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一章 聖獣への道のり編
08
しおりを挟む行為を終え、森から町へと流れる小川で身体を洗ったのだが、フィンレーは水が汚いなど相当文句を言ってた
そりゃ、神の庭にある川やら泉に比べると人間界の水は汚いものがあるだろう
我儘を言うなと告げれば渋々洗った彼と共に、宿に帰り、扉の前へと互いに獣の姿へと戻りおすわりしては扉を見詰める
『 裸だよな? 』
「 普通に考えればな 」
『 ……今日は、此処でねる 』
ルイスの時も起きてくる迄、部屋の外で待っていたのだから今回も同じでいい
扉の横にある壁に身体を当て丸めて寝ようとすれば、フィンレーは気にしなくとも、と呟き
のっそりと歩いて来ればその背中を向け凭れてきた
若干、身体が乗っかってる重みに嫌だと思うが本人は満足気
こんな時は図々しい奴だと改めて思えば諦めもつく、俺も抵抗を見せるように背中へと顎を乗せ目を閉じれば
頬へと感じる舐める感触に、徐々に睡魔は訪れ眠りについていた
夢の中で、神の庭でシロと共にゆっくりと過ごし時に一緒に駆け回っていたりする夢は
人間界より落ち着けることを実感させてくれる
「 ロルフー? 」
『 クァァア~ 』
ぐっすりと眠っていれば聞こえてきたファルクの声に大きく欠伸をし、ぐっと身体を伸ばしたところでフィンレーの姿がないことに気付く
先に起きたのなら起こして欲しかったと、耳を下げていれば彼は二言目を告げる
「 ほら、リリア王女と共にアイラン王の後を追うんだからさ 」
『 追う? 』
俺が寝てる間に随分と話が進んでると思った
既に着替えたらしいファルクは、鞄を持ちマントを被り口元を隠せば軽く走り宿を出た
お金は既にリリアが払ってたのだろう
部屋の鍵を返してから出る彼は、左右を見てから入り口の方に戻る
『 城の方には行かないのか? 』
「 そう、王が急遽、近衛を連れて進軍したから追い掛けるんだ 」
アルトゥーラ連邦に向かってると告げた彼の言葉に、リリアの後を追うって意味を理解した
彼女は既に王の近くにいるのだろ、どんな理由にしろ止める為には
まず両者の間に入ることをしなければ始まらない
説得できるか分からないがやるしかないことに、俺は争いが近いことを本能的に感じ取る
『 それで、追い掛けるってどうやって? 』
「 そりゃーもちろん。俺って盗賊でしょ? 」
質問に質問で返された事に、一瞬頭の上に浮かぶ疑問符が風船のごとくパンっと割れた瞬間に青ざめる
『( いや、盗賊ってそう言うことか!! )』
余り馴染みがない単語に、反応が遅れたが本来盗賊がすることかは盗みだ
近衛であり正義感強いルイスの魂が盗みなんて働くなんてどうかしてる!!と意外に走るのが早い彼を追い掛けながら、止めようとすればファルクはある店の前で立ち止まった
「 やっぱり旅人は来てる 」
『( コカトリス )』
どっかで見覚えのある鳥が繋がれ、数頭がその場にいた
旅人がいる朝っぱらから開いてる酒場であり休息場
その近くには紐を繋げれる場所があるのだが、俺はコカトリスの習性を思い出していた
「 さて、どの子に…… 」
『 コカトリスって卵から世話しないと、背中に乗せてくれなかった気がする 』
「 へっ!?そうなの!? 」
驚いたファルクに逆にこっちが知らなかったことに驚きだ
ルイスが近衛に入ったときに最初に送られたのは、鎧やら武器といった物とコカトリスの卵だった
数ある中で一番好きなのを選び、そして世話をして大きくする
まぁ、三ヶ月其処等で人を乗せれるほどまで大きくなるのだが
そこから忠実に着いてきたり、城に戻る方向を覚えるには一年ぐらいかかる
『 要するに、コカトリスって旅人や近衛にとって銀狼と同じなんだ 』
「 家族同然のものは盗めないや…… 」
銀狼をパートナーにする、ファルクなら分かるだろうと敢えて例えにすれば
彼は壁に手を付き肩を落とすなり落ち込む素振りを見せた
そりゃ移動手段に、魔力を消費しないコカトリスは脚も速く良いだろうが、彼等は乗ったら嫌がり暴れると思う
『 まぁ、乗ってみて無理矢理にでも走らせたら、走りそうだが…… 』
「 元の飼い主に戻る習性を利用して……俺やる! 」
『 頑張ってくれ 』
応援はしてると、軽く頷いた俺にファルクは心に決めたのか
家族同然と思ったコカトリスだが、帰らせればいい、と納得し酒場へと視線を向けてから
人の出入りがないのを見て、コカトリスへと近付いた
「 コァアア!!! 」
「 ギャッ!おちつけって、うわっ!! 」
紐を外すことは出来ても、乗ろうとするなら暴れまわるのは目に見えていた
背中から必死に振り落とそうとするコカトリスに引っ捕まるしか出来ないファルクを見てられず、重い腰を上げ姿を移動させる
『 グアッ!!( 走れ、鳥野郎!! )』
「 ガァッ!? 」
「 わわっ!! 」
俺はいつから、羊飼いにいる犬かと思うが
鳥の足元を咬むフリをすれば、コカトリスは驚いて走り出した
此でいいと追い掛けながら、時より咬むフリをする俺は背後で泥棒!!と叫ぶ旅人の声に笑みは溢れた
『( こういうのもなんか楽しいな!! )』
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