母のギフトがすごいんです

えだ

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第1章

第2話 嫌な希望

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 ようやく火の玉が落ち着いても、俺たちは透明な膜の中から出ることができなかった。どこもかしこも燃えていたからだ。
 泣き疲れたドトルとレグラに、水瓶の水を飲むように促した。俺とジークはどこか冷静だった。

 たぶん俺は母のギフトで、この世がいかに危険なのかを散々聞かされていたからかもしれない。

『幸せは続かない、争いは絶えない。私とリージュが良い例だ。争いのせいで引き裂かれたんだよ、私たちは』

 今年のギフトの中でも、母はそんなことを言っていた。

『だから私はこの世界をすごく憎んでる。リージュももう13歳になったよね。だからそろそろ、こういうことも話して良いかなと思ったんだ。リージュ、いま幸せに暮らせてる?この魔力を利用して、うまく生きて欲しい。でもこの魔力は異常だから、周りに気付かれてはいけないよ。あんたが私の息子であると、に知られたら、私たちが引き裂かれた意味がないんだから』

 プーレナイト帝国は、俺と母をから召喚した帝国。でも母はそのプーレナイト帝国から命からがら逃げ出したらしい。

 プーレナイト帝国は子どもも容赦なく殺し、虐殺をも平気で繰り返す悪の帝国。そう母は言っていた。

「‥プーレナイトが攻めてきたんだと思う」

 透明な膜の中、ジークが言った。
ジークは戦士になりたいという夢があった。よく武器屋のおじさんに話しかけに行って、どんな人がどんな武器を買うのか、強い人たちはどこで戦ってるのか、そんな話を聞いてきては俺に嬉しそうに教えてくれた。
 その話の中でプーレナイトがどんな帝国なのかも聞いたことがあったんだろう。

「プーレナイト?!なんでっ?!」

 レグラが取り乱して声を荒げている。ドトルは目の下を真っ赤にしたまま、ぼうっと焼け焦げた森を見つめていた。

「‥‥なんでって‥理由なんか知るかよ。でもこんなことしてくるのプーレナイト以外にないだろ」

 魔導士たちの攻撃だったのか、飛行艇かなんかからの爆撃だったのか、はたまた遠くから大砲を撃ち込まれたのか、幼い俺たちには判断がつかない。

「孤児院に戻ろう‥」

 俺がそう言うと、ジークは首を横に振った。

「敵がうろついてるかもしれない。暫く森の中にいるべきだと思う」

「‥‥確かにそうかもしれないけど‥でも、森だけを攻撃してるとは思えないよ。町のみんなが心配だ」

 ジークの意見も、俺の意見も、間違っていなかった。間違っていなかったからこそ、俺たちはどうするべきか黙り込んだ。

「こ、この膜は何‥?私たち、いつも祈ってるから‥神様が助けてくれたのかな」

 レグラが震える手を握り締めながらそう言った。ジークは俺をちらっと見たけど、何かを言うことはなかった。

 ジークは気付いてるのかもしれない。俺が防御魔法を使ったって‥。

「神様が助けてくれたなら、みんな大丈夫だよ」

 ドトルが涙を目一杯に浮かべながら、何か確信付いたようにそう呟いた。レグラもそれに頷き、ドトルをぎゅっと抱きしめている。きっと神の加護があったはずだと信じて希望抱く2人の姿に、俺の心臓は嫌に跳ねた。

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