転生したら召喚獣になったらしい

獅月@体調不良

文字の大きさ
259 / 276
二章 宝物捜索 編

09

しおりを挟む

『( 誰かの泣く声が聞こえた気がした…誰だろう。分かんないや… )』

雨の様に降り注ぐ鮮血を、全身に浴びては閉じていた睫を揺らし、瞼を薄っすらと開く

あれから 漆黒の死神団セイブル•ディ•トートは悪名の限りを尽くしていた

喧嘩を吹っかけて襲って来る者がいれば真正面から喧嘩を買って、そして海の魔物の餌にしている

俺の方に剣を振り上げていた男の頭は転がり、身体は横へと倒れた

辺りへと転がる無数の亡骸を見て、黒い剣についた血を振り払い、ゆっくりと歩き進める

「 ひぃっ…… 」

「 これが…… 漆黒の死神団セイブル•ディ•トートに存在する…血濡れた巨狼ブラディー•フェンリルなのか…こんなの、只のばけ……ぎゃぁぁあっ!! 」

主に、殺せと言われてるから殺してるだけ…

五月蝿い口を封じる様に、黒い風を帯びる魔法を発動させ、バラバラに切り刻んでいく

辺りに生存者が居なくなれば、細切れの死体を白い靴で踏んで歩く

卑劣な音が響き、ふっと足元を見れば赤黒く染まった靴に肉片がへばり付いてる事に、僅かに眉間にシワを寄せた

『 また…汚れた…。洗わないと…。大切な靴……なんで大切なんだっけ、忘れた…。いいや、どうせ綺麗になるし 』

聖獣だから一瞬で服を綺麗にしようと思えば出来るから、然程気にならない

踏みしめた足を持ち上げ、肉片の無い場所に跳び立っていると離れた場所から主の声が聞こえてくる

「 敵は殲滅した!テメェ等、ありったけの物を奪ってずらかるぞ!! 」
 
「「 アイアイ!キャプテン!! 」」

「 アルト!遊びは終わった。積荷の移動が終わったら船を沈めとけ 」

『 御衣 』

もう、遊ぶのは終わりか…

詰まらないな…

そんな事を考えて、クルー達が積荷を運ぶのが終えたタイミングで、乗組員が数名しか残ってない船に片手を向け、
幾つもの黒銀色の氷で突き刺しては穴が空いた場所から海水が入り、沈んでいく様子を横目に船内へと戻った

「 もう、俺等に勝てる海賊も海軍もいねぇわな!あははっ 」

「 間違いねぇや! 」

楽し気に話すクルーの言葉を余所に、長い通路を歩く

主は戦闘が終わると直ぐに風呂に入るなら、その手伝いをしないと…
 
船長室へと行き、奥にある個室のシャワールームへから音が聞こえれば、クローゼットから新しい服を一式取り出し、バスタオルの様な布を持ち、出て来るのを待つ
 
少しして血を洗い流した彼はシャワーを終えれば、何も言わず俺の腕からバスタオルを抜き取り身体を拭くために、ふっと息を吹き掛け残りを乾かす

「 はぁー……今回も大した収穫無いだろうな 」

呆れるように呟いた独り言を気にせず傍にいて、
新しい服に着替えた様子を見届けてから、汚れ物を拾い上げ、一旦影に隠れ洗い場へと持っていく

『 これ…… 』

「 ん?おう、キャプテンのな。りょーかい 」

血で汚れたのを洗い物を分別していたクルーに差し出せば、一度と手を止めて俺の腕から引き取っては、服へと視線を向けた

「 アルト、御前は最近…洗ってないけどいいのか?そりゃ綺麗だけど 」

『 綺麗を維持するやり方覚えてから…別に 』

「 いや、見た目は綺麗だけど…。血の匂い凄いから風呂でも入った方がいい 」

『 血……?いい、平気だ 』

そんなに匂いがするだろうか?と自らの腕を鼻先に寄せて匂いを嗅ぐも、余り分からなかった為に大丈夫だと言ってその場を離れた

「 アルト…。変わったよな…… 」

「 だよな…。戦力は申し分ないけど… 」

俺が去った後にクルー達が呟いた言葉に、興味を持つこともなく船長室へと戻れば、主が果実を食いながら航海士と会話をしていた

「 地図が揃いました。これで…黄金の島アウルム•イゾラに行けます 」

「 やっとか…。なら直ぐに行く準備をする様に他の連中にも指示を出せ。この世に存在する、全ての財宝を…取りに行くぞ 」

「 アイアイキャプテン 」

少し前から、とある島に行く為の財宝を探しているのを知っていた

其処には、ありとあらゆる財宝が眠っていて、海賊なら誰しも目指す場所らしい

クルーに報告しに行く為に立ち去った航海士を見た後に、地図へと視線を落としている主へと近付く

『 その島って…主にとって、いいことあるわけ? 』

「 良いこと?はっ。全ての財宝があるんだぞ、望まない者等居ないだろう。どんな願いも叶うと言うからな 」

『 ふーん…… 』

聖獣になるとそう言った欲が無くなるから、欲しい物なんて思いつかなくて、ちょっと興味なさげに言っていれば、彼は俺の方へとやって来て白いローブの襟元を掴み、顔を寄せて来た

「 御前はその為に呼んだ。俺が黄金の島アウルム•イゾラに行く為に 」

真っ直ぐと鋭い視線が俺を見詰めてきて、少しだけ視線を外しては、地図へと指を滑らせる

『 主の願いって…なんですか?ここに行けば、叶うのか 』

「 俺の願い?そんなの決まってるだろ 」

掴んでいた手を離し、ソファへと座り直せば胡座を組み、囓りかけの果実を口元に寄せた後食べる気を失ったのか俺の方に投げてきた

其れを片手で防ぐように掴み、手の平に垂れる味の無い果汁を舐める

「 俺は…、この島に行って人間になる事を願う。魔族なんて言わせねぇ。只一人の人間の男として、この海を生きてやる 」

『( 魔族の方が一緒に居られるのに、理解出来ないな… )』

果実を手の平に吸収し、其のまま消せばソファに座った彼に近づくように狼の姿へと戻り、横に飛び乗っては膝の上へと顎を乗せる。

『 ………主がそれを望むなら、俺は最後まで傍にいる。人間は短命だけど… 』

「 ふっ……アルト。死が間近に有る方がスリルがあって楽しいものだ。制限付きの人生の方がよっぽど良い 」

『 そういう物なのか…… 』

魔族よりよっぽど人間の方が弱いだろうに…

それを望むのは、何故だろうか

只スリルを求めてるだけのようには見えないし、
周りから魔族と言われるのを本気で嫌ってるようには見えない

耳を傾ければ、外は大粒の雨が降り始めていた

誰かが、泣いてるように……

そんな寂しい雨は、数ヶ月にも及ぶ程に太陽を隠していた

その結果、俺が乗ってる、漆黒の死神団セイブル•ディ•トートは流行り病により、
一人、また一人と数を減っていった

それなのに、海の魔物にも襲われるからクルーの疲労や苛立ちは目に見えて分かるようになる

これが、八十年も続けば…
そりゃ嫌になるわな

『 が、はっ……!! 』

「 テメェの仲間だった神獣の仕業だろ!!さっさとこの雨を止めさせろ!! 」

『 だ、れの……こと…… 』

怒りの矛先は、前にも雨を降らしてしまったことがある、俺に向けられた

誰だろう…… 

思い出せないや…

「 忘れたなんて言うなよ、役立たずが!! 」

「 キャプテン!アルトに当たるのは…違う気が… 」

「 黙れ!!俺に指図すんじゃねぇ! 」

大切な何かがプツリと切れたような感覚がした

あぁ…… 

コワレテイク………


しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された

楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。 何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。 記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。 ---------- ※注) かっこいい攻はいません。 タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意! 貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。 ハッピーエンドです。 激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします! 全16話 完結済み/現在毎日更新予定 他サイトにも同作品を投稿しています。 様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。 初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから

西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。 演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP *10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

処理中です...