謎の箱を拾ったら人生が変わった件〜ダンジョンが現れた世界で謎の箱の力を使って最強目指します〜

黒飛清兎

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67話 盾

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「何だったのあれ?」


 俺達はとりあえずあの部屋から少し離れた場所に避難していた。

 ゴブリンの数もそうだし、あの女の人がこっちに来てしまっても困る。

 あの女の人単体と戦うのならまだ何とかなるが、ゴブリンも合わさるとなると話は別だ。

 ゴブリン一体一体は弱いとはいえあの数だ。

 対処しているうちにあの女の人に攻撃されて終わりだろう。


「あの感じは完全にあの女の人が居た部屋と感じが同じだ。下の階で出た時もあんな感じだった。」

「そうだったのね…………。」


 とはいえあそこを通らなくては上に行くことは出来ない。


「とりあえずゴブリンの対処をしようか。」

「そうね。」


 俺達が逃げる時にかなりの数のゴブリンも着いてきた。

 そいつらを放置する訳にもいかないので、俺達は来た道を引き返した。


 少し経つと階段付近にかなりの数のゴブリンが群がっていた。


「ここは私がやるわ。」

「いや、ダメだ。ここで陽夏が体力を消耗してしまってはかなり危険だ。陽夏はあの女の人との戦いに備えて体力を温存していてくれ。」


 俺はあの女の人に決定打になるような超強力な技を使う事は出来ないため、実質陽夏がダメになってしまってた勝ち目が無くなる。

 だから陽夏を今戦わせる訳にはいかないのだ。

 俺はゴブリンの方へと行き、刀に魔力を込める。

 陽夏には遠く及ばないが、俺もまぁまぁの強さの技を使えるのだ。

 魔力を放出しゴブリン達を切る。

 爆音が鳴り響き、その一撃でほとんどのゴブリンが息絶えた。

 俺は残ったゴブリンを処理していく。


「晴輝はほんとなんでも出来るのね。」


 陽夏が少し呆れたような声でそういいこっちへ来た。


「いやぁ、まだまだだよ。今のだって本気の一撃だし、陽夏と比べたら全然だよ。」

「けど、それも箱をいっぱい開けたらもっと強くなるんでしょ?」


 まぁ、確かに筋力系のスキルや剣術系のスキルのレベルを上げていけばもっともっと威力をあげることが出来る。

 だからといって俺は陽夏に勝てるビジョンが見えない。


「まぁ、確かに強くはなれるがそれは陽夏も同じだろ?」

「まぁそうね、この前もよく分からないけどものすごくパワーアップしたしね。」


 今俺と陽夏が戦ったらまず間違いなく陽夏が勝つだろう。

 仲間が居たりしたら話は別かもしれない。

 なぜなら俺の力は今の所治すという側面に偏っている。

 味方が居たら永遠に治し続けて不死の軍勢みたいのを作れるかもしれない。

 しかし、それがいなければ確実に個として強いのは陽夏だ。

 まぁ、そんな陽夏がこっちの味方というのは非常に心強い事なんだけどな。


「とりあえずどうする? あの女の人に挑むか?」

「そうね、いつまでもここにいたところで何も始まらないしとりあえず行く?」

「そうするか。」


 陽夏はかなりガンガン行くタイプなのでこういう時の話がスムーズでいいな。

 俺が2人いたらどっちも慎重になっていつまで経っても行かないだろうからな。


 陽夏の勢いに後押しされた俺達はまた階段を上がった。

 さっき倒したゴブリンがほとんどだったのか、部屋にはほとんどゴブリンが残っていなかった。

 しかし、気になるのはあの女の人だ。


「…………盾?」


 あの女の人は前回のように杖を持った姿ではなく、非常に大きな盾を持っていた。

 さっきはゴブリンに隠れて見えなかったが、今回は杖ではなく盾を持っているようだ。


「とりあえず俺は様子を見てみるから陽夏はいつでも攻撃出来るように準備していてくれ!」

「わかった!」


 俺は陽夏にそう伝え盾の女の人へと走り出した。

 まずは俺から攻撃してみるのが1番安全だ。

 なんせ俺の能力は治すことに偏っている。

 首を切られても死ななかったぐらいだ。

 しかも、その時よりも能力は上がっている。

 俺は躊躇することなくその盾に切りかかった。


 カキーン


 金属音が鳴り響く。

 く、硬い!

 盾を見ても傷1つ着いていない。

 やはりそんなにやわなものじゃないか。

 正面突破は無理だと思い、俺は回り込んで攻撃しようとするが、尽く盾をこちらに向けられてしまう。

 せめて陽夏に背を向ける形にしようとするが、そうなった瞬間素早い動きで体制を変えて何とか陽夏に背を向けないようにしている。

 攻めにくいな…………。

 だが、杖の女の人のように火の玉をバンバン打ってこないだけまだマシだな。

 この盾の女の人は防ぐだけで攻撃はしてこない。

 これならいずれ倒せるだろう。


 …………こんな事を思ったのが間違いだったのだろうか。

 とりあえずもう1回斬りかかろうとして盾の前に行った瞬間、盾が赤く光った。

 まずいと思い避けようとするが、そんなの間に合うはずもなく、直後、爆音とともに俺の体は吹き飛ばされた。


 身体中が焼ける痛みと陽夏の叫び声が聞こえる。

 目もやられたのか体がどうなっているのかは見えない。

 しかし、少なくとも綺麗な状態では無いだろう。

 逆に見れなくなって良かったのかもしれないな。

 俺はすぐさま体にと念じた。

 身体中の痛みが一瞬にて引いていき、痛みも無くなった。

 限界を突破した俺の能力は魔力を込めたりすることも無く、念ずるだけで身体中が治るレベルまで強化されていた。

 しかし、そんな能力があってもあの盾の女の人を倒せなくては意味が無い。

 さて、どうしたものか…………。
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