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一章 聖獣への道のり編
3話 彼はいまカレーらしい
しおりを挟む色んな話をして、結局最後はブランシュに咥えられ彼は空を軽く走り寝床へと戻った
羽もないのに空を走れることに驚いたが、
最強クラスはこの程度出来ると言われ何も言えなくなった
きっと最強ではなく、彼が" 天 "を操る事の出来る聖獣だからこ、その技であって俺にはきっと不可能だろってことは粘土いじりの時に思った
" 人間らしく地を…… "
なんて言っちゃってるから諦めよう
薄暗い洞窟への逆戻り、冷たい石の上で寝なきゃいけないのかと落ち込んでる俺は我儘を呟く
子供のボディーを武器にしてお腹を出して、片手でちょいちょいとブランシュの毛並みに触れる
『 フカフカのベットで寝たい。風呂場も欲しい 』
「 人間かよ……いや、元人間か 」
なんだこの、我儘な餓鬼はって思うぐらいの言葉に、ブランシュは眉間にシワを寄せ
少し考えてから天上へと顔を向けた
上に何があるのかと同じ様に見れば、彼は告げる
「 ライフ、聞いてんだろー。子育てしてやる変わりに模様替えしてくれ 」
ライフ?一体誰のことなんだろうかと傾げていれば
急に空間が捻れたような変な感覚を味わい
激しい光に目を眩ませ、顔を背け目を閉じる
『 っ!! 』
こんな光は何度も経験したくないと思ったのに
また経験するとは……
激しい光を感じる中で洞窟の様な匂いは無くなり
嗅ぎ覚えのある匂いにうっすらと目を開く
「 終わったようだ。満足か? 」
『 わっ…… 』
薄暗い洞窟ではなく、目の前に広がるのは広々とした懐かしい賃貸を、もっと広くしたような空間へと変わっていた
白い塗装がされブランシュが横たわってるのは、獣サイズの彼が寝ていても十分に広いベッドに
L型のロングソファーだってある
人の姿になれない俺を気遣ってか、風呂場に繋がる入り口には扉がないものの
気にならないほど脱衣場は広く、鏡もあり洗面器もある
流石、子犬!こんな特典が貰えるならこのボディーも使えるんじゃないか!?
『 マジで部屋だ!賃貸よりすげー広い! 』
「 御前の時代の部屋ってこんなゴタゴタして眩しいのか……落ち着かねぇ 」
ちょっとふてく気味のブランシュを放置して、部屋を探索する為に歩く
どれだけ、あの冷たい石の上が御気に入りだったんだ
『 ソファーの高さが……わっ! 』
登れないとソファーに文句を言えば、
向こうの世界でも子犬が使いそうなスロープが置かれ
それをきっかけに、ポンポンと煙が出る音と共に様々な場所に置かれた
一階建てで、何畳かはパット見た目じゃ分からないが、其でも洞窟内いっぱいに作られた気がするほどに広い
流石にTV、キッチン、トイレ、洗濯機等は無いが、ある程度はある
家電製品系は見たところない、有るのは家具だけのようだ
其でも洞窟よりいいと思う
『 ベットが一つ…… 』
「 一緒に寝りゃいいだろ? 」
『 ……まぁそうだな 』
此処までして貰って我儘言えないなって思えば
嫌々だが承諾した
「 ライフ、礼を言っとく 」
『 ……ライフって誰だ? 』
そう言えば、そのライフって誰だろうかと首を捻れば知らねぇのか?とばかりに目を見開いたブランシュに眉は寄る
「 ライフは命を司る神の渾名だ。本名は知らねぇし、きっと無いだろうからライフ。簡単だろ? 」
『 えっ、じゃ……あの神様がこれやったのか? 』
「 物造りが好きらしいからな。この程度なら気にもしないだろ 」
聖獣の間で勝手に呼ぶ名前だと言うが
神様相手に呼び捨てで良いのだろうか……
いや、呼んだだけでそうやって作ってくれるなら優しい神様なのか?
無慈悲だと思うんだが、その辺りとは関係ないと思っておこう
『 ……城とか御願いたら作ってくれるかな? 』
「 必要と感じとればな。獣に見た目だけの城は必要ねぇだろ? 」
『 まぁ、ごもっとも…… 』
この部屋はきっと、俺がフカフカのベットが欲しいと願い
そしていつでも水浴びが出来るようにと風呂をセットしただけで、後は適当だろう
自分のペットの為に、置いた程度に思えるのは
やっぱり神様は深くは考えてないように見える
『 ……ブランシュ、俺、布団の中で寝たい 』
「 俺が布団になってやる 」
『 それじゃ意味無いんだよ! 』
「 獣が甘ったれんじゃねぇ! 」
部屋探索も終えたところで、休みたいとベットを譲って貰おうとすれば
ガンとして動いてくれないブランシュにスロープ使ってベットに上がり、尻尾に噛みつき文句を言えば
彼は唸り声を上げた、もう怖くないと俺は意地になる
『 ライフが作ってくれた布団で寝ない奴がいるかよ!布団っては入って寝るんだ! 』
「 上でいいだろ、暑苦しい 」
『 暑苦しく…… 』
フカフカのベット、暑苦しいくないと言いたかったが立ってるだけで手足の肉球にじんわりと汗を掻く気がする
『 俺、寒いの得意になったが暑いの苦手かも知れない…… 』
「 狼はそんなもんだ 」
そうなのか、これは狼になったから布団は暑いのか
去らばフカフカに包まれて寝る、ベット生活と悲しくなった俺は
仕方無くブランシュの横に少しスペースを開けて丸まって寝ることにした
『 寝る…… 』
「 おやすみ 」
なんかすげー複雑だな、元人間の相手におやすみなんて言われる日が来るとは
もう少しブランシュに慣れる必要があるな、と思いながらやっと心と身体を休めることは出来た
今日から此処が俺の寝床になるようだ
3
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