転生したら召喚獣になったらしい

獅月@体調不良

文字の大きさ
104 / 276
一章 聖獣への道のり編

02

しおりを挟む

目の前にいる、三十代の男性が俺を召喚したのだろう
ファルクの魂であり、廻った新しい命であり姿

けれど、この光景に動くことの出来ない俺は、何一つ返事が出来なかった

また会えたときはどんな姿だろうか
どんな笑顔を向けてくれるだろうか
一緒に強くなろう、そう願っていたはずなのに
地面へとへばりつき、血の付いた片手を伸ばした彼には俺の姿はもう見えてない

『 なん、で…… 』

震え、辺りへと顔を向ければ
人の悲鳴すら聞こえることもなく街外れのように見える此所は、死体と血の海へと変わっている
目の前にいる男性の下半身と身体は繋がってはいなかった

魔法陣の光は現れ、俺の身体はその場から動くこと無く
神の庭ディヴァインガーデンへと戻ってきていた

「 なっ!?コウガ……? 」

俺が居なくなった事で立ち去ろうとしたのか、背を向けていたシロは、魔法陣が現れた気配と共に振り返るなり驚いた表情を見せるが
俺は、胸に感じる違和感に吐く物も無いまま胃液を吐き出した

『 っ、ゴホッ!!……おえっ… 』

「 おい、どうしたんだ!!? 」

自らの牙で人を殺した事があるはずなのに、
あの時の覚悟で向かっていたのとは違う 
気持ちの整理もつかずに見た光景は、余りにも酷いむごものだった

『 っ…… 』

気を失った俺に、シロの声が遠くに響いた
何故、あの場面で召喚を心得たのか
そして、俺が動く前に命の光は消えた……

「 希にあるんだ…… 」

目を覚ました時には、洞窟にある寝床に戻っていて
ベッドに横たわってる俺は、人の姿を得てるシロに首辺りから肩までを優しく何度も撫でられていた
うっすらと目を開き、ゆっくりと見た光景を話せば彼は眉を下げて自分の事の様に悲しんでくれている

「 人は助けを求める時に、何処かで得た知識を使って召喚をする、聖獣だけじゃない、精霊でも悪魔でもいいんだ。助けてくれそうなものなら……だが、発動と共に魔力と体力が尽きて死ぬ 」

『 たすけて、と言った言葉以外聞けなかった…… 』

「 今回はタイミングが悪かったと諦めるしかない、御前は悪くない 」

最後の力を振り絞って、聖獣召喚をしても
その命が尽きてしまえば俺が出来ることは何もない
そんな事があることに初めて知ったが、運良く召喚してそのまま共に過ごすことの方が珍しいと言う

ルイスの時も、ファルクの時も俺は運が良いのだと知った

「 ワン、コ……? 」

心の傷が癒える前に、新しく召喚された時には
顔色も良くない俺は目の前に現れた幼い少女に言葉を告げることが出来ない

彼女の首には首輪があり、身体は薄い布切れ一枚
そして辺りに飛び散る血痕を見れば、薄々どんな場所か分かる

「 やったぞ!!やっと召喚できる奴が現れた!!聖獣よ!私が主だ!! 」

『 我を召喚したのはその娘。御前ではない 』

聖獣召喚を出来る子供を集めては、失敗したものを殺したのだろう
少女の目に写る男に対する恐怖心に、俺の身体は動いていた

「 なっ、私は御前の主だぞ。立てつく……!! 」

「「 リチャード様!! 」」

『 グルルルッ…… 』

男へと噛み付き、その喉元を咬み千切り
吹き出す血を浴びては辺りの者へと視線を向ければ、彼等は武器を向けた
剣があった時代が懐かしく感じる飛び道具は一斉に俺達に発砲された

「 かっ、はっ……!! 」
 
『 !! 』

「 聖獣召喚失敗か、もっと役に立てそうな子供を探すしかないな。もういい、本体が死ねば聖獣は使えない 」

銃弾は少女の身体を貫通し、その身を冷たいコンクリート上へと倒れた
俺の身体に埋まる銃弾は音を立て地面に落ち、涙を舐める俺は只、また呼ぶのを待つことを願うしか出来なかった

『 次は、時と場所を考えて呼ばなきゃダメだよ…… 』

光を失うその目には、俺をどう写すだろうが
嫌いな聖獣だと思われて無いと良いのだが……

いつしか俺は、聖獣召喚されるのが怖くなった
現れても目の前で主は殺される事が多く、助けようにも助けられない時が多い

なのに、身に感じる召喚の条件で与えられた魔力で奪った力を感じると
只の狡い奴に思えて仕方無い

『 聖獣、なんて……ならなきゃ、良かった!! 』

「 コウガ落ち着け!!御前が自傷して何になるんだ!! 」

召喚され戻ってくる度に、身体を岩へとぶつけたり壊れたように泣き叫ぶ俺は、シロの声など耳に届かなかった

聖獣であり、経験してるシロは一度は訪れる
この病み期が来ることを知っていたらしく
俺がぶつかるのを、その身体で止めては優しく抱き締めてきた

『 っ、シロ……俺の、主が…… 』

「 人の運命はそんなもんだ…。大丈夫、また会えるだろ…… 」

何度も安心させるように撫でる手に、目を見開き身体を倒し喉元へと理性を無くし噛み付いていた……

召喚されるのが怖いなんて……
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された

楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。 何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。 記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。 ---------- ※注) かっこいい攻はいません。 タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意! 貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。 ハッピーエンドです。 激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします! 全16話 完結済み/現在毎日更新予定 他サイトにも同作品を投稿しています。 様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。 初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから

西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。 演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP *10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

処理中です...