《完結》転生したら女から男になっていました♥

ぜらちん黒糖

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第四章

⑲忍び寄る前世の影

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 メースとフローリア、マリオとミシェルが結婚して10年が経っていた。

 二組のカップルは18歳で結婚して、今は28歳になっていたが、まだ、どちらも子供はいなかった。

 メースはこの度、父であるダーズが隠居することになり、侯爵の爵位を受け継ぐことになっていた。

 寝室でくつろいでいるメースが、フローリアにふとした疑問を聞いてみた。

「フローリア、君、独身の時はマリオと付き合っていただろう?」

「ええ」

「まさか体の関係はなかっただろうな?」

「何をバカなこと言ってるのよ。マリオはそんなことする人じゃないわ」

「ま、それもそうか、あはは、ん?」

「どうかした?」

「君とマリオはいつ知り合ったんだっけ?」

「え?確かマリオが一人でシュークリームを食べていて、私が声をかけたのがキッカケだったかな?」

「いや、違う。俺の記憶じゃ、君が突然、店にいた俺とマリオに話しかけてきたんだ。確か店を出ようとしたら、君が突然……」

 フローリアがメースに抱きついてきた。

「そんなことより、もっと大事なことがあるでしょ?」

「大事なこと?」

「そ!子作り!」

「いや、フローリア、昨日もやったじゃないか、今日はもう」

「駄目よ、お母様にまだかまだかってせかされてるの。お願い、協力して」

「協力してって言われても、なんだかその気が起きないんだが」

「じゃあ、その気にさせてあげる」

 フローリアがメースの上に重なり始める。

 気が乗らないのに、体が反応していく自分が、情けないやら気持ちがいいやら、複雑な心境のメースだった。


 無事に合体行為が終わって、気が済んだのか、フローリアはもう夢の中だった。

 しかし、メースは高等部のときの寮生活の事を、思い出していた。

 あの頃マリオは、男から女になる魔法の習得に取り組んでいた。

 俺も協力して、確か一緒に宿へ泊まろうとしたことがあったっけ。

 マリオは女になった自分を俺に抱いてくれと迫ってきていた。

 だけど、変身したマリオの女性姿は、俺には受け付けられなかった。

 俺が女性に変身したときに、魔法が解けて男性に戻ったときも。そうだ、俺が男に戻ったとき、すぐに俺と合体しようとした……

 そんなマリオがある日を境に、何も言わなくなった。

 メースはベッドから起き上がり、隣で眠っているフローリアの寝顔を見つめた。

 その頃、何があったかといえば?

 それは…

 マリオがフローリアと付き合い始めた。

 メースはベッドから出ると椅子に座って酒を飲み始めた。

 目を瞑って過去を思い出すメース。

 店の中、帰ろうとした俺とマリオをフローリアが呼び止めて…

 そうだ!こう言ったんだ。

「私の相談に乗ってもらえないでしょうか?」って

 一体、あの時、フローリアは何を相談したんだろう?

 気になる。


 
 数日後、甘味処『甘々あまあま』の窓際の席で一人座っているメース。

「懐かしいなこの場所」

 そう呟いて、ショートケーキを食べるメース。その時、目の前にミシェルが現れて声をかけた。

「ごきげんよう、メース」

「やあ、ミシェル、すっかり綺麗になったな」

 ミシェルは、メースの前に座るとケーキとコーヒーを注文した。

「お世辞は結構よ。それでどうしたの?急に」

「あ、うん、あの君に聞きたいことがあって」

「なに?」

 メースは、昨日の夜の、湧き上がってきた疑問をミシェルにぶつけた。

「ふーん、つまりメースは、その時のフローリアの相談内容を、知りたいって言ってるの?」

「ああ」

「本人に聞けばいいじゃない」

「フローリアにか?」

「ええ、私もあのときのフローリアの相談事なんて知らないし、フローリア本人に聞くのが一番でしょ?」

「昨夜、聞いてみたのだが、残念ながらフローリアは、覚えていないのか、覚えていて答えたくないのか、わからないが、はぐらかされて聞けなかったんた」

「ふーん、つまりフローリアには直接聞きにくいのね?じゃあ、マリオに聞いてみれば?」

「マリオに?」

「相談されたんだから、覚えてるんじゃない?マリオ。でも……」

「でもなんだよ」

「もしも、その相談があったとしても、マリオは他人の相談事をペラペラ喋らないと思う」

「うん、それはあり得る。そうだ!ミシェル、また四人で、あの占いのお店に行ってみないか?」

「あー、あそこ…か」

「あそこへ行ったから、俺たち四人は二組のカップルになれたんだから」

「面白そうだけど……ちょっと心配」

「何が?」

「占いが原因で、離婚になったりしたら嫌だなって…私、マリオが大好きだから、別れたくないし」

「おいおい、ミシェル、俺だってフローリアのことは大好きだ。たかが占いぐらいで離婚になんかならないよ」

「そう、じゃあ、今日マリオに聞いてみるわ」

「俺もフローリアに聞いてみる」

「ねえ、マリオやフローリアには本当のこと言えないから、子供が出来ない理由を占ってもらおうって言おうよ。ね?」

「うん、そうするか。もしかして俺たちに子供が出来ない理由も、そこにあるのかもしれないしな」

「それはないと思うけど?」


 その日の夜、ミシェルは一応マリオに聞いてみた。寝室のベッドに腰かけながら。

「ねえ、マリオ」

「なんだいミシェル」

「高等部のときの話なんだけど、マリオって、フローリアと付き合っていたわよね?」

「えー、うん。付き合ってた…な。それがどうかした?」

「あの頃ね、フローリアは悩みを抱えていたんだけど、マリオはなにか相談を受けた記憶ある?」

「うーん、ないと思う。私には記憶はないな」

「マリオとフローリア、どこで知り合ったのか覚えてる?」

「確か……私が一人でシュークリームを食べていたら、フローリアに声をかけられたんだよ」

「そう……」

 やっぱり可笑しい。だけど、今のマリオは嘘を言っているようにはみえない。

 その時、マリオがミシェルの側に寄ってきた。

「ミシェル、急にどうしたの?今頃ヤキモチを焼いているのかい?」

「ち、違うわよ、あん!」

 マリオがミシェルの胸を触った。どうやらマリオはミシェルが自分を誘っていると誤解したようだ。

「マリオ、ちょっと待って!」

「あ、はい」マリオは素直に触るのをやめて、

「なにか、君の気に障ることでも、してしまったか?」

 少し困惑の表情でミシェルを見ている。

「コホン!えー実は今日、メースと会ってきました」

 口をすぼめ、顔を歪めるマリオを見て、慌てて誤解を解くミシェル。

「不倫なんかしてないからね!」

 ほっとした表情のマリオを見て、

「バカね、マリオは。私が愛しているのはマリオだけなのよ?」

「ミシェル!」

 そう言うとマリオがミシェルを抱きしめキスをしてきた。

「ああん、も…う…」

 マリオの情熱に負けて、そのまま合体へ進んでしまった。

 ことが終わり二人は天井を見つめながら、

「ねえ、マリオ。高等部にいた頃に占いのお店に行ったの、覚えてる?」

「もちろん。あそこへ行ったから、君と結婚することが出来たんだ。忘れるはずはないよ」

「ああん、マリオ……覚えてくれていたんだ。嬉しいわ」

「それで?その占いのお店がどうかした?」

「メースがね、四人でまた一緒に行ってみないかって」

「ふーん、面白そうだけど、どうして今頃になって?」

「フローリアも私も、子供が出来ないじゃない?だから、あの占い師、じゃない魔法使いだって言ってたあの人に聞いてみたいの」

「ミシェル、子供が出来ないのを気にしていたの?」

「……」

「わかった。それで君の気が紛らわせるのなら、行こう」

 マリオの優しさに、思わずミシェルは、マリオの手を握ろうとして、マリオのぞうさんを握ってしまった。

「ふぉ~~~!」

 変な声をあげてマリオが再び重なってきた。


 そして、もう一組のメースとフローリア。

 寝室のベッドの中に、中々入ろうとしないメースがフローリアに声をかけた。

「フローリア、占いの店に行ったことがあるの、覚えているだろ?」

「えー、ええ。それがなにか?」

「その店で占ってもらったから、俺たちは結ばれたんだが……また行ってみないか?」

「いいけど、何を占ってもらうの?」

「子供が出来ない原因を占ってもらうんだ」

「……」

「あれ?え?どうした?」

 フローリアがボロボロと泣いていた。

 慌ててフローリアの側に行くメース。

「どうしたんだ?なんで急に泣き出したんだ?」

「やっぱり、メースも子供が出来ないのは、私のせいだと思っていたのね?」

「へ?」

「毎日毎日、お母様に、子供はまだかまだかとせっつかれて、もう私…疲れちゃった。その上メースにまで子供が出来ないことを心配されるなんて…」

 顔を両手で覆って泣き出すフローリア。

 そんなフローリアを優しく抱きしめ、

「誤解だよフローリア。俺はそんなこと、気にしてないよ」

 ぐすんぐすんと泣いているフローリアの頭を、優しくぽんぽんとたたいて、

「ごめん、占いの店に行くのはやめにしよう。俺が悪かった。君がそんなに苦しんでいたなんて、知らなかったんだ」

 すると、フローリアはメースを見上げて、

「ううん、行くわ。占ってもらう」

「ほんとに?」

「うん」

「実は、マリオとミシェルの夫婦と一緒に行こうかと、思っているんだが」

「ミシェルたちと?」

「ああ、あの夫婦も子供が出来なくて、悩んでいるみたいなんだ」

「そうなんだ」

「さ、もう横になって…お休み」

 その時、メースはフローリアに抱きしめられたまま、ベッドへと引きずり込まれてしまった。

「あ、あの、まさか」

 フローリアがメースに重なってきた。

「やっぱり~~!」

 メースは3日連続合体行為をさせられてしまった。

 あー、なんて、なんて俺のぞうさんは、働き者なんだろうか…



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