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二章 宝物捜索 編
02
しおりを挟むそれなりに手伝った事で、クララも機嫌が良いのか、昼頃になり、
大半のクルーが休憩へと入る時間
広々とした食堂にやって来た後に、早々に彼等へと声をかけた
「 新しい服を買って来た 」
「「 服!? 」」
「 好きな物を、各々に持っていけ 」
『 はっ、俺の出番だな!? 』
礼を言われる事は無かったけれど、ちらっとコチラを見たご主人の為に、
影から服を掴み、取り出していく
『 どうぞー! 』
「 すげぇ!! 」
「 めちゃくちゃ綺麗なやつっすね!? 」
食事をしていたクルーも手を止め、一気にその場にいた全員が俺とクララの前に来れば、各々に目についた服を手に取る
「 あ、それ俺が目をつけてたやつ! 」
「 うるせぇ、早い者勝ちだろ! 」
「 つーか、てめぇ!それ絶対に入んないだろ!! 」
「 入る 」
まるでバーゲンセールに来た主婦のように、サイズとか一切気にせず好きな色や形のを取っていく様子を見て、クララは背を向け、静かに食堂を立ち去った
『( えっと……クララ優先か )』
服は渡せたのだから、俺の役目は終わったと思い、喧嘩してる彼等を眺めてから急いで、クララの後を追い掛けた
食堂を出た先にある、長い通路を歩くその後ろ姿へと追い掛けて、一歩後ろで立ち止まる
『 喜んで貰えて良かったな? 』
「 そりゃずっと色褪せて、ヨレた服ばかり着てたんだから嬉しいだろう 」
『 いや、俺が言いたいのは…クルーの笑顔を見れて良かったじゃん?ってことなんだけど… 』
実際には、笑顔は一瞬だったし…
その後に目の色を変えた様に、血祭りのごとく奪い合ってたから、喜んでもらえる…と言う想像と違ったのだが、
其れでも、嬉しそうだった事には変わり無い
だから、それを見て少しでもクララも嬉しくなったんじゃないかな?と苦笑いを漏らせば、
彼は立ち止まり、視線を晴天が広がる外へと眺めた
「 雨が降り続けなければ良かっただけさ。これが…当たり前なんだろう 」
『 綺麗な服を貰うことが、当り前じゃないよ 』
「 …………何故だ? 」
少しだけ目線を落とした俺に、彼はこちらを向けば、そっと自身が着てる白い服を掴む
『 普通なら貰えない物だから、貰ったら嬉しい。聖獣にとって貰い物は…お供え物みたいなものだから。その価値が…決まる 』
ランクの低い時は貰えないけど、高くなるにつれてそれに見合った代物をもらうんだ
綺麗な上着も、足に合わせた靴も、装飾品も全て…
今の俺の、価値を写してる
「 はっ、高価な物を着飾って自慢でもしてるのか?くだらねぇ 」
『 なっ……!高価な物だとは自覚はしてるけど、それを…今までくれた人達を侮辱するような言葉は、許さない!撤回してくれ! 』
くだらない…と、この格好を言われた事に怒れば、それまで多少機嫌が良かったはずのクララの雰囲気が一気に悪くなったのは察した
けれど、ここで引く事は出来ない
「 実際そうだろ。御前の格好からして、元は王族にでも仕えてたんじゃねぇのか?そんな着飾る事しか出来ない奴等の服なんて、どうでもいいし、くだらねぇんだよ 」
『 なにそれ……。クララの言ってること、只の嫉妬じゃん 』
゙ 綺麗な服を着て羨ましいな ゙
そう聞こえるからこそ、喧嘩腰だった感情は少しだけ冷静になり、視線は足元へと落ちる
「 嫉妬?馬鹿を言え。俺が嫉妬なんてするわけねぇだろう 」
『 全く同じ服は作れないけど…綺麗には出来る 』
「 あ? 」
歩き出そうとした彼の前へと早歩きで移動すれば、その服へと片手を伸ばし掴む
『 氷だけど… 』
一瞬で、彼の服装は白と青が基調とした王族のようなマントへとなり、肩には氷の狐を襟巻きのように付け、金の装飾を施す
「 ふざけんな!! 」
『 っ!! 』
それを見て、彼は俺の手を振り払い自らの肩辺りの氷を掴めば、能力で粉々に砕いた
「 王族みたいな格好になりたい訳じゃねぇ。俺は海賊だ。此の船の船長をしてんだよ。着飾って只、紅茶を呑んで回りくどい言い回しで会話をする連中じゃねぇんだよ!! 」
『 ……… 』
怒鳴るような声に、自然と肩は縮まって顔を上げる事が出来ない程の圧に、何も言えなくなる
「 その海賊の獣が、着飾ってんのが気に入らねぇんだよ。場違いだと…気付け 」
『 !! 』
浮いてるのは…聖獣だから、なんて理由にならないぐらいなのは分かっていた
此処に召喚された時から、人間達は見窄らしい格好をしてたけど、それが海賊なんだと納得してた
でも、綺麗になった服とはいえど…
所詮…王族が着るような服とは到底、比べようもない品なのも分かってる
「 御前の顔を見てると腹が立つ 」
横を過ぎ去るように歩き出した彼に、自然と震える手は服の装飾品を掴んだ
チェーンを引き千切り、床へと散らばる宝石の音に、彼の足は止まった
「 何やってんだ 」
『 この…場所に合わないと言うなら、俺は合うようにするさ。海水に塗れて薄汚れた服でも構わない…。クララがそれで、満足するなら… 』
貰った物をこうして捨てるような事をするのは心痛いし、申し訳ないけど…
俺の今の主は、クララなんだ
過去は過去だと割り切れと言うなら、
それに答えて全てを捨てても、彼の隣に立てるように努力をするさ
『 我が主…… 』
外れた装飾品と上着を脱いで、白い中シャツを着た程度になれば、その場で片膝をつき頭を下げる
『 貴方に認められるなら、俺は薄汚い犬にでもなるさ。…望むなら、なんなりと……俺は貴方の、剣であり、盾であり、道具だから 』
聖獣は、其の力を貸す代わりに対価として魔力を貰う
それで強くなれるのなら、どんな汚れ仕事だってこなすもの
それが、主の命令ならば……
「 ……そんな事で、俺が認めると思ってるなら大間違いだ。クルーより役に立たねぇ御前に、期待することはない 」
『( ……いつが役に立づと言わせたいな… )』
未熟なのはよく理解してる
クララの方が、何十倍も強いのも、彼の気持ちを理解して動けるクルーが有能なのも…
其れでも俺は、聖獣なりに…役に立ちたい思うんだ
『( シロならきっと、呼ばれるまで無視だろうけど…。俺はなんとなく…主と仲良くなりたいんだよ )』
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