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一章 聖獣への道のり編
02
しおりを挟む目の前にいる、三十代の男性が俺を召喚したのだろう
ファルクの魂であり、廻った新しい命であり姿
けれど、この光景に動くことの出来ない俺は、何一つ返事が出来なかった
また会えたときはどんな姿だろうか
どんな笑顔を向けてくれるだろうか
一緒に強くなろう、そう願っていたはずなのに
地面へとへばりつき、血の付いた片手を伸ばした彼には俺の姿はもう見えてない
『 なん、で…… 』
震え、辺りへと顔を向ければ
人の悲鳴すら聞こえることもなく街外れのように見える此所は、死体と血の海へと変わっている
目の前にいる男性の下半身と身体は繋がってはいなかった
魔法陣の光は現れ、俺の身体はその場から動くこと無く
神の庭へと戻ってきていた
「 なっ!?コウガ……? 」
俺が居なくなった事で立ち去ろうとしたのか、背を向けていたシロは、魔法陣が現れた気配と共に振り返るなり驚いた表情を見せるが
俺は、胸に感じる違和感に吐く物も無いまま胃液を吐き出した
『 っ、ゴホッ!!……おえっ… 』
「 おい、どうしたんだ!!? 」
自らの牙で人を殺した事があるはずなのに、
あの時の覚悟で向かっていたのとは違う
気持ちの整理もつかずに見た光景は、余りにも酷いものだった
『 っ…… 』
気を失った俺に、シロの声が遠くに響いた
何故、あの場面で召喚を心得たのか
そして、俺が動く前に命の光は消えた……
「 希にあるんだ…… 」
目を覚ました時には、洞窟にある寝床に戻っていて
ベッドに横たわってる俺は、人の姿を得てるシロに首辺りから肩までを優しく何度も撫でられていた
うっすらと目を開き、ゆっくりと見た光景を話せば彼は眉を下げて自分の事の様に悲しんでくれている
「 人は助けを求める時に、何処かで得た知識を使って召喚をする、聖獣だけじゃない、精霊でも悪魔でもいいんだ。助けてくれそうなものなら……だが、発動と共に魔力と体力が尽きて死ぬ 」
『 たすけて、と言った言葉以外聞けなかった…… 』
「 今回はタイミングが悪かったと諦めるしかない、御前は悪くない 」
最後の力を振り絞って、聖獣召喚をしても
その命が尽きてしまえば俺が出来ることは何もない
そんな事があることに初めて知ったが、運良く召喚してそのまま共に過ごすことの方が珍しいと言う
ルイスの時も、ファルクの時も俺は運が良いのだと知った
「 ワン、コ……? 」
心の傷が癒える前に、新しく召喚された時には
顔色も良くない俺は目の前に現れた幼い少女に言葉を告げることが出来ない
彼女の首には首輪があり、身体は薄い布切れ一枚
そして辺りに飛び散る血痕を見れば、薄々どんな場所か分かる
「 やったぞ!!やっと召喚できる奴が現れた!!聖獣よ!私が主だ!! 」
『 我を召喚したのはその娘。御前ではない 』
聖獣召喚を出来る子供を集めては、失敗したものを殺したのだろう
少女の目に写る男に対する恐怖心に、俺の身体は動いていた
「 なっ、私は御前の主だぞ。立てつく……!! 」
「「 リチャード様!! 」」
『 グルルルッ…… 』
男へと噛み付き、その喉元を咬み千切り
吹き出す血を浴びては辺りの者へと視線を向ければ、彼等は武器を向けた
剣があった時代が懐かしく感じる飛び道具は一斉に俺達に発砲された
「 かっ、はっ……!! 」
『 !! 』
「 聖獣召喚失敗か、もっと役に立てそうな子供を探すしかないな。もういい、本体が死ねば聖獣は使えない 」
銃弾は少女の身体を貫通し、その身を冷たいコンクリート上へと倒れた
俺の身体に埋まる銃弾は音を立て地面に落ち、涙を舐める俺は只、また呼ぶのを待つことを願うしか出来なかった
『 次は、時と場所を考えて呼ばなきゃダメだよ…… 』
光を失うその目には、俺をどう写すだろうが
嫌いな聖獣だと思われて無いと良いのだが……
いつしか俺は、聖獣召喚されるのが怖くなった
現れても目の前で主は殺される事が多く、助けようにも助けられない時が多い
なのに、身に感じる召喚の条件で与えられた魔力で奪った力を感じると
只の狡い奴に思えて仕方無い
『 聖獣、なんて……ならなきゃ、良かった!! 』
「 コウガ落ち着け!!御前が自傷して何になるんだ!! 」
召喚され戻ってくる度に、身体を岩へとぶつけたり壊れたように泣き叫ぶ俺は、シロの声など耳に届かなかった
聖獣であり、経験してるシロは一度は訪れる
この病み期が来ることを知っていたらしく
俺がぶつかるのを、その身体で止めては優しく抱き締めてきた
『 っ、シロ……俺の、主が…… 』
「 人の運命はそんなもんだ…。大丈夫、また会えるだろ…… 」
何度も安心させるように撫でる手に、目を見開き身体を倒し喉元へと理性を無くし噛み付いていた……
召喚されるのが怖いなんて……
2
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