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一章 聖獣への道のり編
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しおりを挟む「 うむ、御前達……喧嘩したのか? 」
翌日に、朝食を終えたフリーレンは俺達の無言の気配を察してか、右手に持った本を閉じるなり首を僅かに傾げ問い掛けてきた
何故か距離がある、とでも言いたいのか、目が見えてないのに察しがいいと思うが、今はそんな事ではない
夜の事があり、バトラーに近付くのに抵抗があったんだ
それに比べて本人はなにも気にしてないように清々しい顔をしては会話をするための点字が書かれる紙へと視線をやり、字を書く
「 えぇ、少し……下の御世話を…… 」
『 グァッ!!! 』
なんて事を伝えようとしてるんだ!!
その下の、と言う文字を見た瞬間に飛び掛かった俺を避けるついでに持っていた紙を片手で引っ掻き奪いとり、床へと落とし踏む
『 ガルルッ( 何て言うことを書こうとしてんだ!! )』
「 事実、御世話して差し上げたじゃないですか 」
『 ガウッ!( そう、だけど!?あんな……されて、平気でいられるわけねぇよ!! )』
何を話してるのだろ、とばかりに疑問そうに此方を向いてるフリーレンを余所に
家主だからとハッキリ伝えようとしてるバトラーの素直さに改めて動揺した
寧ろ、わざと言ってるんじゃ無いかって態度に軽く唸り怒れば彼は白手袋してる手を顎に置き答えた
「 勝手に発情したのは貴方でしょ?キツいかと思い下の世話をして差し上げたのに…… 」
『 グゥ……( うっ、其を……だが。だからってレンに言う必要は無い!! )』
正論だ、匂いに発情したと言うか興奮したのは本当だが其をフリーレンに告げる必要性は無い
此は精霊と聖獣の問題なんだとハッキリと言えば、バトラーの口角は上がり目細めて鼻で笑った
「 聖獣が主に隠し事?まぁ、他にも有るようで、いちいち伝えることも無いでしょね 」
『 グルル…… 』
何か知ってるような態度に腹が立つ
もしかして腹に居る事に気付いてるのか?いや、魔力は微弱に消費してるだけだから、精霊相手が分かるはずがない
シロだって直ぐに気付かなかったんだから、違うだろうと思い、軽く威嚇程度に唸っていれば黙って聞いていたフリーレンは問う
「 ナイト、そうバトラーを毛嫌いことも無かろう?同じ住人じゃないか 」
『( 天然か!!いや、言わなきゃそうだな )』
俺だけ一方的に怒ってるような、いや、そうなんだけど……毛嫌いしてる訳じゃないと紙から手を離し彼の足元へと戻れば、手は頭へと触れる
「 シルキーはとても世話焼きなんだ。きっと御前が可愛くて仕方無いのだよ 」
『 ………… 』
可愛いとは思って無さそうだが、と振り返ればそっぽを向いてるバトラーの姿を見ては其はないなと実感する
冷たい目を向けたまま撫でられてる俺に、彼は思い出したかの様に別の話へと切り出す
「 あぁ、そう言えば……そろそろ魔女の集会がある。其処で錬金術師の事を聞こうと思うのだが……着いてくるだろ? 」
『 魔女の集会?どんなことかは分からないが、聖獣だからな、傍にいる 』
「 では、決まりだ。ナイトも集会に参加すると良い 」
魔女の集会、それは魔法使いであるフリーレンも参加できる時は行ってるらしい
強制参加では無いために、情報収集をしたいときや其々の現状の報告を兼ねたもの
人間以外なら、魔法使いや魔女に招待された者は来れると告げた彼に、俺は聖獣だが"招待された"から行けるってことなのか
「 百年年に一度の魔女の集会だ。俺が囚われていた時にあった変化など聞けるだろうさ 」
永く囚われていたフリーレンにとって、この世界はどれだけ変わったと思うのだろうか
俺は此処から離れないし、他の人間との関わりを持たない" 聖獣 "だからこそ気にはしないが
自由に生きてるはずなのに、余り家から出ない彼の行動は自由に見えないし、だからこそ外の世界の変化など気になりはしないのか
飼い犬を触れるように撫でる手は、何処か意識が他に向いてるように見えた
『 結界の外って、人間が住んでるんだよな? 』
話を終えた後に、庭でシーツを干していたバトラーの近くへと行きそこから岩で造られた塀の外へと視線を向け問えば、シーツのシワを広げながら答えた
「 そうですね。森を抜けた先に小さな町が有りますよ 」
『 レンを捕らえた奴等がいるのか? 』
「 さぁ、捕られたのは錬金術師を毛嫌いしてる、何処かの国の兵士だったので偶々この森に来ていただけです 」
『 その国の名前って分かるか? 』
もし、錬金術師を嫌ってる国が一つだけならとても心当たりがある
だからこそどんな国なのか聞けば、バトラーは手を止め俺の方へと視線をやり眉を下げた
「 今、どの国も錬金術師を嫌ってます。国の特定など出来ませんし……私はその時も、此所に居たので…… 」
『 あっ……" シルキー "だからか 』
「 えぇ、用事がない限り何処にも行きませんので 」
家に居るシルキーが、フリーレンに何があっても気付くわけがない
俺の知らないときに、彼は主が自ら一時帰ってこない事を告げたのだと聞いた
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