母のギフトがすごいんです

えだ

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第1章

第6話 奪われないために

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 絶え間なく投げつけられる瓦礫に怯むことなく、男はジークの元へと突き進む。男は血が混ざった唾を吐き捨てながらもジークを短剣で斬りつけようとした。

「ジーク!!危ないっ!!」

「っ!」

 ジークは持ち前の運動神経の良さで咄嗟に交わした。
おかげで男が振りかざした短剣はジークの服の裾を掠る程度で済んだ。

《‥防御魔法はもう消えたわけだな》

 ーー防御魔法が途切れたことに気付かれた‥!
俺の魔力値は【47/2700】‥先程よりも減ってる。つまり、ドトルの回復で継続的に魔力が使われているんだ。防御魔法は一体どのくらいの魔力を消費するんだ?!いまジークに防御魔法を使ったら、魔力は足りるのか‥?!

 悩む時間は残されていなかった。とにかくドトルの回復を継続させながら戦うしかない。
 ジークに向けて再度短剣を振り落とそうとする男を、後ろから羽交い締めにしようとした。男の両脇の下に腕を突っ込んだ際に、俺に悲劇が訪れる。

 男が俺を退けようと、勢いよく後ろに引いた肘が俺の顎にあたったのだ。
ろくに喧嘩すらしたことのない俺は、あまりにも簡単に地面に倒れた。

 ーーやばい、おれ、弱い‥!

「大丈夫かリージュ?!」

「‥あぁ、なんとか‥」

 これがクリティカルヒットというやつなのだろうか。たった一撃なのに目が回り、くらくらする。でも、このまま倒れ込んでいてはジークが危険な目にあってしまう‥!

 俺は再び立ち上がり、男の背中めがけて飛びついた。
男はいまジークと揉み合っている最中だった為、少しでもジークに有利なように動きたかったのだ。

 とはいえ、このままでこの男に勝つことができるのか不安でしかない。
いまドトルとレグラを守れるのは俺たちだけで、死にかけたドトルを救いたいなら魔法も恐ろしくて使えない。ジークは俺よりかは戦うことに興味を持っていたけど、それでも素人レベルでしかない。俺なんて、戦うことに興味なんて1ミリもなかった。
 相手は軍人。こんな俺たちで勝てるのか‥?

「うぁっ」

 ジークが声を上げた。ぽたぽたっとジークの頬から血が流れ落ちる。男にしがみついていた俺は、そのまま後方へと放り投げられて瓦礫の山に背中を強く打ち付けられた。

「ぐぅっ」

 痛い‥どこもかしこも痛い‥。
やばい、このままじゃ‥‥。

《黒髪の方も、こっちの茶髪のガキも、死にかけたそこのチビも、全員切り刻んで殺してやる‥!くそっ、瓦礫なんか投げてきやがって!!腹立つぜほんと》

 ーーあぁ、やばい。目が、チカチカする‥。

 男に殴りかかったはずのジークが、蹴飛ばされて地面に転がっている。
このままじゃ、みんな死ぬ‥‥

「ーーー憎き炎よ、あの男を焼き尽くせ」

 聞こえてきたのは、レグラの声だった。俺もジークも、驚いて声の方を見る。

 レグラは涙を流したまま、男に手をかざしていた。

「は?!お、おい待て、おいっ!!」

 レグラから放たれた炎は、真っ直ぐに男に向かって伸びていった。まるで火炎放射のように勢いよく伸びた炎は、あっという間に男を包んでしまった。

「うぁぁぁぁぁあああ!!!!!」

 男の悲鳴が聞こえた。俺とジークは男から目を逸らし、突然現れて俺たちを救ったレグラを視界に入れた。

 確かに生活魔法を使う中で、レグラは火を扱うのが上手だった。だけど先程まで心がやられて嘔吐までしていたレグラが、まさか臆さずに男を焼いてしまうなんて‥

「‥‥ハピタのみんなは殺された。‥‥殺さなきゃ、殺されるでしょ。‥‥‥私、もうこれ以上奪われなくない‥」

 そう言って、レグラは膝をついた。
動かなくなった男をぼうっと見つめ、静かに涙を流していた。

 これが俺たちにとってはじめての戦いだった。
訳もわからないまま全てを焼かれ、奪われた。レグラに同感だった。これ以上

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