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これからもよろしくね
しおりを挟む「あ、あった、あった!」
そう言って彼女はカップ麺の蕎麦をふたつテーブルに持ってきた。彼女は同棲を始めてもうすぐ1年が経つ俺のかわいい彼女だ。
デデーン♪~~♪~~
年末お馴染み『が○のつかい』というバラエティー番組の音がテレビから流れてくる。
そろそろ年が明けそうなので、今年はお蕎麦をふたりで食べようと準備をしていた。お湯を沸騰させていたポットがカチっと音を鳴らした。
「あ、沸いたみたい」
「本当だ。持ってくるよ」
俺はそう言ってソファーから立ち上がり、キッチンの方へと向かった。ポットの隙間からは湯気が少し漏れてきていた。このポットも、俺が1人暮らしのときから使ってるからな。そろそろ買い時かな。
そんな事をぼんやりと考えながら俺はポットを持って彼女の元へと戻ってきた。
「お待たせ致しました」
「ふふっ、ありがと」
「それでは注がせて頂きます」
「お願いします」
そう言って彼女は少しにやつきながら、深々と頭を下げた。俺はカップ麺の蓋を開けて、かやくなどを取り出し蕎麦の上に振りかけてゆっくりと中にお湯を注いだ。むわっと白い湯気がたって、めちゃくちゃ熱そうだ。彼女はそれをみてその白い湯気に両手を当てて「あったかーい」と言った。
「はーい、閉めますよ~」
俺はそう言ってお湯を注ぎ終わった蓋を閉じ、箸を上に乗っけた。すると、彼女は「むー」と言いながら口を尖らせた。
そんな姿を見て、またかわいいなと心の中で思いつつ、何食わぬ顔で3分のタイマーをセットした。
「今年も、あとちょっとで終わっちゃうね」
「そうだね」
「あ、N○Kに番組変えなきゃ!」
彼女はそう言って慌ててリモコンを取って、番組を変えた。
「ん?なんで?」
「だって年末と言えば除夜の鐘聴いとかないと!この番組なら除夜の鐘聴けるよ!」
彼女はドヤ顔でそう言った。なるほど、そう言うことか。でもそんなドヤ顔で言わんでも……そう思ったら、だんだんじわってきて思わず笑ってしまった。
「な、なによー」
彼女は少し不満気にまた口を尖らせた。
そんな事をしている間に3分のタイマーが鳴り響いた。
「くくくっ……ごめん、ごめん。ほらタイマー鳴ったよ!できた、できた!」
「あ、本当だ!食べよ、食べよう~!」
彼女はそう言って嬉しそうにカップ麺の蓋を剥がした。蓋を剥がすと、また白い湯気がむわっと彼女の顔面にかかった。彼女は「は~あったかーい」と言いながら幸せそうな表情を浮かべていた。コロコロと変わる表情の彼女にまた笑いそうになったが、流石に我慢した。なんか怒られそう。
しかし、我慢出来ず口元をニヤニヤさせていると彼女にすぐに気付かれた。
「なによーニヤニヤしちゃって。きもーい」
「おい、それはひでぇ」
俺がそうつっこむと、彼女はケラケラっと声を上げて笑った。
テレビからはゴーンゴーンという除夜の鐘が聴こえてくる。ふと、テレビの時計の数字を見ると「23:59」になっていた。
「あ、もうすぐ年明けるよ!」
「本当だ。あ、あと15秒!」
俺達はそう言ってカウントダウン10秒を一緒に数え始めた。
「「……6、5、4、3、2、1……明けましておめでとうございまーす!」」
俺達ふたりは声を揃えて新年の挨拶をして、お互いに深々と頭を下げた。
「さ、食べよ食べよう~!」
「うん、うっまそ~!」
俺達ふたりは熱そうな蕎麦を箸ですくい、ふーふーと少し冷ましながら一気にすすり上げた。
「はっふ……あっつい!」
「あっふぃ……でも、うま」
暖房がついてるけど寒いのか、彼女は鼻をずずずっとすすり上げゆっくりと口を開いた。
「……来年もこんな風に一緒に年越したいね」
「……うん」
「うんって、そんだけなんかい!」
「来年もってか……これから一生こうやって一緒に蕎麦すすって年越ししよう」
俺はそう言ってまた蕎麦をすすり上げた。ふと、彼女の方を見ると箸を止めて、まんまると目を見開いて固まっていた。
「……え、今のプロポーズ?」
俺は目をぱちぱちとさせて、手を止めた。そして、先程言った自分の言葉をもう一度思い出す。
「……」
「……」
「……いや、それは、その……近いうちに改めてちゃんとしますんで……」
俺はそう言って目線を彼女から逸らした。
……きっと今俺の顔は、茹でタコみたいに真っ赤になっていることだろう。だって、めっちゃあっついもん。
すると、彼女はまたケラケラと声を上げて笑いだした。
「ふっははははっ……っいや、もう耳まで真っ赤になってんじゃん」
「……うるせぇな」
「ふっふふ……うん、お待ちしてますね」
恥ずかしくて目を逸らしていた俺はチラッと彼女の顔に目線を移すと、彼女の顔もうっすらと紅く染まっているようだった。
「……美味しいね、お蕎麦」
「ふっ……うん、そうだね」
俺は顔を真っ赤にさせたまま、再び蕎麦をすすり始めた。
俺が高いレストランをちゃんと予約して、彼女に大きめのダイヤがついている指輪を渡す日はそう遠くはない未来だ。
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