謎の箱を拾ったら人生が変わった件〜ダンジョンが現れた世界で謎の箱の力を使って最強目指します〜

黒飛清兎

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97話 幽霊!?

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 私はベットのような所で目が覚めた。

 誰かがここに運んできてくれたのだろうか。

 さっきはコナーがあの石を調べるのに夢中になってたのを見てたらなんだか眠くなっちゃってそのままソファーで寝ちゃったんだった。

 コナーはああいう時は何を言っても無駄だから私はいつもどっか行っていた。

 けど、今回は晴輝もいたし、何とかそこにいようと思ってたけど、寝ちゃったみたいだ。

 あ、そうだ、晴輝と言えばやる事が終わったらすぐにダンジョンに行こうった言ってたんだった。

 私は周りを見渡して晴輝を探す。

 案外晴輝はすぐに見つかった。

 晴輝は隣のベットに1人で座っていた。


「お、起きたか。」

「うん、ごめんね、私どのくらい寝てた? ダンジョン行くって言ってたのに私寝ちゃって…………。」

「あぁ、大丈夫だ、俺が寝かせた。」

「え?」

「さっきジュースみたいなの飲ませただろ? あれ実は睡眠薬だったんだよ。」

「あぁ、そうだったわね。」


 段々と意識がはっきりしてくるにつれて記憶が戻ってくる。

 そういえば寝てる時に一瞬起こされてなんか甘いジュースみたいなのを飲まされた様な記憶がある。

 って待って、じゃあ私はここまで晴輝に運ばれたってこと?

 睡眠薬を飲まされて?

 私は焦って身体中をまさぐる。

 何も違和感は無い。

 どうやら何かをされたとかは無いみたいだ。

 当然晴輝を信頼していないとかじゃないけど、それでもなんか、残念。

 やっぱり晴輝は私には興味が無いということが嫌にでも分かってしまう。

 私は晴輝には気付かれないようにこっそりと頬を膨らませる。

 晴輝は隣のベットを撫でていてこっちは見ていない。

 なんでそんなことして…………。

 そこで私は気づいた。

 晴輝は何も無いところを撫でているわけじゃない。

 そこにいる小さな女の子を撫でているんだ。

 なんで一瞬見えなかったのかは分からないが、確かにそこにいる。

 私はその姿に目を奪われてしまった。

 その姿は見慣れていたような気がしていた。

 しかし、強烈な違和感。

 何故かは分からないが、強烈な違和感が私の中を満たす。


「…………陽夏? どうした? 凄い顔してるけど。」

「…………えっ、あぁ、大丈夫! ちょっと寝起きでぼーっとしちゃって。」

「そうか、体調が悪いとかなら言ってくれよ?別にまだすぐにここを出たい訳でもないし、休みたいならまだまだ休めるぞ?」

「全然大丈夫! すっごい元気だから!」

「ならいいんだが…………本当に無理はするなよ?」

「うん、ありがとう!」


 私はそんな違和感を無理やり振り払う。

 こうやって元気にしていると何だか悩みも何でもなくなっていく気がする。

 この違和感の正体はよく分からない。

 けど、どういうものなのかは分かる。

 晴輝には抱いてはいけないものだ。

 黙っていてはそれに心が飲まれてしまいそうで思わず喋ってしまう。

 
「ねぇ、その子がゆうちゃん?」

「なっ、お前見えるのか!?」

「見えるも何もすぐそこに…………。」


 そこで私は思い出した。

 晴輝はゆうちゃんは死んじゃったって言っていた。

 けど、晴輝はそのゆうちゃんと一緒にいる。

 そしてさっきの見てるのか? というセリフ。

 そこから考えたらまさか…………。


「ゆ、幽霊!?」


 その結論に至ってしまった。

 悪寒が走るのを感じる。

 生まれてこの方霊的なものとは無縁の生活を送ってきた。

 妖怪や幽霊なんて居ないと思っていたし、居たとしても怖いものだとは思っていなかった。

 だけど、実際に見ると少し怖いかもしれない。

 これは怖いという感情とは少し違う気もするけど、少なくともゾワッとするような感情だ。


「あー、幽霊では無いぞ? 多分。」

「…………ほんと?」

「あぁ、ゆうちゃんはまだ生きてる。」

「え? けど死んじゃったって…………。」

「生きてる。」


 晴輝の目が怖い。

 うぅ、やっぱり最愛の人を無くしてちょっとおかしくなっちゃってるみたいだ。

 この前も生き返らせるみたいな事を言っていたし、まだゆうちゃんの死を受け入れられていないのだろう。

 けど、あの晴輝の様子を見れば何だかいつか生き返らせられてしまう気もする。

 それまでは私もちょっと嫉妬はしちゃうけど、出来るだけ協力するつもりだ。

 別に変な意味は無いけど、晴輝と一緒に居られるというだけでも私は幸せだ。


「じゃあ、もうそろそろダンジョン行く?」

「あぁ、いいぞ、けど陽夏はもう休めたのか? 次はゴブリンのダンジョンよりも厳しいものになるかもしれないんだぞ?」


 そう言われると私は自分の体がまだ休まっていないように感じだ。

 体力的には全然大丈夫だ。体の調子もいい。

 それでも、なんだろう。

 何かが足りない。


「…………やっぱりまだ休んだ方が良さそうだな。」


 私の表情を見て晴輝が気遣ってくれる。

 ふふ、やっぱり優しい。

 自分では自分のことをそんな人間では無いとは言いつつ結局みんなのために何かをやってしまう。

 自分ではそれは自分のためにやっていると思っているんだろうけど、それだったら私たちと交流を取らないでもっと自己中心的に生きる事だって出来ただろう。

 なのにそれをしない時点で晴輝は少なくとも悪い人間では無い。

 …………何が足りないか分かった気がする。

 とりあえずもう少しだけ晴輝甘えて休んでいようかな。
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