174 / 276
二章 宝物捜索 編
09
しおりを挟む時間は止まってるが、外ではシエルがカボチャを頑張って作ってる最中であり、俺は此方で魔力のコントロールを教わる事となった
確かに、口輪を付けられて外に放出してた無駄な魔力は消えたとしても、魔法を使ったときの魔力の無駄には気付いていた
小さな敵にしろ、デカい魔法をバンバン使ってたのは、あのおつかいの時に盗人になったエヴァンを狙った事で知ったのだろう
言われてみれば納得出来ると心の中で頷けば
黙って聞いてる様子のソレイユを他所に案外世話役でお兄ちゃんっぽいファルは笑みを浮かべ告げた
「 いいか、聖獣にとって魔力のコントロールは必要不可欠だぜ。主の魔力を喰いまくる聖獣なんて格好よくねぇ。スマートに必要最低限で敵を倒す、此こそまさにできる聖獣だ 」
『 できる聖獣!! 』
「 そう、できる聖獣だ 」
おぉ!!なんて素晴らしい響きなんだ
できる聖獣と思われるようになれば、此れから出会う召喚師が苦労する必要も無くなる
幼いシエルの負担も減ることを改めて分かれば、気合いが入り尻尾は大きく左右に揺れる
「 俺の能力は無効化だが、魔法攻撃には優れてねぇ。どちらかと言えば防御特化型だから、御前みたいな"バランス型"は鍛えようがある 」
『 バランス型! 』
知能が三割落ちたか?なんて冷ややかな視線を向けるソレイユは、その場から移動し近くの岩へと腰を下ろし此方を見ていた
どうやら彼は補助と見物程度にこの空間に入れられたらしいな
「 まずは……人型を保ちながら"此だけ"に当てるようにしろ、兄さん 」
「 ん…… 」
ソレイユも何かするらしく
兄さん、と呼ばれたと同時に彼は片手を下から上へと上げた
地面は揺れ地鳴りは響き、ファルの前に現れたのは石で作ったテーブルの上に置かれた、岩の蝋燭だ
『 まさか…… 』
「 他を氷らせること無く、それに当てろ 」
ソレイユの練習はいつも力業だった、だが今の彼が言うのはとても繊細で技術が必要なものだと分かる
細い蝋燭が立ってる程度のそれに、魔力を一点に集中して放つのか
取り敢えず人型へとなり、少年の姿のまま距離感などを見て深く呼吸をする
「 この空間に時間はねぇ、御前が倒れても永く回復するまで待っててやる。やれ……他の場所を氷らせたらぶっ叩く 」
『 ……釘バット!!? 』
鎌の姿は変わり、釘が刺さりまくった木製バットへと変わったことに驚けば、ファルはいい笑顔を浮かべた
「 俺の時代は、これだったなぁ? 」
「 よく分からねぇだろ……。元人間からの成り上がりだと知ってたが、使うものが理解できん 」
『 いやいや!!ってことは、ファルは元日本人か!? 』
褐色肌だからてっきりソレイユと同じ国の人間だなんて思ってたけど、まさか釘バットを持ってる世代ならそれだけ日本に近いと、指差して言えば、彼等の目を見開き御互いに顔を向けた
「「 にほんって、どこだ? 」」
『 ジャパンだよ!!J・A・P・A・N!!! 』
何でだよ!知らないのかよ!ちょっと期待したじゃん!!指差して告げた俺に、彼等は其々に考えるそぶりを見せた
「 俺は気付いたときには少年兵だったからな。何処で生まれてどの国に居たのかもわかんねぇな…… 」
「 同じく、住んでる国になんて興味ねぇから。これはその時はほら、薬やってた奴等が持ってたんだぜ 」
『( サラッと聖獣が薬やってた、とかいってんだけどいいのかよ……。分かった、南米だろ。御前は南米辺りってことにしよ )』
南米が薬が多いってう考えは申し訳無いが、雰囲気からして、あの辺りのヤンキーはピチピチのタンクトップにバイク乗ってるイメージだからな
『 あ、じゃ!ハーレーとか乗ってたの?バイクってやつ 』
「 戦車か? 」
「 ちげぇよ。バイクなぁ、懐かしいな、乗ってたぜ 」
『 こんなのだよな!! 』
早々にツッコミしたファルに笑いそうになるが、バイクを知らないソレイユの為に、氷を使って記憶にあるハーレーのデカいやつを造り出した
「 おぉ!!これこれ!!なーんか、ちげぇけど。確かにこんなバイクだ 」
「 車輪があるな……。動くのか 」
『 二輪車ってやつ。俺の時代はこんな車、自転車、新幹線だってあった 』
なんか練習より面白そうだと、記憶にある乗り物をどんどん造っていけば、流石青年
乗り物は好きらしく、ソレイユは立ち上がり氷を見ていく
新幹線は実物より小さいが、他の物は本物と同じ大きさで見せていく
「 かわいこちゃんの時代は進歩してんだなぁ! 」
「 ほぅ……?通りで俺が新しい成り上がりの奴等と話が合わねぇわけだ 」
『 まぁな、国も違うし、歴史も違うから 』
そう思うと、此処にいる三人は前世だと絶対に会えなかったメンバーだ
だが、こうして出逢えて其々国の話をするのなら会えたことが運命であるんだと実感する
「 で、かわいこちゃん。見せてくれるのは嬉しいが、修行……やれよ? 」
『 あ、はい!!やるやる! 』
軍服姿に釘バットってどんな組み合わせなんだと思うが、やらなければやらないだけ釘バットで叩かれそうなのは目に見えて、取り敢えずもう一度意識を集中させる
「 氷造り出す量が多い!態々、地面まで氷らすんじゃねぇ! 」
『 っ、あぶねっ……! 』
素振りする感覚で釘バット振ってくるファルの攻撃を交わしながら、行うのは精神的にも大変だ
治るとは言えど、あんなのには当たりたくない!
2
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
校正も自力です(笑)
【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから
西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。
演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP
*10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる