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しおりを挟む「 じゃ、後は宜しくな 」
逃げたね....
いや、日直が有るから仕方無いだけど
食器の片付けを殆ど俺達に残して班の二人は帰っていった
その他のチームもまた各自、洗い物を終えて早々と教室を出た
此処に残るのは俺と、彼女だけ
そう、目の前には彼女が作って捨てることすらどうするべきかと悩んだ物があるんだ
あの紫色の毒々しい料理が....
『 ....はぁ、料理苦手だから.... 』
溜め息を吐き、小鍋を眺める様子に俺は他のものを片付け終わり考えていた
直ぐに捨てると言う選択肢を無くしたのは俺だ
少しはチームの奴が興味本意で食べるかと思ったが、そんな勇気は彼等にない
勿論俺もそのつもりだったが、折角作ったと考え深く溜め息を吐き
洗い終わったばかりの白い皿を向ける
『 なに? 』
「 一杯ぐらいなら食べてあげる 」
『 いや、いいって.... 』
「 本当に? 」
『 ........ 』
本当に食べなくていいのか?そう思うならきっと捨ててるはず
だが、捨てれないのは誰かしらに食べて欲しかったのだろ
その問いに答えるように、彼女は少し眉を寄せむっとふてくすれば皿へとよそい始める
『 ....ん 』
「 素直でよろしい。いいよ 」
皿を受け取り、スプーンを持ち椅子へと座り直す
少し斜め前へと座った彼女は心配そうに眺めては、俺はごくりと唾液を飲み込み
両手を合わせ、余り匂いを嗅がないよう一口含む
「 ....ん? 」
『 ....? 』
「 これ、紫芋入れてたんだ.... 」
『 そう!美味しいから 』
「 あぁ、だから紫色が出たんだ....塩が強くて辛いけど食べれないことないよ 」
この紫色、化学反応を起こして色がそうなったのかと思ったけど案外食べてみれば砂糖と塩を間違えた程度で悪くない
ぶつ切りで皮とか残ってるけど、ちゃんと温めてあるから肉も生じゃないし....
「 シチューっぽいし、次からサツマイモにすれば 」
『 いや、それ....肉じゃが 』
「 .......... 」
あれ、肉じゃがってじゃがいも使わない?
どう見ても鶏肉、人参、ほうれん草、紫色が入ったシチューみたいなクリームの味がするんだけど
肉じゃがって醤油じゃないかな....?
「 えっ、料理のさしすせそ知ってる? 」
『 知ってる。魚、塩、酢、背油、ソース? 』
「 ....塩と酢しかあってない.... 」
そりや根本的に間違えて覚えてたらこうなると思う
納得するように頷いてから気合いで残りのシチューではなく水分量の多い肉じゃがを食べきった
そのあと、片付けを終わってから俺はトイレから出ることが出来なかったのは言うまでもない
「( はぁ....昼休み、死んだ.... )」
やっとトイレから解放され、机に伏せて死にかけてる俺は何気無く背後の椅子が引かれ座る音に気付き、顔を向ける
「 昼休み、何処かに行ってたようだがどうしたの? 」
話しかけたら答える時は答える
まるで猫のような気紛れな彼女は5時限目の授業の準備をしながら、俺の問いに視線を向け直ぐに反らした
「( 此は男絡みかな....? )もしかして告白されたとか?早いね、来て次の日でって.... 」
『 !! 』
俺はクラスメートの奴がよく茶化すような、そんなふざけた口調で言ったのに彼女は目を丸くさせ分かりやすく顔を染めた
「 えっ....マジで? 」
きっとクラスメートじゃない
それは分かるけど、そんな顔を赤く染めるような相手から告白されて照れるほどなのか?
それに彼氏がいるんじゃ?
ちゃんと断ったよね?
無駄に気になる俺はそれ以上怖くて
聞くことが出来なかった
彼氏がいるのに告白された....
断っただろうか?
それとも流れに流されたのか
そんなの、その日の部活時間に理解した
「 おっ、あの噂の美人さん。水泳部のキャプテンに告白されたらしいぜ 」
「 そうそう!昼休みに見たって奴がいてな、良さそうな雰囲気だったらしい 」
相変わらず情報が早いね
水泳部のキャプテン....確か、高校1年生の時に全国大会まで出場したこの学園のエース
筋肉質で爽やかなイケメンで、直ぐに告白するようなタイプじゃないと思ったのに....
なんだろ、胸焼けがするように気持ち悪い
「 今日は筋力つけるために走るぞ! 」
「「 はいっ!! 」」
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