12 / 39
十一話 黙らせ方は物理で
しおりを挟む
~ 隆一 視点 ~
ルイの妊娠も十六週目に入った
本人が検査を嫌がるから今月に入って一度だけを考えてるが、彼奴等に情報が筒抜になる
まぁ、別に成長段階を教えようがどうでもいいのだが、いちいち小言を言ってくるのが気に入らない
ずっと傍に居るのだから、ルイが浮気なんてするわけ無いし俺も他の者に興味はない
まぁ……だからこそ、成長する子と嫁が可愛くて仕方無いんだが……
「 最近、彼奴にちょっかいかけても本気で嫌がらなくなった…少し前は威嚇してきたのに… 」
「 猫の話ですか? 」
「 いや、ルイだ…… 」
椅子に座り書類を見ながら、真剣に答えていれば他の場所から持ってきた蓮は傾げた後に、鬱陶しそうな視線を向ける
「 ルイさんも落ち着いたのでしょ。というか…諦めたのでしょ。貴方のウザさに 」
「 俺はウザくない筈だ。これでも抑えてる。本当はもっといちゃつきたいが、余りするとかなり機嫌が悪くなるからな…… 」
「 なんですかその、妊娠中のメス犬にちょっかいかける、オス犬みたいなの…… 」
膝の上に乗せて抱き締める以上に、キスしたり胸やら触れてみようとしたら、一気に逃げようとしたり嫌だと拒否される
流石に、これ以上は嫌われたくない為に諦めるのだが……本当はもっと一緒に居たいしラブラブしたいと思ってる
真剣に考える俺は答えた
「 やっぱり我慢するべきか 」
「 当たり前でしょ。妊娠中は不安定なるらしいので、優しく扱ってあげてください。只でさえ、好きでもない男とデキたのに… 」
「 今は好きだと言ってくれる…。が……まだ本気じゃ無いのだろうか 」
「 知りませんよ。ルイさんとは滅多に会いませんので……本人に聞いて下さい 」
そして仕事をしろ、と言ってきた蓮に止まっていた手を動かした
好きだと聞くのは怖いが、触れる程度の行為は良く囁いてはくれる
だが、普段の時はどうだ?俺ばかり言ってるような記憶しか無い為に頭痛がする
そんな事はないだろ……子供を産むことを認めてくれてるし、休日は傍にいても嫌がらない
蓮が言った諦めただけなのなら、彼女が俺に向ける感情は何か知りたくなった
「 嗚呼、聞けばいいのか…… 」
「 また変なことは考えないでくださいね 」
問題ないと答えては、ノック音と共に部下が入ってくる
「 五十嵐様。桐生様から御電話が…… 」
「 あのジジィか……繋げてくれ 」
「 はい 」
受話器へと視線をやり、部下が立ち去った後に直ぐにかかってきては手に取り耳へと当てる
「 なんだ?仕事中なんだが…… 」
“ やぁ、五十嵐くん。聞いたよー。それの事なんだが…… “
「 嗚呼…… 」
また良からぬ事だろうと話だけ聞いて簡単に、切る予定だったのだが、問われた言葉に有ることを考えては口角を上げた
「 分かった。では二週間後に…… 」
言葉を交わして電話を切れば、俺の言葉だけ聞いていた蓮は溜め息を吐いた
「 貴方って本当に、性格が悪い……怒られますよ 」
「 ふっ……だろうなぁ 」
仕事中の俺なんてたいしたことはしてない
人に会ったり会議をしたり、最終的な報告書の確認だけひたすらする程度
そして、ずっとルイの事を考えてはストレスを軽減してる
まぁ、仕事に慣れたのもあるが……大半は面倒な奴等との会話で時間は潰れる
五十嵐グループのトップでありながら、部下に支えられてるのは実感してる
まだ蓮の方が優秀だろうな……
~ 主人公 視点 ~
『 マナーを覚えろ!?やだ 』
家に帰ってきて、夕食の準備をしながら告げた隆一の言葉に即拒否をした
彼の隣には一緒に料理を作る予定の蓮さんも珍しくいるのだが、彼はやっぱりとばかりに頷いた
何故、こんな話になったのかと記憶を少し戻せば
桐生財閥の言うよく分からない上の人が、私を誘ったパーティーを主催するらしく、それに参加するから、ある程度のマナーは覚えて欲しいって
『 最初と話が違う。存在だけ居たらいいって言ってたのに、人前に出るとか。私は見世物や珍獣じゃない 』
「 御尤も 」
「 なっ…。そんなつもりはない。俺の妻と紹介できる機会なんだ。俺の妻なら…… 」
『 その“ 俺の妻なら “って言い方、大嫌い 』
ソファーに座っているまま、顔を向けて睨めば隆一の表情も不機嫌になってるのが分かる
そんなに拒否されたのが嫌なのか、それとも言い方が気に入らないのかはどっちでもいいが
ハッキリと言いたいと立ち上がれば、彼は手を止めてこっちへとやって来た
「 何故嫌なんだ、御前は俺の妻であり恋人だろ? 」
『 私は私物じゃないし。パーティーに参加すると言う条件は最初に無かった 』
「 私物だとは思ってない。パーティーなんて小さい頃にも参加してただろ 」
『 三歳児の強制参加なんて、カウントされない! 』
「( ハァー……やっぱりこうなる )」
横目で蓮さんが溜め息を吐いたのは分かるけど、言わなきゃきっとこの人は分からないし理解しない
それは結婚して、子供が欲しいと言ってた言葉で気付いていた
この人は自身で思ってる以上に子供っぽくて、そして負けず嫌いの我儘だ
「 そんなに俺の為に、参加するのが嫌なのか! 」
『 だからその俺の為って考えが間違ってる。そんなの、私達は友達でしょ?と言って何でも押し付けてくる女友達と変わらない 』
「 俺は女友達じゃねぇ。夫だ 」
『 そういう違いじゃなくて…… 』
腹がキリキリと痛んできた
まるで喧嘩は止めてとばかりに感じる痛みと、興奮した事で熱くなる身体に気分は悪い
「 じゃ、なんだって言うんだ。御前は俺の事が嫌いなのか! 」
『 なんで…… 』
話が通じない事と何も分かってないまま怒って、そして変な方向に向かってる事に気付いた時には
涙が流れそうだった…鼻先が痛くなる
子供が産まれてもいいと思ったのは隆一の子だから……でも、私をパーティーに連れていっても笑い者か、蔑まれるだけだ
自分のため、俺のため……じゃ…私の意思はどこにある……?
「 そうやって泣いて……ご……っ!!? 」
『 なっ!? 』
「 ……うぜぇん、ですよ 」
泣いてないといいかけた時には、隆一の胸ぐらを掴んだ蓮さんによって彼は殴られていた
余りの勢いに目の前で風が吹いたと思うほど早くて、高身長の男は床へと倒れていた
「 いっ……なに…… 」
「 黙れ自己中 」
明らかにこの中で一番怒ってる、めっちゃ怒らせてはダメな人を怒らせたと知ったときには、隆一の肩を踏んだ彼は見下げて、言葉を告げる
「 妊娠させた奴が他にまだ我儘を言うか?考えろってんだろ。御前は性欲しかねぇ、猿か?いいか、恋人やら妻と言うなら。ルイさんが何を言おうがギャーギャー喚くな 」
「 っ…… 」
「 まずは聞け。嫌がる理由が分からねぇ?好きじゃねぇかもしんねぇ?黙れ 」
『( 蓮さん……めっちゃ…こわ…… )』
怖いけど低く言ってる言葉は正論だけど、滅茶苦茶隆一が驚いてると言うより、青ざめてるのが分かる
きっと本人も怒られてるのが理解してるのだろ、彼を見上げたまま硬直している隆一は新鮮だと思う
「 産むと言った時点で御前の事が相当好意をもってんだよ。俺はルイさんより御前が彼女に向ける好意の方が、本当に好きか疑いてぇが…傍で見てたから疑いはしねぇよ。だがな……好きだからって何でも許されると思うなよ 」
蓮さんは、隆一さんが私と結婚すると言ってたから傍でみてきた
だからこそ、一途に思い続けたことは疑わないと言ったけど、だからって怖すぎて理由すら聞けない
「 " 俺の為 "じゃなく、一旦ルイさんの為って考えてみろ。料理を作ってる兄貴なら分かるだろ?何故、パーティーに参加しないと言ったのか。マナーを覚えることだけがきっと理由じゃねぇよ 」
自分の立場を考えろ、と吐き捨てた蓮さんは肩に置いていた脚を退かせて一つ深呼吸すれば私の方へと顔を向けた
優しく微笑んだ表情に一瞬の変わり方に怖くて、僅かに肩を跳ねれば、彼は優しく告げる
「 こんな奴ですが。単純に皆に紹介して自慢出来る機会を与えられて嬉しいだけなんです 」
『( ちゃんとフォローしてる!! )』
怒るだけかと思ってたから、兄をフォローしてる弟の眩しさに感動すら覚えていれば
その兄である隆一さんは立ち上がろうとした
「 …別に俺は……ッ! 」
「 言い訳の前に土下座して謝れや 」
容赦なく腹を蹴り上げてから、頭を踏みつけた
痛い……今のは痛いよ、大理石の床に額を強打してるんだから…
というか、蓮さんの一瞬乱れた服装から見えた肌に似合わない模様に青ざめた
『( えっ、待って……蓮さんって……そっち系の人!? )』
口調が悪いと言うより、サラリーマンとは思えない髪型とは思ってたけど、もしかして……いや、でも隆一はそっち系に見え無いし……きっと見間違えかと思いたい
「 結婚生活、極意その一つは。取り敢えず先に謝ることだ。男は聞け。お父さんも言ってただろ。嫁を怒らすなって…なぁ? 」
「 はい……すみません……でした…… 」
「 その二つは。聞いた後に何故理解できないのか的確に伝えることだ。分かったか? 」
「 はい…… 」
「 よし、やり直せ 」
いや、メンタルボロボロの隆一さんに謝られてもこっちがどうしたらいいか分からないし
寧ろ同情心でパーティー参加してもいいよ!?なんて言いそうだと思う
喧嘩した理由も余り思い出せない位の、インパクトに動揺する私に、隆一は座り直し額の血を片手で拭き、正座すれば告げた
「 ルイちゃんを怒らせてしまって……ごめんなさい 」
『 う、うん……私こそごめんね…… 』
なにこの、カラクリ人形みたいな言い方!
凄く謝ってる感じは伝わらないし、横で聞いてる蓮さんに怯えてるのが雰囲気から分かる
ちょっとだけ焦る私に、隆一さんは深呼吸をしてから清々しいほどにハッキリと答えた
「 俺の事が好きなのか、パーティーに参加して" 私の夫は素敵なの "とか言って欲しくて御願いしました。マナーとか覚えなくていいので……どうぞ、俺と一緒にパーティーに参加してください。後、怒ってる理由をもう少し分かりやすく、説明してください!! 」
蓮さん、教育方法間違ったんじゃない!?って位に素直に言ってきた事に驚きより気持ち悪いと引いてしまった私にたいして、見てるだけの本人は満足気に頷いていた
いやいや……結局は、私を放置して二人で解決してるじゃん……
まぁ、もういいけどね!
『 隆ちゃん…パーティーに参加するよ。好きなのは変わり無いし…でも、私が参加して他の人に何か言われたらどうするの?私はそっちが心配だよ… 』
前の、婦人科医の人達みたいな言葉は嫌だと伝えれば彼は胡座を組み片手を握り締め拳を作った
「 問題ない、黙らせる 」
『 物理で!?止めてね!! 』
蓮さんが手と脚が早かったから、本当に物理でするのかと思うじゃん
というか……蓮さんの腰に見えた模様は言わないことにした
一時、夢で出てきそうだけど…
ルイの妊娠も十六週目に入った
本人が検査を嫌がるから今月に入って一度だけを考えてるが、彼奴等に情報が筒抜になる
まぁ、別に成長段階を教えようがどうでもいいのだが、いちいち小言を言ってくるのが気に入らない
ずっと傍に居るのだから、ルイが浮気なんてするわけ無いし俺も他の者に興味はない
まぁ……だからこそ、成長する子と嫁が可愛くて仕方無いんだが……
「 最近、彼奴にちょっかいかけても本気で嫌がらなくなった…少し前は威嚇してきたのに… 」
「 猫の話ですか? 」
「 いや、ルイだ…… 」
椅子に座り書類を見ながら、真剣に答えていれば他の場所から持ってきた蓮は傾げた後に、鬱陶しそうな視線を向ける
「 ルイさんも落ち着いたのでしょ。というか…諦めたのでしょ。貴方のウザさに 」
「 俺はウザくない筈だ。これでも抑えてる。本当はもっといちゃつきたいが、余りするとかなり機嫌が悪くなるからな…… 」
「 なんですかその、妊娠中のメス犬にちょっかいかける、オス犬みたいなの…… 」
膝の上に乗せて抱き締める以上に、キスしたり胸やら触れてみようとしたら、一気に逃げようとしたり嫌だと拒否される
流石に、これ以上は嫌われたくない為に諦めるのだが……本当はもっと一緒に居たいしラブラブしたいと思ってる
真剣に考える俺は答えた
「 やっぱり我慢するべきか 」
「 当たり前でしょ。妊娠中は不安定なるらしいので、優しく扱ってあげてください。只でさえ、好きでもない男とデキたのに… 」
「 今は好きだと言ってくれる…。が……まだ本気じゃ無いのだろうか 」
「 知りませんよ。ルイさんとは滅多に会いませんので……本人に聞いて下さい 」
そして仕事をしろ、と言ってきた蓮に止まっていた手を動かした
好きだと聞くのは怖いが、触れる程度の行為は良く囁いてはくれる
だが、普段の時はどうだ?俺ばかり言ってるような記憶しか無い為に頭痛がする
そんな事はないだろ……子供を産むことを認めてくれてるし、休日は傍にいても嫌がらない
蓮が言った諦めただけなのなら、彼女が俺に向ける感情は何か知りたくなった
「 嗚呼、聞けばいいのか…… 」
「 また変なことは考えないでくださいね 」
問題ないと答えては、ノック音と共に部下が入ってくる
「 五十嵐様。桐生様から御電話が…… 」
「 あのジジィか……繋げてくれ 」
「 はい 」
受話器へと視線をやり、部下が立ち去った後に直ぐにかかってきては手に取り耳へと当てる
「 なんだ?仕事中なんだが…… 」
“ やぁ、五十嵐くん。聞いたよー。それの事なんだが…… “
「 嗚呼…… 」
また良からぬ事だろうと話だけ聞いて簡単に、切る予定だったのだが、問われた言葉に有ることを考えては口角を上げた
「 分かった。では二週間後に…… 」
言葉を交わして電話を切れば、俺の言葉だけ聞いていた蓮は溜め息を吐いた
「 貴方って本当に、性格が悪い……怒られますよ 」
「 ふっ……だろうなぁ 」
仕事中の俺なんてたいしたことはしてない
人に会ったり会議をしたり、最終的な報告書の確認だけひたすらする程度
そして、ずっとルイの事を考えてはストレスを軽減してる
まぁ、仕事に慣れたのもあるが……大半は面倒な奴等との会話で時間は潰れる
五十嵐グループのトップでありながら、部下に支えられてるのは実感してる
まだ蓮の方が優秀だろうな……
~ 主人公 視点 ~
『 マナーを覚えろ!?やだ 』
家に帰ってきて、夕食の準備をしながら告げた隆一の言葉に即拒否をした
彼の隣には一緒に料理を作る予定の蓮さんも珍しくいるのだが、彼はやっぱりとばかりに頷いた
何故、こんな話になったのかと記憶を少し戻せば
桐生財閥の言うよく分からない上の人が、私を誘ったパーティーを主催するらしく、それに参加するから、ある程度のマナーは覚えて欲しいって
『 最初と話が違う。存在だけ居たらいいって言ってたのに、人前に出るとか。私は見世物や珍獣じゃない 』
「 御尤も 」
「 なっ…。そんなつもりはない。俺の妻と紹介できる機会なんだ。俺の妻なら…… 」
『 その“ 俺の妻なら “って言い方、大嫌い 』
ソファーに座っているまま、顔を向けて睨めば隆一の表情も不機嫌になってるのが分かる
そんなに拒否されたのが嫌なのか、それとも言い方が気に入らないのかはどっちでもいいが
ハッキリと言いたいと立ち上がれば、彼は手を止めてこっちへとやって来た
「 何故嫌なんだ、御前は俺の妻であり恋人だろ? 」
『 私は私物じゃないし。パーティーに参加すると言う条件は最初に無かった 』
「 私物だとは思ってない。パーティーなんて小さい頃にも参加してただろ 」
『 三歳児の強制参加なんて、カウントされない! 』
「( ハァー……やっぱりこうなる )」
横目で蓮さんが溜め息を吐いたのは分かるけど、言わなきゃきっとこの人は分からないし理解しない
それは結婚して、子供が欲しいと言ってた言葉で気付いていた
この人は自身で思ってる以上に子供っぽくて、そして負けず嫌いの我儘だ
「 そんなに俺の為に、参加するのが嫌なのか! 」
『 だからその俺の為って考えが間違ってる。そんなの、私達は友達でしょ?と言って何でも押し付けてくる女友達と変わらない 』
「 俺は女友達じゃねぇ。夫だ 」
『 そういう違いじゃなくて…… 』
腹がキリキリと痛んできた
まるで喧嘩は止めてとばかりに感じる痛みと、興奮した事で熱くなる身体に気分は悪い
「 じゃ、なんだって言うんだ。御前は俺の事が嫌いなのか! 」
『 なんで…… 』
話が通じない事と何も分かってないまま怒って、そして変な方向に向かってる事に気付いた時には
涙が流れそうだった…鼻先が痛くなる
子供が産まれてもいいと思ったのは隆一の子だから……でも、私をパーティーに連れていっても笑い者か、蔑まれるだけだ
自分のため、俺のため……じゃ…私の意思はどこにある……?
「 そうやって泣いて……ご……っ!!? 」
『 なっ!? 』
「 ……うぜぇん、ですよ 」
泣いてないといいかけた時には、隆一の胸ぐらを掴んだ蓮さんによって彼は殴られていた
余りの勢いに目の前で風が吹いたと思うほど早くて、高身長の男は床へと倒れていた
「 いっ……なに…… 」
「 黙れ自己中 」
明らかにこの中で一番怒ってる、めっちゃ怒らせてはダメな人を怒らせたと知ったときには、隆一の肩を踏んだ彼は見下げて、言葉を告げる
「 妊娠させた奴が他にまだ我儘を言うか?考えろってんだろ。御前は性欲しかねぇ、猿か?いいか、恋人やら妻と言うなら。ルイさんが何を言おうがギャーギャー喚くな 」
「 っ…… 」
「 まずは聞け。嫌がる理由が分からねぇ?好きじゃねぇかもしんねぇ?黙れ 」
『( 蓮さん……めっちゃ…こわ…… )』
怖いけど低く言ってる言葉は正論だけど、滅茶苦茶隆一が驚いてると言うより、青ざめてるのが分かる
きっと本人も怒られてるのが理解してるのだろ、彼を見上げたまま硬直している隆一は新鮮だと思う
「 産むと言った時点で御前の事が相当好意をもってんだよ。俺はルイさんより御前が彼女に向ける好意の方が、本当に好きか疑いてぇが…傍で見てたから疑いはしねぇよ。だがな……好きだからって何でも許されると思うなよ 」
蓮さんは、隆一さんが私と結婚すると言ってたから傍でみてきた
だからこそ、一途に思い続けたことは疑わないと言ったけど、だからって怖すぎて理由すら聞けない
「 " 俺の為 "じゃなく、一旦ルイさんの為って考えてみろ。料理を作ってる兄貴なら分かるだろ?何故、パーティーに参加しないと言ったのか。マナーを覚えることだけがきっと理由じゃねぇよ 」
自分の立場を考えろ、と吐き捨てた蓮さんは肩に置いていた脚を退かせて一つ深呼吸すれば私の方へと顔を向けた
優しく微笑んだ表情に一瞬の変わり方に怖くて、僅かに肩を跳ねれば、彼は優しく告げる
「 こんな奴ですが。単純に皆に紹介して自慢出来る機会を与えられて嬉しいだけなんです 」
『( ちゃんとフォローしてる!! )』
怒るだけかと思ってたから、兄をフォローしてる弟の眩しさに感動すら覚えていれば
その兄である隆一さんは立ち上がろうとした
「 …別に俺は……ッ! 」
「 言い訳の前に土下座して謝れや 」
容赦なく腹を蹴り上げてから、頭を踏みつけた
痛い……今のは痛いよ、大理石の床に額を強打してるんだから…
というか、蓮さんの一瞬乱れた服装から見えた肌に似合わない模様に青ざめた
『( えっ、待って……蓮さんって……そっち系の人!? )』
口調が悪いと言うより、サラリーマンとは思えない髪型とは思ってたけど、もしかして……いや、でも隆一はそっち系に見え無いし……きっと見間違えかと思いたい
「 結婚生活、極意その一つは。取り敢えず先に謝ることだ。男は聞け。お父さんも言ってただろ。嫁を怒らすなって…なぁ? 」
「 はい……すみません……でした…… 」
「 その二つは。聞いた後に何故理解できないのか的確に伝えることだ。分かったか? 」
「 はい…… 」
「 よし、やり直せ 」
いや、メンタルボロボロの隆一さんに謝られてもこっちがどうしたらいいか分からないし
寧ろ同情心でパーティー参加してもいいよ!?なんて言いそうだと思う
喧嘩した理由も余り思い出せない位の、インパクトに動揺する私に、隆一は座り直し額の血を片手で拭き、正座すれば告げた
「 ルイちゃんを怒らせてしまって……ごめんなさい 」
『 う、うん……私こそごめんね…… 』
なにこの、カラクリ人形みたいな言い方!
凄く謝ってる感じは伝わらないし、横で聞いてる蓮さんに怯えてるのが雰囲気から分かる
ちょっとだけ焦る私に、隆一さんは深呼吸をしてから清々しいほどにハッキリと答えた
「 俺の事が好きなのか、パーティーに参加して" 私の夫は素敵なの "とか言って欲しくて御願いしました。マナーとか覚えなくていいので……どうぞ、俺と一緒にパーティーに参加してください。後、怒ってる理由をもう少し分かりやすく、説明してください!! 」
蓮さん、教育方法間違ったんじゃない!?って位に素直に言ってきた事に驚きより気持ち悪いと引いてしまった私にたいして、見てるだけの本人は満足気に頷いていた
いやいや……結局は、私を放置して二人で解決してるじゃん……
まぁ、もういいけどね!
『 隆ちゃん…パーティーに参加するよ。好きなのは変わり無いし…でも、私が参加して他の人に何か言われたらどうするの?私はそっちが心配だよ… 』
前の、婦人科医の人達みたいな言葉は嫌だと伝えれば彼は胡座を組み片手を握り締め拳を作った
「 問題ない、黙らせる 」
『 物理で!?止めてね!! 』
蓮さんが手と脚が早かったから、本当に物理でするのかと思うじゃん
というか……蓮さんの腰に見えた模様は言わないことにした
一時、夢で出てきそうだけど…
1
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる