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一章 聖獣への道のり編
02
しおりを挟むこの部屋に、温度はなく
例えるなら俺達には適温って言えるほどに丁度いい位に涼しい程度
だからこそ肌寒いなと思えばフカフカのベットに擦りついて寝ることも出来るのだが……
『 おも、い…… 』
此処に来て何日経過したのかは分からないが
ブランシュと過ごし始めて其なりに経った感覚はあるのだが、俺が油断すると起きた時には窒息死しかけるほど彼は俺を枕にする
その頭の重さで身体は沈み、身動きが取れない
『 ブラン、シュ…… 』
「 シロって呼ぶことをゆるしてやるよ 」
『 嘘つけ、キレるクセに…… 』
寝言は信用出来ないと、必死に逃げようと動けば
やっとうっすらと目を開いたブランシュは顔を布団へと落としてから俺の身体へと鼻先を擦り付ける
「 可愛い子供に呼ばれるならいい…パパでもいいぞ 」
『 死ねばいいのに 』
こっちが死ぬかと思ったとやっと抜け出し
ボロボロになった毛並みを放置し、
最近、起きてからの習慣になった風呂へと行く
スロープを降りて脱衣場に向かってから、カーテンを抜け、湯船の方に近付き
前足で銀色のボタン式の蛇口を押さえれば
湯船の底から現れ直ぐに水が溜まる
丁度いい高さで手を離し飛び越え入る
バシャンッ!と水が弾く音を立てながら水浴びをする
この身体なら湯の方が熱くてしかない
水の方が気持ちよくお座りして浸かっていれば、視線に気づく
『 な、なんだ…? 』
「 溺れそうで心配してんだよ 」
『 溺れるかよ! 』
視線の先には、カーテンから顔を覗かせるブランシュが居た
目が半分、閉じてるのを見ればまだ眠そうだ
時間の流れは無くともある程度の寝る時間は其々に聖獣にも決まってるように思える
流石、獣ってところか
「 足首しか無いもんな…… 」
『 ブランシュにはだろ!?俺にはもっとある 』
「 チビが…… 」
吐き出した言葉に目を見開くも、子犬ボディーなのは変わらない
成長した部分と言えば、前より少しハキハキ歩けるようになった程度
それは俺の脳が身体の使い方に慣れただけで
肉体的に骨が伸びたとか言う、様子は全くない
カーテンから離れたブランシュにフンッと鼻を鳴らし、そっぽを向いていれば
またカーテンは開いた
『 次はな……なっ!? 』
「 一緒に入る 」
顔を向ければ、人の姿になり服を脱ぎ全裸のブランシュが居た
目線の先にある雄のモノを見て咄嗟に視線を外した
随分大きな巨狼を飼ってるじゃないか……
そんな俺に気にする様子も無く、湯船に入れば
掴み膝の上に乗せ、ボタンを押した
水の深さが上がることで、少しだけ深い水が嫌いになってる俺は、無意識に動きブランシュの肩へと引っ付く
「 爪を立てんな、痛い。支えてやるから委ねとけ 」
『 溺れたらどうするんだ!? 』
「 パパがするわけねぇよ 」
自分でパパとか言ってるのに鳥肌が立つ
顔立ちは金色の目とよく合う褐色肌で整ったイケメンなのに残念だ……
俺の背中へと触れるブランシュに
ムリムリと首を振っていれば、彼は溜め息を吐いた
「 人の姿にしてやろうか? 」
『 えっ? 』
それは余りにも呆気なく言われた言葉
人になるには数百年掛かると思っていたのに
簡単とばかりに告げる
「 多少はデカくなるだろ。一時的だが…… 」
『 出来んの? 』
「 力を分けるのは、簡単だ 」
俺は一瞬、人間を諦めて獣として歩んで行くことになれようとしてた矢先に
人に戻る事に抵抗はあったのだが
深いやら文句を言う俺に呆れてか
ブランシュは頭を掴み、そのまま獣の口先へと口付けを落とした
『 !! 』
男相手に!なんて考えるより先に
一気に流れ込んできたものが魔力と呼ばれるのもだと分かった
血とは違った感覚が、身体を掛け走り
心拍数が高鳴る息苦しさに身体を離す
『 っ!!ハァッ、ハァッ……なんだ、これ……気持ち、悪い…… 』
身体の中で煮えたぎるような感覚に
沸騰したように熱くなる体温
湯船に爪を立てたところで自分の手が変わってる事に気付く
「 チッ、予想外に相当取られた……魔力が空の奴が人型になるまでってこんなにも必要だなんて…… 」
視線をブランシュへと向ければ、湯船に肘を付きぐったりとしてる彼を見てから
俺は自分の身体へと視線を落とす
長い人の指に腕、太股に足、雄としての物さえ身体に比例してた
『 ブランシュ…本気でやったのか? 』
「 只の気紛れだが、二度としねぇ…… 」
見たいなら見ろ、とばかりに脱衣場の方に視線を向けられたことで
俺は湯船を上がった
ぐらついた身体、四足歩行に慣れた為に
久々の二足歩行が下手になってることすら驚く
其でもなんとか立てば脱衣場の洗面器に手を付き鏡へと視線を向けた
『 これが、俺なのか……? 』
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