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一章 聖獣への道のり編
09
しおりを挟むコカトリスを走らせながら、国の外へと出れば
此処に来る時に見た酷い砂煙を上げた横風は無くなっていた
まるで国を覆っていた様な砂煙だったのだが、どうして無くなったのか走りながら考える
アルトゥーラ連邦行く方面へと走ること一時間程度で、コカトリスの数多い足跡は見えこの先にフィンレー達がいるのだと知る
更に走っていれば明るい空が光ることに驚く
『 あれは、なんだ? 』
「 チッ、腕試しでもしたのかもしれない!あれは地上の光が空に反射してるだけ! 」
アルトゥーラ連邦に行く方は、ずっと傾斜面が広がり、崖の上に出来た国
ノアが居た町に似てると想像はしていたのだが、幾度と無く空は赤く光、鼻につく焼け焦げた匂い、そして聞こえてくる爆発する音にファルクはコカトリスを止めた
『 !! 』
高い場所から見下ろした俺達は、アルトゥーラ連邦の領土にある、小さな町が火の海へとなってることに目を疑う
「 質が悪い……此処に居る者を殺さなくともアルトゥーラ連邦は戦争を受け入れると思うのに…… 」
赤く燃え広がる町は既に半分以上が焼かれ、黒煙と共に灰が空へと上り
青空はその一部だけ、赤くオレンジ色に染まっていた
フォーサイス王国に支える近衛隊は、誰一人動くこと無くその光景を見てるだけに見える
やったのは只一人、ライアン王が全てを燃やしたのだ
『 はっ、フィンレーは!?あの少女は 』
「 彼女達なら平気だろう。誰も町には近付いて無いんだから……行こう 」
『 どこに? 』
「 先にアルトゥーラ連邦に伝えるんだよ 」
助けを求める声は、此処まで届く
けれど俺達が出たところで町の全ての人を助けれるわけがない
もっと、多くの命を救う為に、こうならないよう先に伝えようとファルクは動いた
諦めたように言うことを聞くコカトリスは走り出し、その場を後にする
背後の光景を見れば、フィンレーが動かなかったのは俺には分かる
彼はきっと、リリアに此を見せたかったに違いない
~ フィンレー 視点 ~
ライアン王が動くことを聞き付け、リリアには国に戻るように告げた
本人はこのまま出るつもりだったらしいが、其では何一つ意味がない
殺せるチャンスが有るのなら、それは唯一王の近くにいるときだ
「( 不機嫌だな )」
王に何処に行ってたのと怒られたあげく、馬車に乗せられたのは王の近くではなく
敢えて、観光をさせるような後ろ側
左右にいる近衛や、この場所の中にいる騎士は彼女の味方ではないからこそ
口を開くことが出来なくて不機嫌そうにしてるのだろ
他人には姿を消すも、リリアには見える為に
近くに横たわり移動中、眠りについていた
幾分かし、馬車は何処かで止まり胸焼けがする王の声が聞こえてきた
「 道を塞ぐなど図々しい、焼き払ってしまえ!! 」
「 えっ!? 」
「 リリア王女!危ないので動いてはなりません!! 」
外へと出ようとしたリリアに、分かっていたかの様に外で防いだ近衛は焦りを見せた
俺が思ってる以上に、サラマンダーの威力は強く
地震の様な地鳴りを感じ、突き上げるような揺れが上下に動き、彼女の身体は馬車の外へと飛び出した
「 きゃっ!! 」
「 リリア王女!大丈夫ですか!?お怪我は…… 」
「 ないわ…… 」
俺もまた外へと出れば、支えられたリリアは町の方を向き、その光景に言葉を失った
「 はははっ!!燃えろ、燃えてしまえ!! 」
急な襲撃に叫ぶ町の女子供の声、逃げ惑う者達が焼かれる匂い
炎の塊を作り出し爆破させれば、吹き飛ぶ民家の瓦礫は人々に降り注ぐ
魔法を唱えること無く火を操る事の出来る上級精霊、サラマンダー
火そのものの、火の精霊にとってこの程度の小さな町を焼くぐらい造作もないのだろ
「 いや……やめて、おねがい…… 」
サラマンダーは空を覆った火の雲を現せ、隕石のように火の塊を町全体へと落としていく
リリアは初めて見る光景に、掠れた声を放ち膝から崩れ落ちた
溢れるばかりの大粒の涙を流し、地面へと抉るその爪には土が入り血が滲む
「( 御前はこれを止めれるか…… )」
突き付けられる魔法とは呼べない、大自然そのものの驚異……それが精霊だ
火の精霊であるサラマンダーにとっては燃やし灰にすることこそが遊び程度
魔力を使わない彼等に、まだ未熟な召喚師が勝てるとは思えないが
さぁ、御前はどうする?
「 リリア、美しいだろ。此が精霊の力であり、魔法だ! 」
「( 殺せと命令しろ。全てを大地に返したいと願えば、周囲は吹き飛ぶがこの男は殺せる。御前はそれだけの聖獣を手に入れたんだ )」
力にすがる、人に成り下がるなら
それはこいつと同じ事
リリアがどう望み、どう俺を使うのか楽しみだと視線を向ければ彼女はゆっくりと立ち上がり
土を払うこと無く、不器用に笑った
「 お父様、早く…アルトゥーラ連邦に行きましょう 」
「 そうだな!!さっさと国を焼きに行こう! 」
「( 何故、此処で仕留めない?何故、人が多い場所に向かわせるんだ )」
この女は、争いを分かってないのだと気付いたときには耳に響く悲鳴は、彼女には届いては無かった
どうやら今回の主は" 失敗 "したようだ
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