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二章 宝物捜索 編
03
しおりを挟む神力ってなんだろ?って疑問を持ったまま歩いていると、目の前から見慣れない魔物が現れて、
俺が倒す前に普通の剣を持ったクララが、バッサバッサと倒してしまう
『 ……お見事 』
「 低級だからな 」
召喚獣でありながら、魔力を封じられて使えない飼い主より弱くて、必要性を感じない俺は…
ちょっとだけ存在意義を見失いそうになっていた
『 クララが倒したら、俺の出番無いだろ?俺はこれでも、召喚獣なのに 』
魔物の血がついた剣を振って鞘に収めたクララの横を通り過ぎ、倒れているゴブリンみたいな小人っぽい人型をした魔物をチラ見して過ぎていくと、彼は鼻先で笑う
「 はっ。人を殺したくないと泣き事を言ってた奴が何を言ってる 」
『 これは人間じゃない。そりゃ顔色と人相が悪い緑色の人間っぼいけど…魔物じゃないか。人間じゃない(大事だから2度言った)』
「 都合がいいな。命あるものには変わりないのに 」
『 まぁそうだけど…( ん?あれ?クララってもしかして…俺が倒したくないって言ったから、ここまで来るのに戦闘が無かったのか?そう言えば…他の海賊とも遭遇しなかったな… )』
あの文句を言った以来、戦闘がなかったのは事実
先を歩き出したクララの後ろ姿を見て、自然と尻尾は上がり揺れてしまう
『 ふふんっ、クララってぶきよっちょなんだな! 』
「 は?おい、足元には気をつけろよ 」
『 足元…? 』
足元に何かあるのかと、目線を前足へと向けると、地面の一部が凹んでることに気付いた
カチッと何かのスイッチが作動した音を含めて、嫌な予感がし、恐る恐るにクララに目線を上げる
『 なにか踏んじゃた… 』
「 トラップ発動させたな。このバカが……砕け 」
『 砕く!! 』
ゴンッと重い落下音と共に転がってくるのは、トラップにあるあるのデカい岩の球体
ここは逃げろ!とは言わずに、砕け!と指示された為に、振り返って前方に冷気を集め氷の塊を作り出しては、放つ
『 氷速穿孔! 』
岩の球体と互角の大きさであるドリル状の氷をぶつけたのに、ぶつけた瞬間に先端から粉々に消えていく様子を見て、硬直した
『 え…… 』
「 バカが!魔力を含んだ攻撃は無効化するんだ!一旦、離れるぞ!! 」
『 魔力無効化してるのに形は作れるのかよ! 』
「 神力が含まれてるからだ 」
『 意味分かんねぇぇー!! 』
そんな、魔力無効化してるから、てっきり1ミリも魔力なんて無いのかと思ってたけど…
魔法が発動する時点で、微弱ながら魔力が含まれてるのか…
それは攻撃するには、辺りにも贔屓だけど
形を創り出す程度は出来るって、どんな状況なのかと理解できないまま、走る事になった
壁に、僅かな隙間があったからそこに入ったクララに続いて、俺も瞬時に人の姿になって、
入った後に気づく
「 …こういう時は影に戻れよ… 」
『 はっ、そうだった! 』
お互いに胸板やらくっついてる状態で、冷静に冷たく言い放たれた言葉が胸がチクッと痛んだけど、これは俺の判断ミスだ…
「 はぁ…なんで俺はこんなに優れてるのに、御前は劣っているんだ…。普通は能力者と同じ実力の召喚獣が来るだろ 」
『 …そうかも知れないけど、もしかしたら俺は…潜在能力が優れてるのかも知れないぜ? 』
ちょっとだけ自信満々に答えると、クララの鋭い瞳孔が俺の方へと向けられ、溜息を吐き胸元を押し返され、隙間から出ていった
「 それは後々だろ。今、その能力を発揮してもらわなければ困る 」
『 神力ってやつか? 』
「 嗚呼、今直ぐに扱えるようになれ 」
『 無茶苦茶な…… 』
そんな直ぐに、経験しなかったことを使えるようになれって、相当難しくはないか
目線を落として、少しだけ考えては…
ハッとして顔を上げる
『 あ、それならクララに神力を渡すから…クララが使えるようになればいいんじゃないか? 』
「 随分と他人任せだな。それに俺は、魔力の塊みたいなもんだぞ。そんな神力なんて、身体が受け付けるわけがない 」
『 やってみなきゃ分かんないだろ。召喚獣を召喚出来た時点で、神力はあるって 』
召喚獣は、神様が創り出した獣
それなら…神の力が、召喚出来た…
魔族にも含まれていても、おかしくは無いだろう
改めてクララの肩に片手を当て、反対の手を頬に添えると、彼の視線はゆっくりと俺の方へと向けられる
「 無駄な足掻きだと思うけどな 」
『 クララが神力を使えるようになれば、俺も使いやすくなるから…物は試し、試してみよう 』
「 はっ……好きにしろ 」
くだらないと吐き捨てることなく、受け入れることにしてくれた彼に、俺は緩く口角を上げてお互いの唇を重ねた
魔力とは違って、神力を如何やって渡さばいいか分からず、角度を変えて口付けだけを行ってると、クララは髪へと触れて唇の隙間から笑う
「 只、こんなところでキスしてるだけになってるぞ?どうした、渡さないのか? 」
『 …いや~渡し方、分からないなって… 』
「 御前…本当に使えねぇやつだな 」
『 だっ、て……ンっ……! 』
本当…情けないなって自覚してると、深く口付けて来たクララに驚くと、急に身体の力が抜け落ちるような感覚が全身へと巡って、目を見開く
咄嗟に、逃げるように後ろへと下がると、
俺の脚はフラついた
『 はぁ、ッ……? 』
「 ……く、そ…… 」
『 クララ…!? 』
自分の事より、苦しそうに胸元を抑えてるクララに驚いて近付こうとすると、彼の皮膚は火傷した様に捲れ剥がれていく
「 ッ………!! 」
『 なん、で…。どうして… 』
俺は只…クララも神力が使えたら
このダンジョンは、簡単に攻略出来ると思っただけだったのに……
「 クルーを助ける為に…母は、悪魔と契約して…赤子を魔人として産み落とした…。その時点で俺には…人間でもない、神力なんて含まれてないんだ…… 」
傷が癒えていくのは、彼が魔人だから…なのだろうか
少し呼吸を整えたクララの瞳は、赤黒い染まって、瞳孔は猫の様な三日月をしていた
「 俺が、召喚出来た理由は……御前に、闇属性が含まれてるから、只…その程度の理由なんだ 」
『 …闇属性の、召喚獣だった…から? 』
「 嗚呼…人間や魔人なんて関係ねぇ。神力を持つ、闇属性の召喚獣だった…それだけだ 」
神力を持つからと言っても、餌は魔力でいいんだ…
俺が、その辺にいる魔獣じゃないと言う理由だけで、
元々氷属性以外にも闇属性も持っていたんだ…
魔法だけなら、風属性を含めて使えるから…
簡単に言えば、力量さえあれば…
誰にでも召喚出来るようになっていたんだ
『 俺は、召喚獣なのに…自分の事を何も知らないんだな 』
「 生まれて間もないやつならそうだろ。ほら、行くぞ…。逆に…俺が召喚できたのは、御前だけだった…と言うことだ 」
『 俺だけ…。クララ、ごめん…。直ぐに、神力…使えるようになるから! 』
どんな形や理由でさえ…
クララに召喚されたのには、意味があるはず
少なからず、俺はこの召喚で闇属性魔法は得意になっているんだ
クララに、神力は扱えなかったし、
拒絶反応みたいなのは出させてしまったけど…
だからこそ、俺の中に神力が流れてるのは確かだと言う事はわかった
分かっただけで、このダンジョン内で…
俺に出来る事は無かった
『 がッ、ごめ、ん…… 』
「 盾になれただけ、上出来だ 」
無数に現れる魔物ならまだしも、途中途中で発動するトラップには、苦戦していた
俺が出来るのは、クララを身を挺して守って、盾になるだけ…なんだが…
魔力で防御しようとするから、無能化のせいで
攻撃が貫くんだよな…
何度も攻撃を食らって、回復する度に…
クララから与えられない餌によって、
召喚獣になって、初めて空腹感を感じるようになった
「 大体、地下…8層目か… 」
『 此処…何層まであるんだよ 』
「 さぁな、黄金の島から帰還した者はいないんだ。勇者すら、この島を作った後に消失してるからな…。何層まであるのか…誰も知らない 」
『 …そんなのでよく入ろうと思ったよな…クララの夢って、そんなに叶えたいのか 』
休憩がてらに、倒した魔物の肉を軽く焼いて食べてるクララを見て、つい疑問に思ったことを投げかけると、彼は齧りつこうとした口を一瞬止めては、目線を外した
「 …神が創った、恵まれた獣には分からないだろうな。魔人が、人間になりたいと言う…そんな願いなど 」
『 分かんねぇな…。人間は早死するけど、魔人は長命なんだろ?俺は、長命の方が一緒に居られていいけどな 』
自らの腕に顎を乗せて、軽く瞼を閉じようとした俺に、クララは少しだけ驚いたような顔を見せた
「 …御前、この俺と一緒に居たいと思ってるのか? 」
『 …思うさ。どんなに酷い事をされても、嫌いになれない理由はあるし。クララの本心を知りたいから俺は何度も……( …何度も? )』
「 ……… 」
フッと言いかけた言葉の違和感に気づいて、顔を上げてクララを見ると、彼の視線は道の方へと向けられた
「 魔物だ…。俺は食事中だ。倒せよ、アルト 」
『 ……御衣 』
俺は何度……
何度も……?
" クララ "に会ってるのか?
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