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二章 宝物捜索 編
11
しおりを挟む問い掛けた言葉に、彼は僅かに目を見開き、視線を外した
そして…、金魚の様に口を開いては唇をキツく閉じ、座り込んでいた身体を自らの気力で立ち上がった
「 くっ…… 」
『 おっ、立てるんだ? 』
「 黙って、着いて……来い 」
そのまま壁に手を付き歩き始めたが、どうやら此処は何処かの洞窟の中で、
彼は目的地があるらしく、向かい始めた
『 支えてあげようか? 』
「 必要ねぇ…… 」
『( 強がっちゃって…深手じゃん )』
歩く度に薄暗い洞窟の床に雫のような血痕を落としていき、腕や太股に刺さった矢を強引に抜いては、それを落として歩き進めていく
『( 俺は、回復魔法…使えないからな )』
盾になる事は出来ても、此処までの重傷な人間を助けるだけの力は無い
其れは少しだけ申し訳ないと思うけど、此処まで呼ばなかったのは、彼の判断だからこそ、何も言わない
「 はぁ……ッ、く…… 」
『( 繋がりが浅いから…そこまで俺は苦しくないな )』
親しい主なら、俺も動くのがキツイ程に怠くなるはずだが、
ずっと放置していた主は、思ったより平気なんだ
其れがまた放置されていた時の流れを感じると、休憩をしながら歩くその背中を眺めていた
「 ッ…!ゴホッ……おえッ……っ…はぁ、っ… 」
『( 毒による吐き気か… )』
嘔吐つくと同時に血を吐くクララは、口元を拭いては、
もう一度子鹿のように脚を震わせて歩き出す
『( 仲間は如何したんだろう…まぁいいや、如何でもいい )』
この時代の事を知るつもりだったけど、彼が教えてくれないのなら聞く気もない
てか、この状況なら聞くタイミングすらない
「 ゴホッ…ゴホッ、は、ッ…… 」
『( 今回は諦めよう。この人はどうせ直ぐに…死ぬ )』
シロもこんな感じなんだろうか?
諦めた主人には、
心が冷たくなる程に感心が無くなるのだろうか…?
経験するとは思わなかったけど…
なんとなく、主人の見極めが早いシロの気持ちが分かる気がして来た
彼が小説や漫画の中の主人公なら、
今、こうして一歩つずつ歩きながら目的地に向かってる姿は、
とても感動的で、頑張れって応援出来る場面かも知れないが…
今回は使い道がないと言われた聖獣視点から見た、
主人の後ろ姿だから、如何しても感情移入が出来ない
『( まぁでも…俺も完全に冷たい聖獣じゃないからな。ちょっとは手を貸してやるさ。呼ばれたというか、目が覚めたし )』
半強制的に目を覚したけど、其れでも最後ぐらいは使い道のある聖獣としての印象は与えたいから、獣の姿へと戻り彼の前へと立つ
「 ……は? 」
『 乗れるぐらいの気力は残ってるだろ?乗れよ…この先が行きたいなら 』
「 ……くそ、生意気なやつだな…はっ、く…… 」
『 なんとでもいえ 』
その言葉すら言えなくなるんだからさ
構わない…
そう思って、しゃがみ込めば文句を呟きながらも背中に跨ったクララを乗せて、彼の行きたがった方向へと歩く
「 ッ……はっ、く…… 」
『( 背中が血でぐっしょり…帰ったら身体洗おう )』
気持ち悪いのこの上ない…
帰った後の事を考えつつ、クララが落ちないように余り振動を与えず歩き、見えてきた光へと近づき、其の中へと入る
『 !!! 』
「 やっ、と…つい、た…か……… 」
目の前に広がったのは、彼方此方に山のようにある金銀財宝の数々
黄金色に輝く一面に驚いて目を見開けば、クララは背中から降りて其の場に座り込んだ
「 望み通り…最後の命令だ…、探せ…… 」
『 は? 』
「 俺が…望むものを、見付け出せ…。御前なら、分かるはずだ… 」
『 ……御命令とあらば 』
繋がりが浅いから、そんな事をパッと思い付かないのだが、命令なら仕方ないと思いクララを其の場に残して、宝の中へとジャンプしてから入っていく
何処を歩いても財宝の数々…
『 これが宝の洞窟か…お伽噺だな。さて、御主人様の望みは… 』
俺が人間なら、財宝に目が眩んで何でも取りたくなるだろうが…
こんなものがあっても時代事に金の単価は変わるし、聖獣は飯が食えない
寝床も無いってわけじゃないから、欲しくならない
金に困ってない生活だからこそ、いらないんだろうなって呑気に思い探していれば、黄金色の山は動いた
『 動いた……?っ!!? 』
「 我が…主の、宝…奪いし者…何者で…有ろうが…。此のファフニールが許さない 」
『( ド…ドラゴン!!?いや、聖獣!!? )』
財宝の中から出て来たのは、宝石を散りばめたような鱗に黄金色の身体をした大きなドラゴンの姿をした聖獣
彼が現れた事で雪崩のように崩れていく財宝から逃れて、別の場所にジャンプして足場を踏ん張れば、敵意剥き出しだった聖獣はふっと顔を上げた
「 あれ?この匂い……知ってる気が……あ!! 」
『 は……俺は知らねぇ……ぬぁ!!? 』
さっき迄の雰囲気は何処へやら、聖獣は宝の上を瓦礫の様に走るなり、飛び掛かって来た為に反射的に避けた
「 ドーーーン!!あれ?? 」
『 あれじゃねぇよ、急に何すんだよ!?って……あれ? 』
ドーーン!と言いながら突っ込んできた奴を不意に思い出せば、俺はハッとした
『 あの時の赤いドラゴン!!?? 』
「 そうだよぉ~、久々だねぇ~ 」
゙ ロッサ ゙って名前を言いかけたが、本名は良くないと思い言わずにいたが、気付いたことで黄金色の聖獣は嬉しそうに長い尾を揺らし、近くにあった王冠に尾の先を通して、俺の頭に乗せてきた
「 立派になったねぇ~?おめでとうー 」
『 お、おう…ってそんな事を言ってる暇はないんだ!主人の欲しい物を探さなきゃならない 』
「 ん?あぁ…じゃ、探さなきゃね~。いいよぉ? 」
『 いいのかよ… 』
さっきの不法侵入は絶対に殺すマンみたいな雰囲気が何処へやら、聖獣同士が友達だった、と言う特典で
好きに探していいと言われた事にちょっと戸惑いながらも実行する
「 ゴホッ…… 」
『 御主人様、待ってて!!直ぐに見つけるから!! 』
「 あ、あぁ…… 」
「 見つかるといいねぇ~ 」
五年ぶりに呼ばれたのが、この宝探しの為だとは思わなかった…
『( つーか、物も多いし、場所も広いから分かんねぇんだけど!?ピカピカ光ってないわけ!? )』
クララが一番欲しいもの…
それってなんだよ…
ずっと眠っていたから、
分からないんだが……
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