転生したら召喚獣になったらしい

獅月@体調不良

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一章 聖獣への道のり編

07

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~ バトラー 視点 ~


ナイトが使っていたティーカップの食器を拭いていれば、手が滑り床へと落ち割れた
拾うのすら戸惑い、感じる胸騒ぎに視線を小窓から外へと向ければ
美しい月は、まるで誰かの血が流れたように赤く染まっていた

考えたくはない、約束をしたのだから……
そう思い気を逸らしていたのに
大猫に乗って帰った者達の表情とフリーレン様が、カーペットに現したナイトの横たわった姿を見て、身体は震えた

「( 帰ってきてくださいと約束したけれど、何故…… )」

魔女の集会はそんな長くは行われない
月が真上へと出てる間のほんの僅かな時間だけなのに、不安な心を誤魔化していたのに……
こんな結末は望んではいなかった

血は止まってるものの、傷口が塞がってないナイトの姿に呼吸さえ出来ないように詰まり、その身体へと触れた

冷たくて氷のように冷えてることに、フリーレン様が魔法を使ったのは直ぐに理解した
けれど、彼の中にあった大切なものは無くなってることに涙が流れ落ちる

「 シルキー妖精。泣いてんのか? 」

「( 何故、こんな事になったのですか……? )」

聞こえるわけもない声でフリーレン様を見上げて問えば、近くにいた何度か見たことのある星詠みの魔法使いは答えた

「 俺達にもどうなったのか分からない。只な、魔力の暴走をしそうなそいつの時間をフリーレンは止めたのは確かだ。溶かすことは簡単だが……保証は出来ない 」

何故、主は喋らないのか
口を開いて言ってはくれないのか、貴方は其で良いのかと思う私に、ずっと黙っていた彼は告げた

「 すまない……少し休む。ナイトを頼む 」

「( フリーレン様!! )」 

前回も理由を深く教えてはくれなかった、今回もまた教えてはくれないんですね

私は、待つことはもう嫌いなのに……

「 フリーレン!ったく、ネロも其処にいろ 」

星詠みの魔法使いはフリーレンの後を追い掛け二階へと上がっていく
静かになったリビングに、私は何度か撫でていた後に意味もなく、暖炉に火を付けた

「 貴方は……彼を気に入ったんですか? 」

座り込んで動こうとしない彼もまた深く怪我をしてるように見える
言葉を話せないのか私を見ること無く、小さく頷いた程度、けれど其だけで察することは出来る 

離れないってことは、気になって仕方無いんだと……

「 ただいま、と言うまで許しませんよ…… 」

暖かい暖炉の火が、彼の身体を暖める事は無かった
其でもきっと暖かくなると信じています


~ ネロ 視点 ~


初めて見掛けた瞬間、自分と良く似た狼だと気付いた
耳に心地いい声と、雌のように甘い匂いを纏った狼に単純に惹かれた
どんな姿なのかわからない、どんな青年なのかも、けれど二つの魔力を感じる中で眠る小さな魔力を知り、守りたくなった

「( 自分も守るから……笑って欲しい )」

嫌そうに料理から逃げてることも、他の使い魔と自分が違うことを気にしてるのも知っていた

其でも良い、気にする必要はない
ナイトにしか持ってない雰囲気を自分は気に入り傍にいたいと思った 

『 っ…… 』

反射的に守ったのは良いものの、彼が聖獣だと忘れていた落ち度に内心笑えた
けれど目の前で切られても回復するとは言えど、傷を付けたくなくて、身体を動かし抱き上げて
主人の元へと戻った時には、自分の身体は思うように動かなかった

元々目も見えず、声すら発することの出来ない自分は、他の者より雰囲気、呼吸、音でどんな姿なのか把握できる
今のナイトは恐怖に怯えて怖がって、例え斬られても回復しないような気がして

案の定、避けはしなかった

それでも立ち上がったことに、彼の強さを感じた

「( ……守られたのは自分だ )」

敵を引き付け、そして戦う音や魔力の動きに
やっぱり、凄いなと感じていた

けれど、彼は目の前の物に気を取られると他の事に反応が遅れるらしく
その身体には似合わない音と共に離れた小さな魔力に気づいたときにはあの状態だった

そして、月の魔法使いが告げた言葉と氷の魔法使いが告げた願い

それは余りにも、条件が悪すぎる

「 ナイトが目を覚ます迄で構わない、生かして欲しい。この魔法は心が癒えれば時間ともに溶けていく、だからそれまで…… 」

「 ほう?ならば呪ってやろう。その獣が目を覚ましたとき。御前はその身が砕け命尽きると 」

「 元々" 時間 "が氷ってるんだ、構わない 」

反対しようとする主人を他所に契約は成立した
大猫に乗っていても彼等に会話はなく氷の魔法使いの家へやって来た

主人でも出来ないような結界を、あの錬金術師は簡単にすり抜けて伝言を送ってきたと聞いたときには驚きは隠せなかった

彼等に何があったのか自分にはわからない 
けれど、少しでもその心の傷が癒え、目を覚ますまで

自分は傍にいてもいいと、主人から言われた為に此処にいる

「( シルキー妖精、自分が向けてる感情は……" 兄弟愛 "だよ )」

知らないのは、俺以外の全員
俺は、神の庭に戻れなくなった成り下がりの……

元聖獣なだけ

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