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二章 宝物捜索 編
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しおりを挟む俺なら分かる
そう言われたのはきっと、聖獣は少なからず繋がってるから共有された部分から、欲しいものが分かるって言いたいのだろうが…
『( 強くなるための宝剣?それとも盾?金になる財宝? )あーーもぅ!!クララ、分かんねぇって!! 』
離れた場所で騒いでる俺の言葉なんて、死にかけてるクララが分かるはずもなく、一人で勝手に財宝の中をかけ走っては、潜った後に宝石の中から顔を出して、辺りを見渡す
ぴかぴかしてキラキラした物は幾つもあるから、それが全てクララが欲しい物だと思う
「 困ってるねぇ~?ヒントあげようかぁ~? 」
『 分かるの!?頂戴! 』
「 そりゃ、此の洞窟に入って来た時点で…僕には人の欲望が分かるからねぇ~ 」
流石、財宝の守り竜…ファフニールってところか
そう思う位の言い方に感心して見上げれば、彼は手元の宝石を転がした
「 此処にある財宝…全て、本物であり、偽物。人を惑わせるけど…真実もある…心一つで、その答えは分かるよ~? 」
『 本物であり、偽物…惑わせるけど、実物もあるってことか?…へぇ、ヒントと言うか答えだな。ありがとう 』
「 へへ、友達だからねぇ 」
『( 友達…悪くないな… )』
この時代に、知ってる顔はいないと思ってたけど…
ロッサの言葉に嬉しくなり、焦る気持ちを落ち着かせるように深い息を吐き、目を閉じては周りに意識を向ける
『( クララが求めてるもの……それは… )』
ピクリと耳が動き、パッと顔を上げれば辺りにあった財宝は消えていき、動き辛かった足元も歩けるようになった為に歩けば、目についたのは宝石が散りばめられた高価な鳥籠に入った、丸い銀色の卵のような物だった
『 なにこれ?でも、これっぽい 』
他に残ってる財宝は無いから、きっとこれだろうなって思い獣の姿では持ち運べないから、人の姿へと変わってから両手で鳥籠を持ち、中を揺らさないようにクララの元に戻る
『 見付けた!クララ、これでいいか!? 』
座り込んで俯いていた彼は、俺の言葉と共にゆっくりと青ざめて暗い顔を上げた
「 っ…てっきり、もっと…面白味のある…物かと…思ったんだがな… 」
『 どういう事だ? 』
「 は……まぁいい、中身を取り出せ… 」
『 ん?分かった… 』
本体を知らない事に不思議に思うけど、彼が言うままに籠の中から、テニスボール程度の小さな卵を取り出せば、クララに向ければ彼は腹に当てていた手を動かし、血の付いた手を向け受け取った
「 …もう少し…寄れ 」
『 ん?こう? 』
寄れ、と言われて何をするのか…
そう思って近付き、彼の横に手を置けばその卵を胸へと押し当ててきた
『 っ!!? 』
急に入って来る冷たい氷のような異物と其れによって感じる身体の熱に気付き、しゃがんでるのがままならず、彼の横へと倒れてしまった
『 ッ!!な、に……クラ、ラ……? 』
焼けるような身体の痛みに眉を寄せれば、彼は満足気に笑っては俺の頭に触れてきた
「 痛覚だ…。御前に与えたかった、ものだ… 」
『 な、ん、で……? 』
゙ 痛覚 ゙
それは、俺が修行してる間に失ったもので…
それが無いからどんなに砕けても、腕が飛んでも良いと思ってのに…
また変な物を命懸けでくれたんだと驚けば、クララは頭に触れていた手を離し、自身の心臓辺りへと置く
「 …人は、痛み…苦しむから…生きようと…藻掻く。痛覚の無い御前には、分からないこと…だろうがな…。だから、何でも手に入る…此処で、御前が失った物を、返してやろうと思ったのさ… 」
『 な、んで…そんな、邪魔なものいらない!!こんな、痛み……っ……! 』
上半身を起き上がらせようとした俺に、クララは初めて見るような柔らかい笑みを浮かべてきた
『 っ……! 』
そこで初めて気づいた
何故…ずっと寝れていたのか
それは、俺に痛覚がないから
主人との共有される部分が薄い程に無くて、気づく事が出来なかった
痛みがある今なら、クララが意識を飛ばしそうな程に苦しんでるのが分かる
「 それを、もって……次の、主人の前では、人や…自身を大事にしろ… 」
『 っ……そんな、今更だろ!!馬鹿、クララ!!聞きたいこと、沢山あるのに死ぬなよ!! 』
仲間はどうした?
ここまで如何やって来た?
魔法の使い方、航海の仕方、仲間と仲良くなる方法
色々聞けてないのに…
「 ………… 」
『 クララ!おい、クララしっかりしろよ!! 』
目を閉じて動かなくなった彼に、肩を軽く揺すっても返事はなくなった
『 やっと、呼んで宝探しだけってなんだよ!もっと、冒険するんだろ!海賊だろ!!!こんな別れ方嫌だよ…お願い…お願い!!クララ……!! 』
俺、
今度は…無視なんてしないから
今度は…ずっと眠らないから…
『 お願い…もう一度、クララと…やり直させてくれよ!!! 』
「 コウガ…此処は全ての物を得られる場所…。いいの…?君の宝ではなく…彼との時間を欲しても? 」
クララの頭を抱き締めていれば、人型を得たロッサは、あの時に見た時よりもスラッとした青年に成長し、金髪にルビー色の瞳をした彼を見て驚くも、頭を振った
『 また、宝探しに来るから……今は、クララと、やり直したい…出来るだろうか? 』
「 出来るよ。其れが、心から望むものなら… 」
彼は、俺の頭に着けていた王冠を取れば、
一瞬でシルバーに輝く懐中時計へと変わり、差し出してきた
『 これ、は……? 』
「 戻りたい時間に戻る時計…さぁ、望んで。いつの時間に…戻りたい? 」
『 俺は…… 』
クララの事を何も知らないで、只嫌いだと思っていた…
でも寝てる間の彼を知ればきっと、何か変わるかも知れない
自分の過ちは無かったことにはしないから…
関わらなかったあの時間だけ、戻りたい
『 ロッサ…んん、ファフニール…ありがとう。また来る 』
「 うん、待ってるよ。コウガ…今度ば 君達 ゙の宝を探しにおいで 」
シロが知ったら、物好きだと言われるかも知れないな
そこまで主人となった人間に執着する理由は彼には分からないと思うけど…
此ればかりは、俺がまだ人間臭いってのが原因だろう
動き始めた懐中時計と共に、薄れ行く意識を手放した
「 けれど、時間は戻るだけ……。
もう一度ここに来れば……。
んん、待っているよ…アルト 」
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