不器用な大富豪社長は、闇オクで買った花嫁を寵愛する

獅月@体調不良

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此方が問わない限り、男性が口を開く事はなかっ
た。

食事の際は、メニューの説明だけで話す事はなく、終わり次第、早々に片付けて部屋を出て行ったんだ。
 
当たり前と思えば、当たり前だけど…。

「 こんな広い部屋に…一人残されてもな… 」

タワマンにあるモデルハウスの様な、完璧過ぎる綺麗な部屋。
 
床にくすみも無く、ホコリもない。
 
それ以外にも、キッチン周りには料理器具や電化製品は揃っているのに、カトラリーのナイフはもちろん、刃物類は一切ない。
 
そして脱衣場には、洗濯機が無い。

何でもあると言われたけど、家事が出来そうな掃除道具も無いから、有るようでない部屋だと思う。

「 さっきの着替えも…あの人が持って行ってしまったし…。自分の服ぐらい…洗濯できるのにな… 」

家事をしていたら気が晴れそうなのに、
それをする事も出来ず、ソファに座ったまま何をするべきか、考えてみた。

考えた結果、目の前にある埋め込み式タイプの大きなTVを眺め、リモコンらしきものがあったから、つけた見た。

「 ちゃんと普通のチャンネルが全部観れるし…。こっちは…サブスクだよね?それも、CMとかで知ってるやつ全部…登録されてる。TV見放題… 」

これだけで時間潰せるんじゃないかってぐらいに、TVのありとあらゆるサブスクが登録されていて、適当なchをつけたまま、近くのTV台の様なタンスを開くと、中には最新から古いタイプのTVゲーム一式があり、
横の戸棚には、それ等に使えるゲームもびっしりと入っていた。

「 わお、すご…… 」

此処までのゲームソフトを、一般家庭でも中々無いんじゃないかなってぐらいの種類に感動すら覚え、棚を閉めて、TVを切ってから部屋を物色してみた。

まず、キッチンに戻ると、壁と同化してる特大冷蔵庫を見かけ、中を開くとコンビニやスーパーにありそうなお菓子が数多く整頓されて入って、
飲料も充実してるし、お酒も色々あった。

次に棚には、駄菓子屋に売ってそうなお菓子が、
大きな容器事あって、懐かしいイカゲソなんかもある。
 
この棚だけで、プチ駄菓子屋になりそうだと思い、扉を閉めては他の部屋を見ていく。

「 7LDKかな?一部屋がかなり広いけど…てか、ここ…ゲーミングルーム…。こっちは、衣装部屋…?すご……ドレスばかり…。アフタヌーンドレスやイブニングドレスってやつかな?よく分かんないけど…  」

一部屋全てが、高価なドレスがぎっちり入った衣装部屋になっていて、その部屋に繋がる、隠し部屋みたいな扉の向こうには、靴が並んでいた。

「 全部…高級なブランド物……。こっちのバック専用の棚も……此処まで、揃ってるなら…もしかして… 」

此れだけの物があって、あれがないはずが無いと思い、その部屋達の横にある、黒い高級感が漂うタンスを開いてみた。

「 うわっ………すご…… 」

そこには一生、目にすることもないであろう
高級ジュエリーの数々が並んでいた。

ネックレスやらブレスレット、指輪やイヤリングに至るまで全て、本物の宝石が使われてるだろう。

「 どんな金持ち……。いや、100億をボンッと出せる人だから…これだけの物、買えるのも不思議ではないかもね… 」

触ったら罰が当たりそうだから、静かに扉を閉めて、見なかったことにした。

女性向けのジュエリーが、如何してこれ程まで、揃ってるのかは分からないけど、私に合うものではないって事だけは分かる。 

「 ……此処は、寝室。広っ… 」

最後に、奥にある寝室に辿り着くと、
一人で寝るには広すぎる、キングサイズのベッドが堂々と存在した。
 
白いシルクに花柄が描かれた可愛らしい掛け布団のような布に合うよう、この寝室全体がお姫様みたいな女性向けになっている。

「 どれだけ可愛い子を買おうと思ってたんだろう…。私に、これは…合わないかな… 」

天窓付きのカーテンレースを含め、明らかに私の様な二十代後半が使っていい部屋じゃない。
  
「 あの執事さんが来たら…ちょっと、聞いてみようかな…。本当に使っていいのか… 」

それまでリビングの床で寝起きをしようと決めて、部屋の探索を終えては、定位置になりつつある、ソファの下で座り込んだ。

「 もしかしたら…これは全部、夢なのかも知れない…。じゃないと…此れだけのもの…見るなんてありえない…。私のものじゃない…。誰か、他の…お嬢様のものだ… 」

見なかったことにしよう…。

そう思い、ぼんやりとした時間を過ごしていると、十時頃にあの執事がやって来た。

「 いいえ、この部屋にあるもの全て…貴女様、只一人のものです 」

「 え……嘘…でしょう? 」

「 嘘ではございませんよ。主人が、貴女様を迎え入れると決めた日から、世界中から集めたものです。好きに使ってもいいですし、壊しても、売っても構いません 」

「 そんな、でも…私…オークションで買われてから、すぐにここに来たけど… 」

此れだけの品数を、そう簡単に集めれるとは思えないから、戸惑いを隠せず見詰めると、彼は紅茶を注ぎつつ答えた。

「 此れは…余り言わない方が宜しいのですが…。オークションに出品される商品は、検査の段階で…ある程度は、情報が届くのです。なので、主人は、貴女がオークションに出品される一週間前から御準備を始めていましたよ。あの日も、あの金額で落札することを見越して…現金も持って行ってましたからね 」

そう言えば、この人が現金と私を交換した人物であることを思い出した。

目隠しをしてたから顔までは分からないけど、
この声は…確かにそうだと思う。

「 一週間で、此処まで揃うものなんですね… 」

「 そうですね。主人に不可能な事はございませんから 」

「 ……流石、何処かの大富豪…やることがすごい 」

語彙力が無くなる程に、私はこの部屋の物全てを、一週間以内で集め切り、それを尚且つ綺麗に整頓して入れた、使用人達の行動にも驚かされた。

これが大富豪…。

まだ顔も知らず、どんな人かもわからないけど…。

「 ところで…あと何回、食事があるんですか? 」

「 この後はお昼と、三時におやつの時間を予定しております。そこではアフタヌーンティースタンドをお持ちしますので、二十五種類のケーキの中からお好きなのを好きなだけ食べましょう。その後…夕食が… 」

「 待って待って、せめて…昼抜きとそのおやつの時間抜きで。そんなに食べ切れないので… 」

「 おや、食べ切らなくてよろしいのですよ?その時間を楽しんで貰えたらなによりです 」

貧乏人にとって、食べ物を残すのがどれだけ苦痛なのか…。

きっと彼等には分からないだろう。

なんとしてでも食べ切れないような、三時のおやつは止めなくては!と思い、咄嗟にキッチンの方を指差した。

「 三時のおやつは、駄菓子食べたいので!今日は、大丈夫です! 」

「 おや、あれ等は好きな時間に食べていいものですよ。おやつの時間に食べるケーキとは違います。楽しみにしててください。各ケーキによく合う、最高級のお茶をお持ちしますので 」

「 ……楽しみに、します…( 一週間後…私はきっと太ってると思う… )」

こんな一日五食ぐらいを食べて、尚且つ部屋のあちこちにあるお菓子は食べ放題なんて、デブまっしぐらだと思う。
 
そんな事にはなりたくないから、出来るだけ部屋のお菓子には手を付けないことにした。

いや、つけなくても三時のおやつが余りにも量が多かったから、夕食はそんなに食べれなかったんだ。
 
「 な、なんか…フォアグラ用の鳥の気分… 」
 
あれもずっと、強制的に餌を食べさせられ続けてるって聞いたことがあるから…
私も、このどんどん食べてください!って感じは似てると思った。

でも、ほんの少しだけ…
食事の時間に来る執事やコック達と会うのが、
気晴らしになる気がしたんだ。

外に出ることも無く…。

丸一ヶ月の歳月が過ぎた頃、

忘れていた人物が現れた。

「 ……一ヶ月も時間があったんだぞ!!
何故、今だにこんな見窄らしい格好をしているんだ!? 」

「 申し訳ございません…!!」
 
「 謝れば済むと思っているのか!?御前は、俺が言った頼みを一つも聞けないのか!? 」

忘れていた…。

私を買った大富豪に会う日がきっと来る時が…。

その日が、私が本当にここに来る理由を知ることも…。

緩やかなで、贅沢な時間に忘れ掛けていたけど、
私を見るなり、執事の頬を叩いた高身長の男性は、鬼の形相で彼の胸倉を掴んだ。

「 ネイルやエステサロンに一度も連れて行くことをせず、ずっとこの狭い部屋に閉じ込めていたのか!?美容院にも連れて行ってやれと言ったじゃないか!その全てをしなかったとは、如何言うつもりだ!! 」

「 っ…もう、しわけ…ございません… 」

怒った男性を止める術は、私には分からなかった。

だけど、文句を彼に言うのは間違っては事は知っている。

「 待って、違うんです!!! 」

二人の間に入り、私より遥かに高い男性を見上げては、少しだけ声を張った。

「 私が、出る事を断っていただけです…!私を買って下さった御主人様が、直々に…許可を出してくれるまで…本当に出てもいいのか、不安だったので…! 」

なんとしても、この人の怒りを沈めなければならない。

そう思ったのに、男性の瞳は冷たくなり、胸ぐらを掴んだ手に力が篭った。

「 御前は…彼女に、俺と会った時に" 御主人様 "と呼べと言ったのか……?そんな呼び方をさせろとは、俺は一度も言ってねぇけどな!? 」

「 すみません!!!!私が勝手に呼んでみただけです!! 」

待って、私の主人…

予想外に、めちゃくちゃ怖い…。


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