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二章 宝物捜索 編
03
しおりを挟むクララが部屋に戻った後、獣の姿で足元に居たけれど、余りにも無視をさせるから少しだけ、仮眠をした
「 野郎共、出航だ!! 」
「「 おぉぉお!!! 」」
騒がしい声に耳がピクリと動き目を覚ませば、船の修理は終わった様子
また長い、船の上での生活が始まるんだなって思いながら、浅い眠りにつく
意思的に深く寝ることはせず、時々起きては、辺りの様子を見て、クララがしてる仕事を愛犬のように眺めていた
『( いや、最早俺は…愛犬ではないか? )』
話しかけても無視をされ、足元にいても目すら合わせてくれないのだから、愛犬より酷い扱いをされてると思う
「 今、北に向かってるのですが…このまま行くと十五日後には、次の島に上陸できるかと 」
「 嗚呼、ならそのままの進路で進め 」
「 あいあい 」
『( あれ?そういえば…この人、航海士? )』
数日、クララの側に居て気づいたけれど…
よく、海図を持ってやって来る彼と同い年ぐらいの襟足だけ異様に長い白髪の青年は、左目だけモノクルを着けて、
ローブのような重みのある服を着てるから、非戦闘員のように見える
「 では…私はこれで 」
「 嗚呼 」
話を終えて、海図を丸めた青年は船長室を出て行けば、俺は一度影に隠れてから移動をする
『 あん、さ…! 』
「 …!…なんでしょうか? 」
彼の前に飛び出すように、床から現れた俺に、少しだけ驚く素振りを見せた彼に、獣の顔を持ち上げる
『 あんたって、デル?って名前? 』
少し前に一度だけ聞いた名前だから、確信は無くて曖昧に問えば、青年は姿勢を正して頷いた
「 えぇ、私がデル•アンスブラントですよ 」
『 あ…やっぱり。じゃ、あの黒髪は違うのか… 』
只、聞きに来ただけの青年だったのかと思えば、彼は少しだけ傾げた
「 黒髪?沢山いらっしゃいますから誰の事でしょうか? 」
『 んや、黒髪は置いといて。俺は、デルに聞きたいことがあって 』
「 私にですか? 」
確かに黒髪は、短髪から少し長めまで色々いるから、誰ってなるのは無理ないけど…
その人の名前を当てるゲームじゃないからこそ、彼に一歩近付けば、気が優しいのか少しだけ背を曲げて視線を重ねてきた
『 そう。航海士なら…いろんな島を知ってると思って。俺が昔いた、国がどうなってるのか知りたいと思ってさ 』
「 ふむ…。行った事のある国と得た地図の記録しか、してませんが…お役に立てるか分かりませんが、私の部屋へどうぞ 」
『 クララは何も教えてくれないからさ。ちょっとでも情報があると嬉しい 』
歩き出した彼の横に着いていけば、俺の言葉に面白い事でもあったのだろう
柔らかく笑みを浮かべた
「 フフ、彼をクララと呼ぶのは…貴方ぐらいですね。誰も怖くて呼べませんよ 」
『 俺を、アルト、と名付けた仕返しだからな!呼んでやるんだ 』
「 そうですか。それはそれは…ふふっ 」
その笑い方が、少しだけ魔法使いだったレンの姿と被る
『( 彼等がいた…森も、あるのかな… )』
バトラー達が如何してるかは知らないが、俺が来るのを待ってるんじゃないかと思うと、会いたいと思うんだ
『( 服はともかく…過去を全て捨て切ることは、俺には出来ないってことだな )』
「 ここです。少し散らかっててすみません 」
『 ん?あ、いや…散らかってるぐらいは… 』
いつの間にか彼の部屋に辿り着いたらしく、閉まってる扉の前に行き顔を上げれば、デルは柔らかな笑みを浮かべて扉を開いた
『 ……… 』
「 あ、わっわっ……。きちんと詰めたはずなんですけど…… 」
雪崩のように落ちてきた書類と地図や海図の数々
それが廊下を埋める程にあることに、頭の中の思考が停止した
『( どうやって……詰めて、出てきたんだ??? )』
綺麗好きだったレンとは違い、彼はどうやら片付けが苦手なようだ
「 えっと……まぁ、踏んでも構いません。ですが…世界地図はどこでしょう? 」
『 はぁー……ちょっと退いてて、片付ける 』
「 へ?あ、ありがとうございます!すごく助かります 」
こういう時、人間だった頃の経験が生きててよかったなって思った
深い溜め息を吐いてから人の姿へとなり、俺と同じ姿をした人型を3体出してから、早々に片付けを始める
三時間半後
部屋は嘘のように綺麗になった
「 わぁー…!五年ぶりにベッドが空きました!あれだけ多い紙を片付けられるなんて、アルトさんは掃除の聖獣さんですか? 」
『 ……寧ろ時間かかったよ。よく分からない地図の書いてる途中のが沢山あって、それ等をパズルのように組み合わせるのが大変だった… 』
掃除の聖獣なんて嫌なんだけど、と思うけど、彼が落書きのように放置してる地図は全てパズルのように纏めてるから見易くなっている
「 続きを書こうにも、いつもその紙を無くすので…どうしても途中からになるのですよね 」
『 よく…クララの元に持ってきた海図は無事だよな 』
「 あれも…数十枚描いてますよ 」
『 ……駄目な奴だった 』
美人系の美形なのに残念だと思うぐらいの整頓の下手さに、寧ろ良く今まで生きてこれたなって思った
五年もの間…ベッドで寝ることなく、
この紙の山の中で寝てたってことだ
「 地理に関する記憶力は良くても…それ以外が駄目で。なんでしょう…そっちに記憶の全部を持っていかれるのかもしれませんね 」
『 単純に整頓が下手なだけと思うけど… 』
もっと纏めれる収納ボックスとかあればいいけど、ここにはそんなものは無い…
『( あれ、でも…なんで…紙が一切濡れてないんだ?五年も航海してたら水浸し…あ、デルの能力!? )』
この部屋だけを、水から守る時空関係の能力なのだろうか?と期待の眼差しを向ければ、彼は戸棚を見て傾げた
「 どうしましょう。どこになにがあるか、分かりませんね…。えっと…この辺りじゃないですかね? 」
『( 俺の……苦労は?? )』
三時間半かけて綺麗にした部屋は、
ものの三分で元通りになりましたとさ…
「 ありました!!世界地図! 」
『 もう…うん、何も言えない 』
その地図を探すのに、また三時間半経過してるなんて…
当の本人は、気づいてないだろう
離れた場所で、コックがフライパンの裏を叩いて、夕食だと声を掛けてるのが遠くから聞こえることを…
「 どうぞ 」
『 うん………ありがとう…( なんで、航海士…出来てんだろう… )』
元人間のはずなのに…
人間って変だなって思ってしまった
俺にとって、デル•アンスブラントは、
解読不可能な人物というレッテルが貼られた
1
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