなにはしゃげるなら、たまには悪くないよね
『 あの、沢山遊んでくださりありがとうございました 』
「 俺の方こそありがとう。次は食事でもしようね 」
『 あ、はい! 』
沢山遊んで、簡単なカフェも一緒に食べ過ごした
雨は上がり雲の隙間から光が射し込めば、ふっと振り返った時には虹がかかっていた
まるで陽妃と俺を繋いでるような、そんな橋は色鮮やかに人々の心を魅了した
「フフッ、悪くないよ 」
歩きながら手に持ったプリクラの半分を見て笑みは溢れる
悪くない、また会いたいと思うほど楽しかったよ
0
あなたにおすすめの小説
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました
芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」
魔王討伐の祝宴の夜。
英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。
酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。
その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。
一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。
これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。
嫁がされたと思ったら放置されたので、好きに暮らします。だから今さら構わないでください、辺境伯さま
中洲める
BL
錬金術をこよなく愛する転生者アッシュ・クロイツ。
両親の死をきっかけにクロイツ男爵領を乗っ取った叔父は、正統な後継者の僕を邪魔に思い取引相手の辺境伯へ婚約者として押し付けた。
故郷を追い出された僕が向かった先辺境グラフィカ領は、なんと薬草の楽園!!!
様々な種類の薬草が植えられた広い畑に、たくさんの未知の素材!
僕の錬金術師スイッチが入りテンションMAX!
ワクワクした気持ちで屋敷に向かうと初対面を果たした辺境伯婚約者オリバーは、「忙しいから君に構ってる暇はない。好きにしろ」と、顔も上げずに冷たく言い放つ。
うむ、好きにしていいなら好きにさせて貰おうじゃないか!
僕は屋敷を飛び出し、素材豊富なこの土地で大好きな錬金術の腕を思い切り奮う。
そうしてニ年後。
領地でいい薬を作ると評判の錬金術師となった僕と辺境伯オリバーは再び対面する。
え? 辺境伯様、僕に惚れたの? 今更でしょ。
関係ここからやり直し?できる?
Rには*ついてます。
後半に色々あるので注意事項がある時は前書きに入れておきます。
ムーンライトにも同時投稿中
【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。
きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。
自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。
食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる