謎の箱を拾ったら人生が変わった件〜ダンジョンが現れた世界で謎の箱の力を使って最強目指します〜

黒飛清兎

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73話 ナタ

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 俺は思いついたことを陽夏に提案する。


「そういえばさ、ここではナタとかが手に入るって言ってただろ? それをあいつらに投げつければ攻撃をくらわずに倒す事が出来るんじゃないか?」

「…………確かに!?」

「そうと決まればナタを調達したいんだが…………どこにあるんだ?」


 よくよく考えてみれば俺はここまで来るまでにナタなどはゴブリンが持っているやつしか見たことが無い。

 しかし、陽夏は以前ここのダンジョンではナタとか…………まぁ、色々なものが取れると言っていた。

 どこにあるのか見当もつかないし、地味に気になっていたのだ。


「あれ? 知らなかったの? まぁ、教えてないししょうがないか。」


 陽夏は妙に上から目線で話してくる。


「えっとね、休む時によく座ったりしてるでっぱりみたいなのがあるじゃない?」

「あぁ、あるな。」


 地べたに座るのも何か嫌だし、たまたまあったでっぱりのような所に座って休憩をとったりしていた。


「あれを壊したら中に物が入ってるのよ。」

「え、そうだったのか。」


 じゃあ、今まで俺は宝を手に入れるチャンスをずっと無下にしていたというわけか…………少し凹むな。

 まぁ、どうせいいものは入ってないらしいし、別にいいか。


「あ、そういえばゴブリンが強くなった段階であれの中身も良くなってる可能性はあるわよね…………。」


 前言撤回、いいもの入ってたかもしれないのかよ。


「…………まぁ、過ぎたことをどうこう言っても仕方ない。とりあえず次から見つけたら開けてみよう。」

「そうね…………これでいいものが入ってたりしたら本当に勿体ないことをした事になるわよね、あの休憩していたところの下に宝物があったなんて考えたら悔しいわね…………。」


 陽夏の言っていることを聞くとやはりもう1回下まで降りて全部壊してきたくなる。

 まぁ、そんな時間は無いしやらないんだけどな。

 そういう事は一旦置いておくとして、今はまず投げられる武器が必要だ。

 俺達は一旦階段から離れ、投げられる武器を探し始めた。

 物の入ったでっぱりは案外すぐに見つけられた。

 それを壊すと、中には何も入っていなかった。


「あれ、おかしいな、普通ここには何かしらの物が入っているはずなのに…………。」

「そうなのか?」

「うん。ここを壊したらだいたい何かしらのものが入っているはずなんだけど…………まさか上に上がるにつれて中身が退化するなんてない気がするし…………。」


 それはおかしいよな。

 こんなよく分からないダンジョンというところだ、予想が外れるなんてことはありえない話じゃ無いんだが、俺はてっきりさっきの話を聞いた時に、魔力が強くなるにつれて他のものも強くなると思っていたが、実際はそんなことないのかもしれない。

 それでも、少し諦めきれないので、俺は瓦礫の中に何かないかどうかを探る。

 そこで俺はきらりと光るものを見つけた。

 すぐさまそれを取ると、それは指輪のような物だった。

 この指輪、どこかで…………。


「あ、その指輪、凝血の指輪じゃない。」


 凝血の指輪…………。

 そこで俺は思い出す。

 凝血の指輪と言えば、俺が着けていた指輪で、ゆうちゃんにあげた指輪だ。

 そういえば、結婚指輪と言えばやっぱりペアルックだよな。

 今はゆうちゃんしか付けてないし、俺もこの指輪をつければペアルックという事になるのでは?


「なぁ、この指輪貰っていいか?」

「全然いいわよ? というか私は使えないもの。」

「そうか、ありがとう。」


 俺は凝血の指輪を指に付ける。

 小さな痛みとともに指輪が俺の指に食い込む。

 確かこれには身体能力をあげる効果もあるみたいだし、つけておいて損は無い。


「これでお揃いだ…………。」

「…………。」

「あぁ、すまない、早く次を探しに行こうか。少なくとも中身が退化している訳じゃ無いみたいだし、探す価値はあるみたいだな。」


 最初は中に何も入ってないと思い少しびっくりしたが、よく見たら多分中身はいいものになっているようだ。

 他の場所も探しに行くと、ナタも出たが、それ以外にも盾や弓矢など、色々なものが出た。

 確かによく分からない首飾りやよく分からない薬もいっぱい出たが、とりあえず鞄の中に入れておいた。

 しかし、そのせいで飛び道具の数が圧倒的に足り無くなってしまった。


「本当はもっと余裕を持っていたかったが、これ以上探すのもキツい。とりあえずはこの分だけで何とかしよう。」

「そうね、私の技も絶対に少し溜める時間がかかるから、あそこでは使えないし…………それしか無いわよねぇ。」


 今集まっているナタの数は6個だ。

 6発であそこにいる奴らを一掃できるかと言われれば少し無理があるだろう。

 だが、これで前列のゴブリンを倒し、その後俺たちで特攻すればある程度のゴブリンは倒せるだろう。

 少なからず攻撃を受けるかもしれないが、そこは俺が治して何とかしよう。


「よし、じゃあ投げるからな、俺がナタを6個投げた瞬間飛び出すからな。」

「了解!」


 そうして俺はゴブリンへとナタを投げた。
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