謎の箱を拾ったら人生が変わった件〜ダンジョンが現れた世界で謎の箱の力を使って最強目指します〜

黒飛清兎

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148話 コナーの過去3

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 僕は混乱しながらも同時の様子を思い出していった。

 僕の中であのころの様子が蘇っていく。



 ◇◇◇◇





 僕は気がついたらベットの中で目を覚ましていた。

 僕は小学生になり、数ヶ月がたった日に突然知らない場所で目を覚ましたのだ。

 とても不安だった。

 確かに昨日は自分の家のお母さんとお父さんの部屋で一緒に寝ていたはずだ。

 今なら分かるが、あの時僕はここに売られたのだろう。

 微かだが僕のお母さんとお父さんが夜に僕を何処かに運んでいた記憶がある。

 確かにショックではあるが、そこまで愛着がある訳でもないので、そこまでのショックは無かった。

 知らない場所で突然目を覚ました僕は思わず泣きじゃくってしまった。

 すると、部屋の扉が開き、白衣を纏ったボサボサの髪をした線の細い男が出てきた。


「あー、大丈夫だ、別に取って食ったりは…………しねぇから。」


 男はそうぶっきらぼうに言った。

 そんな言葉が信じられるはずもなく、僕はただただ泣き叫んだ。

 お母さんとお父さんの名前をただひたすらに呼んでいた。


「お前も気の毒だな…………まぁ、俺達には関係ないんだが…………。」


 男はバツが悪そうに髪をポリポリと掻いた。


「ともかく、お前は今日からここで暮らすんだ、泣きじゃくっても仕方ないぞ?」


 そんなことを言われてもその時の僕に響くはずもなく、僕は泣き叫ぶのを止めない。

 男は僕のことを面倒くさそうに見たあと、少し離れたところに置いてあったトレイに乗せられた食事を僕の元に持ってきた。


「ほら、飯だ。貴重な実験体にしなれちゃ困るからな。」


 そう言い残し、男は僕の前から姿を消した。

 僕は泣きに泣いたが、それでも何も起こらないことを悟り、泣くのを止めた。

 お腹も空いたところだったし、僕は男に出された食事を素直に食べた。

 
「まずい…………。」


 そのご飯は全体的に味気なく、ただエネルギーを補給する為の食事といった感じだった。

 しかし、幼い頃の僕にそんな概念が分かるはずもなく、ただ美味しくないからという理由で僕はそのご飯を食べなかった。

 その後、僕は周囲を探索し始めた。

 部屋の中には何も無く、ただベットだけが置いてあった。

 扉は開かず、遊ぶことも無くなってしまった僕はもう何も出来ずに走ったりベットに寝っ転がったりするしか無かった。

 しばらくすると研究者のような男がまた入ってきた。

 そして、僕の食べ残しを見るなりため息をついた。


「はぁ、このガキは飯もまともに食えねぇのか…………。」

「…………だって美味しくないんだもん。」

「はぁ。」


 男はまた大きくため息をつく。


「あのな? お前はこれを食わなかったらめちゃくちゃ痛い注射を打ってご飯を食べなきゃいけなくなるんだぞ?」

「やだ!」

「嫌だろ? じゃあ食え。」


 注射は僕が1番嫌いなものと言っても過言ではなかった。

 あんな痛いもの絶対にしたくなかった僕は我慢して男が新しく持ってきたご飯を食べた。

 よーく噛んで食べるとそのよく分からないご飯は少しの甘みがあったりして、少しはましに食べることが出来た。

 そうやって僕は数日を過ごした。

 僕は何度もここから出して欲しいと言ったり、お母さんとお父さんの元に返して欲しいと言ったが、それは無理だと一蹴されてしまった。

 次第に僕はその話題は話さないようになっていった。

 研究者のような男にお願いすると渋々と言った感じで車のおもちゃや積み木などを持ってきてくれたため、僕はずっとそれで遊んでいた。

 小学生にしては幼稚な遊びだが、僕は昔からこういう遊びが好きだった。

 数日だったある日、僕は初めて部屋の外に出された。


「まずはここだ。ようやく準備が出来たクラス1実験体用の遊び場だ。ほら、好きに遊べ。」


 研究者のような男はそういうと腕を組んで端の方へと歩いていった。

 僕はその小さな公園の遊具のようなものがある場所を見た。

 そこまで僕の関心を引くものは無かったが、そこで僕は一つだけ特異なものを見つけた。

 それは1人でブランコに乗っている黒髪の男の子だった。

 当時人見知りだった僕はその子にちかずくことは出来ず、それでもブランコには乗りたかったため、その周りをウロウロしていた。

 すると、僕に気づいたその子が僕の元へと駆けてきた。

 何を話しかけられるかと思えば、その男の子はよく分からない言葉を喋っていた。


「え? なんて言っているの?」


 僕はそう聞くが、男の子はキョトンとした顔をしている。

 どうやら男の子も言葉が分からなかったらしい。

 男の子はうんと考えたような仕草をして、1つの言葉を発した。


「ぼく…………なまえ…………カゲ。」

「えっと、君はカゲくんって言うのかな?」


 僕がそういうとその男の子、カゲくんはまたもやキョトンとした顔をしていた。

 それしか話せないのか、それ以降はまたさっきと同じように意味のわからない言葉を喋っていた。

 僕達は子供同士だったということもあり、なんと言っているのかは分からなくても、ある程度一緒に遊ぶ事は出来た。

 それが僕とカゲ君との…………との馴れ初めだった。
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