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第10話
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「学生たちに近づけさせるな!」
自衛隊員の一人がそう声を上げ、大熊の注意を引く。その間に、ガイとリンは、サトミ、アカリと合流を果たした。
「ガーくん……!」
サトミが駆けてきて、ガイの胸に飛び込んできた。彼女は強くガイのことを抱きしめる。
「サトミ、よかった。無事だったんだ……」
ガイも抱きしめ返す。安堵感から涙がこぼれそうになった。涙をこらえていると、こちらに近づいてくるアカリの姿も見える。
名残惜しそうにするサトミを引きはが……そうとして離れなかったので、そのまま、アカリにも声をかける。
「アカリ、無事でよかった」
「ええ。ガイさんもご無事でよかったです」
そういったアカリは、バツの悪そうな顔を浮かべる。そして、ガイとリンに頭を下げた。
「それに……すみません。数々の命令無視のせいで、お2人が……」
「こうして無事だったし、いいよ。気にして……ないとは言えないから、今度は事前に言って欲しいかな?」
冗談交じりにそう言うと、責める意図がないことは伝わったのか、アカリは苦笑した。
「だってよ。同じ命令違反してるあたしには、謝られる必要はねーわ」
一呼吸置いて、リンもアカリへと謝罪する。
「あたしのほうこそ、悪かった」
謝ったリンから、ボロボロと涙があふれる。
「自分のミスで、2人を殺したんじゃないかって……!」
戦い詰めで緊張感を保っていたアカリも、リンの言葉に涙を流した。
「いえ、いえ。私こそ……!」
謝罪し合ったころ、自衛隊員の一人がこちらに近づいてきた。見覚えがある。先ほどガイたちと別れたばかりの女性隊員だ。
「君! 退避するように言ったでしょう……! 早く移動を……!」
「ダメなんです。俺たちはここにいないと。あいつ、俺とサトミを追って来てる」
「まさか……」
「前回の実習で、あいつと直接会ってますから、間違いないです」
獲物のつもりか、それとも復讐か。どちらもあり得るし、両方かもしれない。
自衛隊員が数人がかりで戦っている最中も、ガイは大熊からの熱い視線を何度も感じていた。
「それでも、あなたたちを矢面に立たせることはできないわ」
なるべく私たちの後ろの方に居て、と付け加え、女性隊員は慌ただしく前線に戻った。無駄話をしている余裕がないのだろう。
「ここで決着をつけるべき」
4人だけ残されたあと、サトミが切り出した。その言葉に、リンが反応する。
「馬鹿か。手も足も出なかっただろ!」
アカリは神妙な顔で押し黙り、ガイは不安があったが、サトミに尋ねた。
「できると思う?」
「ガイならできる」
「そっか……」
ガイは不安だったが、サトミの言うことを信じることにした。サトミは色々と無茶なことを言う少女であったが、絶対にできないようなことを言わなかった。
(ここまで信頼されると、何とか答えたいって思うんだよな)
ガイを見上げるサトミの視線は、一部の迷いもない。いつも、サトミは自分に対してこう、全幅の信頼を置いてくれる。自分にそれ程の力があるとは思っていない。でも、幼い頃から向けられるそんな無垢な信頼を、踏みにじりたくはないと思うのだった。
「秘策がある」
「秘策……サトミさんが、そう言うなら」
意外にも、アカリがサトミの言葉をあっさりと飲み込んだ。命令無視の件とは違うんだぞとばかりに、リンはアカリを見る。
「おい?」
「私たちは、大熊には通用しませんでした。私と、あの場にいた隊員がここまで戻って来れたのは、サトミさんのおかげです」
「……!」
「サトミさん、だけなんです。学生で、まともに大熊と戦えたのは」
複雑な表情を浮かべるアカリ。駐屯所で自衛隊員と合流してから、大熊と何度か切り結ぶ場面があった。何とか足を引っ張らずにいられたのは、事前にやりあった経験と、自衛隊員と、サトミの魔法支援によるお膳立てのおかげだと、今ならはっきりと分かる。
「そんなものがあるなら、なんで使わなかった?」
「ガイが必要。ガイを変身させないといけない」
「変身……できない、という話では?」
アカリがそのことを思い出し、説明を求めるような視線を向けるが、ガイはバツが悪そうに答えた。
「えっと、それは……その」
ガイは変身の条件を素直に口にすべきかどうか、悩んだ。こんな窮地であるが、あまり大っぴらに言いたい内容ではなかったのだ。
「ガイは自分ではできない、というだけ」
「そこは何でもいい……で、どうするんだ?」
すぐそこで大熊と自衛隊員が戦っていること、自分がこの場では無力だという焦りから、少しイラついた態度でリンが聞く。サトミは、その言葉に行動でもって答えた。
「こうする」
ずっとガイから離れていなかったサトミは、ガイの頭に両腕を伸ばし、ぐいっと引き寄せる。自分は精一杯背伸びしながら、ガイに口付けした。
「っ……!」
アカリとリンは、そんな二人の突然の奇行にあっけにとられている。
「ぷぁっ……集中、して?」
たっぷりと長いキスを交わした後、息継ぎするサトミ。必要な行動と分かってはいたが、緊張に固まっているガイに、彼女はそう囁いた。
「……」
そうだ。集中しないと。ガイはできるだけ、彼女に対して集中することにした。彼女の体温、制服越しに感じる、柔らかな肢体。
甘い息遣いと匂いにふらっとして、カッと身体の内が熱くなる。ダメだ、これ以上は……。とガイが思ったところで、彼の意識は途切れた。
「あぁっ……」
胸を鷲掴みされ、甘い声を上げて身をよじらせるサトミ。そんな彼女を、ガイが押し倒した。
押し倒したガイは、そうこうしているうちに、その身に変化が起きる。運動着に包まれていた肉体は隆起し、またたくまにそれを内側から引き裂いた。背中側の肌は髪と同じく黒っぽい体毛に包まれ、腹側は真っ白な毛が生えている。
顔が変形し、鼻と口が伸びて狼のそれになり、瞳は金色に光る野生動物のものになった。
「んなっ……!?」
「……」
リンとアカリが、言葉を失って驚く。
身の丈は2メートル半ば。ガイは巨躯の人狼へと変貌していた。それが、サトミに食らいつくように覆いかぶさっている。
「ま、魔物か!?」
背後の様子に気付いた自衛隊員が声を上げた。
「違う! 彼は人間!」
サトミが声を上げた。困惑しつつもサトミの声を信じたのか、自衛隊員は大熊の対処に戻った。
その間も、サトミはガイにその身をまさぐられ、たっぷりと匂いを嗅がれ、胸元から首筋、顎から唇と、べろりと舐め挙げられていた。
「ガイ……? おい!」
その様子に戸惑いながら、リンが声を上げるが、人狼となったガイは全く意に介さず、サトミに覆いかぶさったままだ。周りをいっさい気にした様子がない。
「グォォォォッ!」
突然、大熊が怒りの咆哮をあげた。自衛隊員を鬱陶しそうに相手していた大熊は、人狼となったガイにいち早く気付いたのだった。人狼に向かって進もうとするが、自衛隊員たちの攻撃に阻まれる。
大熊が怒りの咆哮をあげ、戦闘音がいっそう激しくなったことで、そちらにようやく気付いたというように、人狼が顔を上げる。両耳をそばだてそちらを向く様子からは、普段の人間のガイから感じる動きとは違い、まったく別の生物を見ているようで、アカリとリンは不気味な感覚を覚えた。
「学生らに向かせるな! 誰か、学生をさがらせ……!」
自衛隊員が声を張り上げ、大熊を制しようと数人がそれぞれの手に持っていた槍を突き出す。が、怒りに我を忘れた大熊から手痛い反撃を受けて吹き飛ばされてしまう。
ガイたちの間にいた自衛隊員の殆どが、シールドを破壊され戦闘不能となっていった。
人狼との間に障害物がなくなると大熊が威嚇するように再び吼える。
「グォォォォッ!」
「ウォォォンッ!」
人狼が負けじと雄たけびを返し、動き出す。太い四肢が地を蹴ると大地が弾け、人狼は残像が残るような速度で大熊に迫る。
そこからは一方的だった。
人狼は大熊の足首に噛みついたと思うと、すぐに離し、大熊が嫌がって攻撃してくるのを避け、後ろに回る。そしてまた別の足に噛みつく。何度もそれを繰り返すうち、大熊の動きは見る見ると鈍っていく。
「……遊んで、るのか?」
リンがそう感じるほど、人狼は大熊を翻弄している。
大熊は数回に渡って相当に深く噛みつかれたらしく、大熊は四肢から血を流し、悲鳴じみた声をあげ始めた。
「何故、あれほど……?」
前線で散々戦っていたアカリは、人狼が大熊の身体にあっさりと傷を負わせたことに疑問を覚える。
大熊の魔力量と、魔力障壁は今だ健在のはず。人狼となり、力が強くなったとしてもそう簡単に傷を負わすことはできないはずだった。
「人狼のガイは、魔力を食べて力にする」
サトミは人狼と大熊の戦いから目を逸らさず、アカリの疑問に答えた。
「ほら、もう……」
力関係が完全に逆転した、とサトミが口にせずとも、結果が現れた。
大熊が全力で振るった前脚を、大きくなったとはいえ一回り小さい人狼が、片腕であっさりと受け止めてしまった。人狼の脚が触れている地面が、攻撃の大きさを語るように、凹んだ。人狼はシールドを纏っておらず、魔物と同じ魔力障壁にて大熊の攻撃を受け止めた様子だったが、もはや大熊の攻撃は人狼を傷つけることはない。
「強い……!」
その場にいる誰かがそう呟いていた。もう、動いているのは人狼と大熊だけで、周りは呆気にとられたように、その2匹の怪物の戦いの行方を見守っている。
最後の一撃が防がれ、疲労が滲み動きが止まる大熊の喉笛に、人狼が噛みついた。
「ヴォッ!」
悲鳴をあげる大熊は人狼に押し倒され、前脚を掻いて人狼を引きはがそうと藻掻いたが、人狼は頭を振って大熊を振り回し、噛みついている首筋の傷をさらに深めた。
「カフッ、カフ……」
大熊の口から、空気を求めて小さな音が漏れた。
やがて、大熊の抵抗する力が薄れ、息絶える。獲物が死んだ後も、人狼は噛みついたまま頭を振ったりしていたが、獲物が完全に沈黙したのだと理解すると、べったりと血で汚れた口元を舐めとって身綺麗にしたり、ごろりと横になって後ろ足で頭を掻き始めた。
既に大熊は倒されたが、人狼となったガイの姿は、人間に戻ろうとしなかった。
「なぁ、あれ、どうやったらもとに戻るんだ?」
「鎮まったら戻る」
「鎮まるって……どうやって?」
人狼が動きだし、周囲を嗅ぎまわる。自衛隊員の周囲をうろつき始めたところで、隊員の何名かが警戒して武器を構えようとした。
「動かないで!」
そんな動きをサトミが一声で制する。自衛隊員は不意に大型の動物に遭遇したかのように、緊張したまま、固まった。本来サトミは自衛隊員に命令するような権限もないが、これまでの戦いでサトミの信頼感もあって、自衛隊員たちは不安感が残りつつもサトミの言葉に従った。
「ガーくん、こっちにおいで」
サトミが両手を広げ、人狼を呼ぶと軽い足取りでサトミの近くまでやってくる。その間も、一人一人の人間の匂いを嗅ぐような動きを見せていた。
「ひゃっ……」
サトミの近くにいたアカリが、迫力ある人狼の姿に驚き、びっくりして身体を捩った。すると、人狼が新しいおもちゃを見つけたような反応をして、耳をぴんっ! と立ててアカリの周囲をうろつき始める。
「い、いやです……」
とアカリが思わず声をあげ、さがろうとすると、人狼が飛び掛かった。
「きゃぁぁっ!」
あっという間に押し倒され、制服に噛みつかれ上着とブラウスが引き裂かれる。サトミがすかさず声を上げた。
「ガーくん! ガイッ! めっ!」
人狼が顔をあげ、サトミの方に興味を移す。
サトミが魔力の塊を両手に用意すると、それに喜んで食らいつき、その後はもっと欲しいというように、サトミの両手をべろべろと舐め始めた。
「この状態のガイは、お腹が減ってる。魔力とご飯で満たしてやれば満足する」
「ど、どうして私は……」
半泣きになって胸元を押さえながら、アカリが自分が襲われたことに疑問を持っていると、サトミが人狼に構ってやりながら答えた。
「たぶん、反応が面白そうだったのと、魔力がおいしそうに見えた」
「そ、そんなことで……絶対、責任は取って貰いますから……!」
アカリが小さく呟き、運動着の上着をポーチから取り出し始めた。
サトミは人狼の頭をわしわしと撫でたあと、人狼に向かって指示を出した。
「いいこいいこ。お座り、お手。待て」
サトミの言葉に反応して、人狼がお座り、お手をする。尻尾をぶんぶん振り回して、お座り待機した人狼に、サトミはポーチから缶詰と皿を取り出した。
缶詰はコンビーフだ。それをいくつか開けて、たっぷりと皿に盛り付け、地面に置く。おいしそうな餌に、人狼の口からはよだれがダラダラと垂れだした。
サトミは皿を地面に置いてから、じっと人狼の目を見つたあと、
「……よし」
とOKを出した。お預けされていた人狼は夢中になって食べ始める。
「いや犬かよ」
人狼のその姿は、リンが思わず突っ込んでしまうほどの犬っぷりだった。
「はぐっはぐっ」
夢中になって食べる人狼に、コンビーフのお代わりを上げているサトミに、リンは恐る恐る声をかけた。恐る恐るなのは、アカリの二の舞になりたくなかったからである。
「……大丈夫なのか?」
「平気。躾てある」
「犬じゃん。完全に……つか、躾けきれてねーだろ、絶対」
着替え終わって警戒して離れたまま近づこうとしないアカリを見つつ、リンは言った。
「完璧にはムリ。言うこと聞くだけ、最近はマシ」
「マジかよ……」
「この状態は本能の方が強い。暴れたり、ご飯食べたり、眠ったり」
話している間にも、人狼は丸くなってあくびをし、眠り始めた。
「……あと異性にすごい執着したり」
「おおい!」
「性欲が高まると変身するから……たぶん反動」
それは、自分に興味があるのかどうか、分かりやすくていいのか悪いのか、と少し脱線気味にリンが思考を巡らせたりしていた。
「……なぁ、それって危険じゃねーか? 一つ屋根の下だぞ……?」
「散々慣らしてきてる」
その言葉にもびっくりだが。とリンは思ったが続けた。
「いやでも、もし、暴走したりとか……」
「だから、同棲って理由もある」
「はぁ……?」
リンには、だから、と繋がる理由がさっぱりわからなかった。
「私たちが希望しただけで、本当に学園が融通を利かせると思った?」
「まさか……!」
「問題児同士をまとめられる。学生の条件を聞いてやる代わりに、学園は条件を付けたと言える。そして向こうは損しない」
「はぁ!?」
リンは自分の知らなかった事情が明かされ、驚きでいっぱいだ。しかし、ガイが度々チームの変更を申し出しているのは知っていたし、それが受け入れられない理由を理解した。3英傑だのと学園内でもてはやされ、自分が特別だから、などと少しでも思った自分が恥ずかしいとさえ思った。
「ガイを止められるのは私だけ。2人はガイを止められるかも、と学園は考えたのかも」
今日の戦果を見れば、それは納得できるような気がするリンだった。しかし、ガイの本当の力を知った今、とても抑えられるなんて思えなかったが。
「そろそろ、変身解ける」
サトミの言葉に反応した訳ではないだろうが、人狼の姿が縮んでいき、体毛も全て抜けきると、裸になったガイが丸くなっていた。
サトミはポーチから大きなタオルを出してやり、ガイにかけた。
「ガイの本当のことを知った今なら、同棲解消、できるかもよ」
サトミが、リンと、少し離れていたアカリに言った。
「理由はわかりましたが、こちらにも同棲を続ける理由ができましたので」
「あたしは考えとく」
アカリとリンがそれぞれ答えた。ふーん、と興味なさげにサトミは答え、ガイに視線を戻した。
(やっぱり、ガイなら伝説になってくれる。約束、したから)
サトミは優しく、眠るガイの頭を撫でてやっていた。
(もう、お嫁にいけない……絶対、責任取って貰いますから……)
アカリは自衛隊員たちと共に現場の撤収作業を手伝うことにした。そうして気を紛らわせないと、さっきのことを思い出して叫び出したくなるような思いだった。
(ガイの奴に問題があっても、躾けてやればいいんだよな……そう、これから、あたしが……あいつだって、必要って言ってくれたんだし……)
リンは、眠っているガイを見つつ、そんなことを考えていた。この実習を通して、彼女の中の彼の存在はどうでもいい、気にならない距離にいてくれる他人、ではなくなっていたからだ。
少女たちに、様々な変化をもたらしつつ。
色々と問題のあったダンジョン実習は、こうして幕を閉じた。
自衛隊員の一人がそう声を上げ、大熊の注意を引く。その間に、ガイとリンは、サトミ、アカリと合流を果たした。
「ガーくん……!」
サトミが駆けてきて、ガイの胸に飛び込んできた。彼女は強くガイのことを抱きしめる。
「サトミ、よかった。無事だったんだ……」
ガイも抱きしめ返す。安堵感から涙がこぼれそうになった。涙をこらえていると、こちらに近づいてくるアカリの姿も見える。
名残惜しそうにするサトミを引きはが……そうとして離れなかったので、そのまま、アカリにも声をかける。
「アカリ、無事でよかった」
「ええ。ガイさんもご無事でよかったです」
そういったアカリは、バツの悪そうな顔を浮かべる。そして、ガイとリンに頭を下げた。
「それに……すみません。数々の命令無視のせいで、お2人が……」
「こうして無事だったし、いいよ。気にして……ないとは言えないから、今度は事前に言って欲しいかな?」
冗談交じりにそう言うと、責める意図がないことは伝わったのか、アカリは苦笑した。
「だってよ。同じ命令違反してるあたしには、謝られる必要はねーわ」
一呼吸置いて、リンもアカリへと謝罪する。
「あたしのほうこそ、悪かった」
謝ったリンから、ボロボロと涙があふれる。
「自分のミスで、2人を殺したんじゃないかって……!」
戦い詰めで緊張感を保っていたアカリも、リンの言葉に涙を流した。
「いえ、いえ。私こそ……!」
謝罪し合ったころ、自衛隊員の一人がこちらに近づいてきた。見覚えがある。先ほどガイたちと別れたばかりの女性隊員だ。
「君! 退避するように言ったでしょう……! 早く移動を……!」
「ダメなんです。俺たちはここにいないと。あいつ、俺とサトミを追って来てる」
「まさか……」
「前回の実習で、あいつと直接会ってますから、間違いないです」
獲物のつもりか、それとも復讐か。どちらもあり得るし、両方かもしれない。
自衛隊員が数人がかりで戦っている最中も、ガイは大熊からの熱い視線を何度も感じていた。
「それでも、あなたたちを矢面に立たせることはできないわ」
なるべく私たちの後ろの方に居て、と付け加え、女性隊員は慌ただしく前線に戻った。無駄話をしている余裕がないのだろう。
「ここで決着をつけるべき」
4人だけ残されたあと、サトミが切り出した。その言葉に、リンが反応する。
「馬鹿か。手も足も出なかっただろ!」
アカリは神妙な顔で押し黙り、ガイは不安があったが、サトミに尋ねた。
「できると思う?」
「ガイならできる」
「そっか……」
ガイは不安だったが、サトミの言うことを信じることにした。サトミは色々と無茶なことを言う少女であったが、絶対にできないようなことを言わなかった。
(ここまで信頼されると、何とか答えたいって思うんだよな)
ガイを見上げるサトミの視線は、一部の迷いもない。いつも、サトミは自分に対してこう、全幅の信頼を置いてくれる。自分にそれ程の力があるとは思っていない。でも、幼い頃から向けられるそんな無垢な信頼を、踏みにじりたくはないと思うのだった。
「秘策がある」
「秘策……サトミさんが、そう言うなら」
意外にも、アカリがサトミの言葉をあっさりと飲み込んだ。命令無視の件とは違うんだぞとばかりに、リンはアカリを見る。
「おい?」
「私たちは、大熊には通用しませんでした。私と、あの場にいた隊員がここまで戻って来れたのは、サトミさんのおかげです」
「……!」
「サトミさん、だけなんです。学生で、まともに大熊と戦えたのは」
複雑な表情を浮かべるアカリ。駐屯所で自衛隊員と合流してから、大熊と何度か切り結ぶ場面があった。何とか足を引っ張らずにいられたのは、事前にやりあった経験と、自衛隊員と、サトミの魔法支援によるお膳立てのおかげだと、今ならはっきりと分かる。
「そんなものがあるなら、なんで使わなかった?」
「ガイが必要。ガイを変身させないといけない」
「変身……できない、という話では?」
アカリがそのことを思い出し、説明を求めるような視線を向けるが、ガイはバツが悪そうに答えた。
「えっと、それは……その」
ガイは変身の条件を素直に口にすべきかどうか、悩んだ。こんな窮地であるが、あまり大っぴらに言いたい内容ではなかったのだ。
「ガイは自分ではできない、というだけ」
「そこは何でもいい……で、どうするんだ?」
すぐそこで大熊と自衛隊員が戦っていること、自分がこの場では無力だという焦りから、少しイラついた態度でリンが聞く。サトミは、その言葉に行動でもって答えた。
「こうする」
ずっとガイから離れていなかったサトミは、ガイの頭に両腕を伸ばし、ぐいっと引き寄せる。自分は精一杯背伸びしながら、ガイに口付けした。
「っ……!」
アカリとリンは、そんな二人の突然の奇行にあっけにとられている。
「ぷぁっ……集中、して?」
たっぷりと長いキスを交わした後、息継ぎするサトミ。必要な行動と分かってはいたが、緊張に固まっているガイに、彼女はそう囁いた。
「……」
そうだ。集中しないと。ガイはできるだけ、彼女に対して集中することにした。彼女の体温、制服越しに感じる、柔らかな肢体。
甘い息遣いと匂いにふらっとして、カッと身体の内が熱くなる。ダメだ、これ以上は……。とガイが思ったところで、彼の意識は途切れた。
「あぁっ……」
胸を鷲掴みされ、甘い声を上げて身をよじらせるサトミ。そんな彼女を、ガイが押し倒した。
押し倒したガイは、そうこうしているうちに、その身に変化が起きる。運動着に包まれていた肉体は隆起し、またたくまにそれを内側から引き裂いた。背中側の肌は髪と同じく黒っぽい体毛に包まれ、腹側は真っ白な毛が生えている。
顔が変形し、鼻と口が伸びて狼のそれになり、瞳は金色に光る野生動物のものになった。
「んなっ……!?」
「……」
リンとアカリが、言葉を失って驚く。
身の丈は2メートル半ば。ガイは巨躯の人狼へと変貌していた。それが、サトミに食らいつくように覆いかぶさっている。
「ま、魔物か!?」
背後の様子に気付いた自衛隊員が声を上げた。
「違う! 彼は人間!」
サトミが声を上げた。困惑しつつもサトミの声を信じたのか、自衛隊員は大熊の対処に戻った。
その間も、サトミはガイにその身をまさぐられ、たっぷりと匂いを嗅がれ、胸元から首筋、顎から唇と、べろりと舐め挙げられていた。
「ガイ……? おい!」
その様子に戸惑いながら、リンが声を上げるが、人狼となったガイは全く意に介さず、サトミに覆いかぶさったままだ。周りをいっさい気にした様子がない。
「グォォォォッ!」
突然、大熊が怒りの咆哮をあげた。自衛隊員を鬱陶しそうに相手していた大熊は、人狼となったガイにいち早く気付いたのだった。人狼に向かって進もうとするが、自衛隊員たちの攻撃に阻まれる。
大熊が怒りの咆哮をあげ、戦闘音がいっそう激しくなったことで、そちらにようやく気付いたというように、人狼が顔を上げる。両耳をそばだてそちらを向く様子からは、普段の人間のガイから感じる動きとは違い、まったく別の生物を見ているようで、アカリとリンは不気味な感覚を覚えた。
「学生らに向かせるな! 誰か、学生をさがらせ……!」
自衛隊員が声を張り上げ、大熊を制しようと数人がそれぞれの手に持っていた槍を突き出す。が、怒りに我を忘れた大熊から手痛い反撃を受けて吹き飛ばされてしまう。
ガイたちの間にいた自衛隊員の殆どが、シールドを破壊され戦闘不能となっていった。
人狼との間に障害物がなくなると大熊が威嚇するように再び吼える。
「グォォォォッ!」
「ウォォォンッ!」
人狼が負けじと雄たけびを返し、動き出す。太い四肢が地を蹴ると大地が弾け、人狼は残像が残るような速度で大熊に迫る。
そこからは一方的だった。
人狼は大熊の足首に噛みついたと思うと、すぐに離し、大熊が嫌がって攻撃してくるのを避け、後ろに回る。そしてまた別の足に噛みつく。何度もそれを繰り返すうち、大熊の動きは見る見ると鈍っていく。
「……遊んで、るのか?」
リンがそう感じるほど、人狼は大熊を翻弄している。
大熊は数回に渡って相当に深く噛みつかれたらしく、大熊は四肢から血を流し、悲鳴じみた声をあげ始めた。
「何故、あれほど……?」
前線で散々戦っていたアカリは、人狼が大熊の身体にあっさりと傷を負わせたことに疑問を覚える。
大熊の魔力量と、魔力障壁は今だ健在のはず。人狼となり、力が強くなったとしてもそう簡単に傷を負わすことはできないはずだった。
「人狼のガイは、魔力を食べて力にする」
サトミは人狼と大熊の戦いから目を逸らさず、アカリの疑問に答えた。
「ほら、もう……」
力関係が完全に逆転した、とサトミが口にせずとも、結果が現れた。
大熊が全力で振るった前脚を、大きくなったとはいえ一回り小さい人狼が、片腕であっさりと受け止めてしまった。人狼の脚が触れている地面が、攻撃の大きさを語るように、凹んだ。人狼はシールドを纏っておらず、魔物と同じ魔力障壁にて大熊の攻撃を受け止めた様子だったが、もはや大熊の攻撃は人狼を傷つけることはない。
「強い……!」
その場にいる誰かがそう呟いていた。もう、動いているのは人狼と大熊だけで、周りは呆気にとられたように、その2匹の怪物の戦いの行方を見守っている。
最後の一撃が防がれ、疲労が滲み動きが止まる大熊の喉笛に、人狼が噛みついた。
「ヴォッ!」
悲鳴をあげる大熊は人狼に押し倒され、前脚を掻いて人狼を引きはがそうと藻掻いたが、人狼は頭を振って大熊を振り回し、噛みついている首筋の傷をさらに深めた。
「カフッ、カフ……」
大熊の口から、空気を求めて小さな音が漏れた。
やがて、大熊の抵抗する力が薄れ、息絶える。獲物が死んだ後も、人狼は噛みついたまま頭を振ったりしていたが、獲物が完全に沈黙したのだと理解すると、べったりと血で汚れた口元を舐めとって身綺麗にしたり、ごろりと横になって後ろ足で頭を掻き始めた。
既に大熊は倒されたが、人狼となったガイの姿は、人間に戻ろうとしなかった。
「なぁ、あれ、どうやったらもとに戻るんだ?」
「鎮まったら戻る」
「鎮まるって……どうやって?」
人狼が動きだし、周囲を嗅ぎまわる。自衛隊員の周囲をうろつき始めたところで、隊員の何名かが警戒して武器を構えようとした。
「動かないで!」
そんな動きをサトミが一声で制する。自衛隊員は不意に大型の動物に遭遇したかのように、緊張したまま、固まった。本来サトミは自衛隊員に命令するような権限もないが、これまでの戦いでサトミの信頼感もあって、自衛隊員たちは不安感が残りつつもサトミの言葉に従った。
「ガーくん、こっちにおいで」
サトミが両手を広げ、人狼を呼ぶと軽い足取りでサトミの近くまでやってくる。その間も、一人一人の人間の匂いを嗅ぐような動きを見せていた。
「ひゃっ……」
サトミの近くにいたアカリが、迫力ある人狼の姿に驚き、びっくりして身体を捩った。すると、人狼が新しいおもちゃを見つけたような反応をして、耳をぴんっ! と立ててアカリの周囲をうろつき始める。
「い、いやです……」
とアカリが思わず声をあげ、さがろうとすると、人狼が飛び掛かった。
「きゃぁぁっ!」
あっという間に押し倒され、制服に噛みつかれ上着とブラウスが引き裂かれる。サトミがすかさず声を上げた。
「ガーくん! ガイッ! めっ!」
人狼が顔をあげ、サトミの方に興味を移す。
サトミが魔力の塊を両手に用意すると、それに喜んで食らいつき、その後はもっと欲しいというように、サトミの両手をべろべろと舐め始めた。
「この状態のガイは、お腹が減ってる。魔力とご飯で満たしてやれば満足する」
「ど、どうして私は……」
半泣きになって胸元を押さえながら、アカリが自分が襲われたことに疑問を持っていると、サトミが人狼に構ってやりながら答えた。
「たぶん、反応が面白そうだったのと、魔力がおいしそうに見えた」
「そ、そんなことで……絶対、責任は取って貰いますから……!」
アカリが小さく呟き、運動着の上着をポーチから取り出し始めた。
サトミは人狼の頭をわしわしと撫でたあと、人狼に向かって指示を出した。
「いいこいいこ。お座り、お手。待て」
サトミの言葉に反応して、人狼がお座り、お手をする。尻尾をぶんぶん振り回して、お座り待機した人狼に、サトミはポーチから缶詰と皿を取り出した。
缶詰はコンビーフだ。それをいくつか開けて、たっぷりと皿に盛り付け、地面に置く。おいしそうな餌に、人狼の口からはよだれがダラダラと垂れだした。
サトミは皿を地面に置いてから、じっと人狼の目を見つたあと、
「……よし」
とOKを出した。お預けされていた人狼は夢中になって食べ始める。
「いや犬かよ」
人狼のその姿は、リンが思わず突っ込んでしまうほどの犬っぷりだった。
「はぐっはぐっ」
夢中になって食べる人狼に、コンビーフのお代わりを上げているサトミに、リンは恐る恐る声をかけた。恐る恐るなのは、アカリの二の舞になりたくなかったからである。
「……大丈夫なのか?」
「平気。躾てある」
「犬じゃん。完全に……つか、躾けきれてねーだろ、絶対」
着替え終わって警戒して離れたまま近づこうとしないアカリを見つつ、リンは言った。
「完璧にはムリ。言うこと聞くだけ、最近はマシ」
「マジかよ……」
「この状態は本能の方が強い。暴れたり、ご飯食べたり、眠ったり」
話している間にも、人狼は丸くなってあくびをし、眠り始めた。
「……あと異性にすごい執着したり」
「おおい!」
「性欲が高まると変身するから……たぶん反動」
それは、自分に興味があるのかどうか、分かりやすくていいのか悪いのか、と少し脱線気味にリンが思考を巡らせたりしていた。
「……なぁ、それって危険じゃねーか? 一つ屋根の下だぞ……?」
「散々慣らしてきてる」
その言葉にもびっくりだが。とリンは思ったが続けた。
「いやでも、もし、暴走したりとか……」
「だから、同棲って理由もある」
「はぁ……?」
リンには、だから、と繋がる理由がさっぱりわからなかった。
「私たちが希望しただけで、本当に学園が融通を利かせると思った?」
「まさか……!」
「問題児同士をまとめられる。学生の条件を聞いてやる代わりに、学園は条件を付けたと言える。そして向こうは損しない」
「はぁ!?」
リンは自分の知らなかった事情が明かされ、驚きでいっぱいだ。しかし、ガイが度々チームの変更を申し出しているのは知っていたし、それが受け入れられない理由を理解した。3英傑だのと学園内でもてはやされ、自分が特別だから、などと少しでも思った自分が恥ずかしいとさえ思った。
「ガイを止められるのは私だけ。2人はガイを止められるかも、と学園は考えたのかも」
今日の戦果を見れば、それは納得できるような気がするリンだった。しかし、ガイの本当の力を知った今、とても抑えられるなんて思えなかったが。
「そろそろ、変身解ける」
サトミの言葉に反応した訳ではないだろうが、人狼の姿が縮んでいき、体毛も全て抜けきると、裸になったガイが丸くなっていた。
サトミはポーチから大きなタオルを出してやり、ガイにかけた。
「ガイの本当のことを知った今なら、同棲解消、できるかもよ」
サトミが、リンと、少し離れていたアカリに言った。
「理由はわかりましたが、こちらにも同棲を続ける理由ができましたので」
「あたしは考えとく」
アカリとリンがそれぞれ答えた。ふーん、と興味なさげにサトミは答え、ガイに視線を戻した。
(やっぱり、ガイなら伝説になってくれる。約束、したから)
サトミは優しく、眠るガイの頭を撫でてやっていた。
(もう、お嫁にいけない……絶対、責任取って貰いますから……)
アカリは自衛隊員たちと共に現場の撤収作業を手伝うことにした。そうして気を紛らわせないと、さっきのことを思い出して叫び出したくなるような思いだった。
(ガイの奴に問題があっても、躾けてやればいいんだよな……そう、これから、あたしが……あいつだって、必要って言ってくれたんだし……)
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