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96話 ゆうちゃんの部屋へ

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 帰っている時もコナーが闇コナーになってしまうかと思いビクビクしていたがそんなことは無く、いつも通りのコナーだった。

 俺はその様子に内心ホッとしていた。


「そういえば、僕まだ君のスキル見てないんだけど、視てもいいかな?」

「あぁ、別にいいが、一旦部屋に戻ってからにしよう。」


 コナーの場合予期せぬ事態が起こっておかしくなっては困る。

 多分もう大丈夫だと思うが、この前みたいに押し倒されでもしても困る。

 そしてその場合こんな可愛い男の子に押し倒させてる変態のおっさんという事で俺に罪がいくだろう。

 まぁ、客観的に見て29歳は全然若者だが、俺と周りを比べたら全然俺はおっさんだろう。

 そんなおっさんが可愛い…………いやまって、コナーもそれで言ったらおっさんということになって…………。

 なんだか混乱してきた。

 俺は考えるのをやめた。


 そのまま他愛のない話をしながら部屋まで戻っていく。

 部屋に戻っても陽夏はまだ呑気に寝ていた。

 完全にだらけきったその姿にそれでいいのか女子高生と思ったが、良く考えればそれだけ俺達に心を許してくれてるという事なので、悪くない気分だった。


「じゃあ見ていくよ。」


 コナーが俺のスキルを見る。


「あぁもう、凄すぎるなぁ。もうほとんど見た事ないスキルばっかだもん。それにこれは…………。」


 コナーが不思議そうな顔をする。


「ねぇ、晴輝君、1個聞きたいんだけど、なんか君のスキルで見れないものがあるんだ。何か心当たりは無いかい?」


 見れないスキル? 特にそんなスキルを手に入れた記憶は無い。


「あ、なんか快治ってスキル無くなってるからそれかな?」

「あぁ、そういえばそうだ、なんかスキルが限界突破? したみたい何だけど、見えなくなってるのか。」

「うん、見えなくなってるんだけど…………限界突破ってなんだい?」

「あれ、聞いた事ないのか?」

「うん、そんな事聞いたことないよ! 詳しく聞かせてくれないかい!?」


 コナーの目が明らかに輝き出した。


「聞かせるのは良いが、落ち着いて聞けよ?」

「え? あぁ、うん勿論! 落ち着いて聞くさ!」


 そう言いつつもコナーの目は輝きを増していく。

 少し不安ではあるが、コナーにどういう経緯で取得し、なにが起こり、何が出来るようになったか等を説明した。

 コナーは最初の方はある程度落ち着いていたが、時間が経つにつれて押しが強くなっていき、最終的にいつも通りにグイグイと質問攻めにあってしまった。


「そんな事があるんだね…………興味深いなぁ。それが誰にでも起こることだとしたら戦力増加にも繋がる…………フフフ、早速色々試さなきゃ!」


 最終的にコナーの目は最早自ら発光してるのでは無いかと疑ってしまうほどにキラキラと輝いていた。

 コナーは何かを思い立ったかのように立ち上がり、色んな紙を見たり、何かを書いたりし始める。

 おそらくこれからの計画などを立てているのだろう。

 ここからは俺と陽夏は特に関与も出来ない。

 邪魔になる前にさっさと退散しよう。

 俺は陽夏の肩を軽く揺さぶる。


「んー? なにぃ?」


 陽夏が寝ぼけながらも起きてくる。

 俺はそんな陽夏にあの睡眠薬を渡す。


「…………何これ?」

「あー、ジュースだ。飲んでみてくれ。」

「ん。」


 陽夏はなんの警戒もせずにその薬をごくりと呑み込む。


「わぁー、甘くて美味し…………すやぁ。」


 陽夏はそのまままた眠りについた様だ。

 俺は変な所に触れてしまわないように気をつけながらゆうちゃんの寝ている部屋まで運ぶ。

 ゆうちゃんの寝ている部屋にはゆうちゃんが寝ているベットの他に何個かベットがあったはずだ。

 陽夏はそこに寝かせよう。

 どうせこれからゆうちゃんに会いにいくつもりだったし、それにそこ以外の場所の事はよく知らないのでどちらにせよここに置くことになるだろう。

 俺はゆうちゃんの横のベットに陽夏を寝かせる。

 そして俺はゆうちゃんのベットに座った。

 無理なのは分かっているが、治す努力はする。

 そうすると、確かに一時的にゆうちゃんの体は生命活動を再開するかと思える。

 しかし、まもなくまた深い死に戻ってしまう。

 俺の能力では治す事は出来るが、それ以上はどう頑張っても出来ないのだ。

 ゆうちゃんを生き返らせるためには肉体的な回復以外にも様々な事が必要みたいだ。

 これは快治が限界突破した時に知った事だった。

 俺はゆうちゃんを治しながら髪をそーっと手でとく。

 ずっとお風呂にも入っていないはずなのに非常にサラサラだ。

 そしてそのまま頭を優しく撫でる。

 俺が絶えず治しているお陰でゆうちゃんは少し温かい。

 これがゆうちゃん本来の温もりでは無いのは分かっているが、それでも今の俺には十分だ。

 俺はゆうちゃんの横で静かに過ごした。

 ゆうちゃんを生き返らせるためにはダンジョンへいかなくてはいけない、だからこそゆうちゃんから離れていかなければいけないのだけど、それでも長時間離れるのは流石に寂しい。

 長距離恋愛とかってこんな気持ちなのかな。

 俺はゆうちゃんぱわーを体に充填しつつ、陽夏が起きるのを待った。
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